週間情報通信ニュースインデックスno.1482 2025/6/28


1.NTTデータの鈴木新社長が強調した「3つの連携」、金融のエースに託す国内成長(6.28 日経XTEC)
 NTTデータグループ(NTTデータG)の国内事業会社であるNTTデータは2025年6月26日、社長交代による新体制の方針を発表した。NTTデータは9日付で鈴木正範氏が副社長から社長に昇格。前社長の佐々木裕氏はNTTデータGの社長に専念する。鈴木氏は26日の記者会見で「3つの連携」の重要性を強調した。

 NTTデータの社長に就いた鈴木氏は、佐々木氏が掲げてきた方針を基本的に踏襲する。顧客が実現したいことを見据えて提言・実装し、成果につなげる「提言・実装・成果」の価値提供モデルを徹底する。

 鈴木氏は「NTTデータGの中の日本を意識していきたい」と語る。NTTデータGは50以上の国と地域で、20万人ほどの従業員を抱える。海外事業で獲得した知見やノウハウを日本の顧客に提供する。具体的には、日本から海外に展開する顧客を支援したり、国内の顧客に対してグローバルのビジネスモデルやデジタル活用のベストプラクティスを展開したりする。

 これらの実現に向けて、鈴木氏は「3つの連携」の重要性を強調する。3つの連携とは、(1)NTTグループとの連携(2)NTTデータGの海外事業会社であるNTTデータインクとの連携(3)公共・社会基盤、金融、法人、テクノロジーコンサルティング&ソリューションの国内4分野の連携――を指す。

2.AIを利用するほど仕事喪失の不安、でも雇用創出に期待 労働者2万人調査が示す実態(6.26 日経XTEC)
日本のAI(人工知能)利用者は、AIを利用するほど仕事喪失の不安にかられている――。労働政策研究・研修機構(JILPT)による全国2万2000人を対象とした大規模調査は、業務へのAI導入が、ビジネスパーソンの仕事の質や働き方などへもたらす変化の実態を明らかにした。

 「AIの職場導入による働き方への影響等に関する調査」は経済協力開発機構(OECD)の知見を得て、国際比較分析を可能とする調査項目を盛り込み、JILPT独自の調査項目を追加して日本の実態把握を試みたもの。JILPTは100ページを超える結果を2025年5月に公表した。

 生成AIを含むAIを職場で活用する人は具体的にどのくらいか。全有効回答者2万2000人のうち、企業でAIが「使用されている労働者(AI使用企業の労働者)」は12.9%。この中に「自身がAIを利用している労働者(AI利用者)」がおり、全体の8.4%だった。また「自身が生成AIを利用している労働者(生成AI利用者)」は6.4%だった。この結果を見る限り、職場でAIを使っている人は少ない。インディードリクルートパートナーズ(IRP)とIndeedの最近の調査でも、米国と比べ日本における生成AIの導入割合が全職種において約半分にとどまることが分かった。

 JILPT調査の重要な発見は、AI利用者に利用前後で見られた変化の実態だ。1つは、職場におけるAIの利用が仕事の質を高めた点だ。仕事の質を構成する要素のうち「仕事のパフォーマンス」を見てみると、「かなり改善した」「少し改善した」の合計は60.6%で、「かなり悪化した」「少し悪化した」の合計11.4%を大きく上回った。

3.ソニーグループが生成AIで毎月5万時間削減 AWSサミットで講演(6.27 日経XTEC)
ソニーグループは、2025年6月25日に開催された「AWS Summit Japan 2025」で自社の生成AI(人工知能)やAIエージェントの活用状況について講演した。「AIの民主化」を掲げ、グループの全社員がAIを使いこなすことを目指している。AIとデータをより効果的に活用するAIドリブンカンパニーへの変革を推進する。

 ソニーグループではAIのビジネス適用を加速させるため、200以上のグループ会社を含む従業員4万5000人に対し、2パターンの生成AIプラットフォームを用意している。1つは、Amazon Web Services (AWS)上にソニーグループ向けに構築した「Enterprise LLM」だ。毎月200万回以上の社内業務などで利用され、結果として毎月5万時間の削減につながっているという。もう1つは、130種類以上の生成AIモデルを利用できる「プレイグラウンド」と呼ばれるPoC(概念実証)環境だ。プレイグラウンドではすでに260件のビジネスPoCが実行され、そのうち40件がビジネスでの本番活用に進んだ。

4.ネットワークカメラ7000台が「丸見え」、防犯用が犯罪に悪用される危ない現実(6.25 日経XTEC)
撮影した映像をインターネット経由で送信するネットワークカメラ(Webカメラ)の利用が進んでいる。簡単に導入できるので企業はもちろん、一般家庭でも防犯用の監視カメラなどとして使われている。

 問題はそのセキュリティーである。ネットワークカメラはインターネットに接続されているので、製品の仕様や設定によっては誰でも映像を見ることができる。セキュリティー企業の米BitSight Technologies(ビットサイト・テクノロジーズ)の調査によると、世界中で4万台以上、日本国内では約7000台のネットワークカメラが自由にのぞける状態だった。

 ネットワークカメラが第三者に悪用される事案は10年以上前から発生している。そのためセキュリティー組織などがたびたび注意喚起しているが、状況はよくなっていないようだ。

 ネットワークカメラの国・地域別で見ると、米国が最も多く約1万4000台、2番目が日本で約7000台。オーストリア、チェコ、韓国がそれぞれ約2000台で3番目に多かった。

 手軽に使えるネットワークカメラは、攻撃者にとっても悪用が容易である。利用者は十分に注意する必要がある。ビットサイトは利用者に対して、デフォルトのユーザー名とパスワードを変更することやリモートアクセスを無効化すること、カメラのソフトウエア(ファームウエア)を最新に保つことなどを勧めている。

5.パナソニックコネクトが物流支援強化、「経験に依存しない」体制を整備(6.24 日経XTEC)
パナソニックコネクトは2025年6月20日、日本企業向けのSCM(サプライチェーンマネジメント)の変革を支援するサービスを強化すると発表した。「現場から始める全体最適化」をコンセプトに掲げ、まずは物流領域のサービスを提供する。「現場の従業員の経験に依存しがちな、物流業務の変革を支援していく」(パナソニックコクト)という。

 物流ソリューションの特徴は3つある。1つめは業務フローの標準化を支援するノウハウがあることだ。同社傘下の米Blue Yonder(ブルーヨンダー)やベルギーのZetes(ゼテス)などのノウハウを生かす。

 2つめは物流全体を横断するデータ基盤とデータ活用だ。3つめは日本の商習慣を踏まえたノウハウと実行体制を持つことだ。

ホームページへ