1.AIやSaaSを監視に生かす新潮流、テレメトリーで情報収集を高度化する(6.20 日経XTEC)
監視に使う技術は現在どう進化しているのか。ここでは「AI(Artificial Intelligence:人工知能)活用」「テレメトリー」「監視システムのSaaS(Software as a Service、サース)移行」の3つを取り上げる。
まずはAI活用の具体例を紹介しよう。富士通が提供する監視ツールの「Virtuora AX Accelerated Root Cause Analysis、バーチュオーラ(以下Accelerated RCA)*2-1」は、監視対象のノードが上げるアラートから、障害と関連するものだけをAIが自動的に分類する。基本的には他の監視ツールと連携させて使う。
例えばAというネットワーク機器でポート障害が発生し、他のノードと通信できなくなったとする。この時Aは「どのポートが使えなくなったか」というアラートを上げ、他のノードは「Aと通信できなくなった」というアラートを上げる。 当然、監視ツールに届くアラートは瞬間的に増える。困るのは担当者で、大量のアラートから障害に関係するものだけをより分ける手間がかかる。
この点、Accelerated RCAは障害に関連したアラートだけを自動的に抽出する。抽出に使うAIは、機械学習モデルの1つであるニューラルネットワークをカスタマイズした「分類エンジン」だ。Accelerated RCAは過去のアラート傾向をデータベースに蓄積し、その内容を機械学習する。
同エンジンで、関連するアラートだけを抽出した「アラートストーム」をつくる。さらにその中から真の原因に該当しそうなアラートを信頼度付きで示す。
2.Nokiaなど、北米不動産市場の価値を高めるプライベート5Gとエッジ技術(6.2 日経XTEC)
フィンランドNokia(ノキア)は、米国とカナダの不動産市場におけるプライベート5Gとニュートラルホスト(複数の通信事業者に中立的にサービスを提供する)サービス導入を支援する。
カナダと米国に本社を置き、不動産向けのデジタルインフラやスマートビルディング開発を手掛けるAndorixと連携して、不動産の運用管理を効率化し、テナントの付加価値を高める5Gサービスの提供を進める。Nokiaは、クラウド型プライベート5Gプラットフォームと産業アプリケーション向けのエッジサーバーを使って、商業施設や住宅、工業施設に高速で信頼性の高い屋内5G通信環境を提供する。
3.生成された文章や画像 AIの著作権はどうなっているのか、文化庁の見解を知る(6.20 日経XTEC)
生成AI(人工知能)の技術は日進月歩で進化しており、生成するものによっては人間と遜色ない作業をするまでになっている。文章の作成や画像の生成などに、AIを活用している人は多いだろう。だが、仕事で本格的にAIを使おうとすると「AIが学習時に著作権を侵害していないか」「AIで生成した文章や画像を商用利用しても問題ないか」といった疑問に直面する。「AIを使いたいけれど、何かあったときのリスクが怖い」というのが多くの利用者の本音だろう。
AIにおける著作権の問題として「AIの学習データに第三者の著作物が含まれていること」「AIで生成したものが既存作品と類似してしまう可能性があること」「AIの生成物の著作権の帰属が不明確なこと」などが挙げられる。こうした問題を受け、1年以上前になるが、2024年3月に文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会が「AIと著作権に関する考え方について」を表明した。利用が進む生成AIについて現在の日本の著作権法がどのように適用されるか、国の見解を知っておこう。
この見解によれば「非営利の学習目的であれば、AIの学習データに第三者の著作物が含まれていても問題はない」「AIの生成物は既存作品との類似性又は依存性で判断する」「AIの利用について権利者の利益を不当に害さないよう配慮する必要がある」としている。
日本の著作権法は「著作権等の権利の保護」と「著作物等の公正・円滑な利用」とのバランスを図り、文化の発展に寄与することを目的としている。AIと著作権については「AIの開発や学習段階」「生成や利用段階」など著作物の利用行為が異なるため、対応する著作権法の条文も異なる。AIが生成したものが「著作物」に当たるかについても、これらとは別問題になるとしている。
4.NTTコムが企業向けAIエージェントの構築支援、2027年までに400社の採用目指す(6.19 日経XTEC)
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2025年6月19日、顧客のニーズに合わせて、複数のAI(人工知能)エージェントをカスタマイズして提供するサービスを開始すると発表した。企業は開発期間やコストを抑えられ、AIエージェントを導入しやすくなる。2027年までに400社の採用を目指す。
20種類のAIエージェントを組み合わせ、金融や製造など業界特化型のAIエージェントを用意する。その上で、顧客のニーズや業務に合うようにカスタマイズして提供する。NTTコムの荒川大輝ビジネスソリューション本部スマートワールドビジネス部ジェネレーティブAIタスクフォースタスクフォース長は「SI(システムインテグレーション)とオファリングをかけ合わせたセミオーダーのビジネスモデル」と表現する。
5.富士通、カメラ使わず高齢者を見守る「ミリ波レーダ見守りシステム」を提供開始(6.17 日経XTEC)
富士通は2025年6月16日、ミリ波レーダーとAI(人工知能)を利用して高齢者などの安全を見守る「Fujitsuミリ波レーダ見守りシステム」を同日から日本国内で提供し始めたと発表した。介護施設の居室やトイレなど、プライバシー保護の観点からカメラの設置が難しい場所でも、利用者の転倒などを検知することを可能にしたという。
同システムは人の動きに加え、呼吸や筋肉動作などを点群データとして収集し、富士通独自のAIで解析して異常を検知する。既に過去にはイオンモールなどと同システムを使った実証実験に取り組んできた。富士通のオフィス「Fujitsu Uvance Kawasaki Tower」では全ての会議室に同システムを導入しており、予約済みにもかかわらず利用されていない部屋の検知などに使っているという。
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