1.中国テンセント、自社開発AI「混元T1」とDeepSeekをAIアプリに採用 使い分け可能(6.13 日経XTEC)
中国ネットサービス大手の騰訊控股(テンセント)は、新たな深層思考AI(人工知能)モデル「混元T1(HunyuanT1、フンユェンティーワン)」を自社開発した。混元T1は高速な応答能力を備え、長文処理に長(た)けており、優れた推論性能を持つという。2025年3月22日の発表日にテンセントクラウドで利用可能となり、翌日にはDeepSeek(ディープシーク、深度求索)が提供するAI「DeepSeek」とともにテンセントのAIアシスタントアプリ「元宝(Yuanbao、ユェンバオ)」に導入した。
「混元T1(HunyuanT1、フンユェンティーワン)」は、騰訊控股(テンセント)が自社開発した強力な深層思考AI(人工知能)モデルだ。大規模強化学習を活用し、数学、論理推論、科学、プログラミングなどの理系課題に特化した最適化が施されている。
テンセントはHunyuanT1発表の数日後、自社が提供するAIアシスタントアプリ「元宝(Yuanbao、ユェンバオ)」にHunyuanT1を搭載したと発表した。同時に、中国の新興企業DeepSeek(ディープシーク、深度求索)が提供するAI「DeepSeek V3」の最新版も元宝に搭載した。
2.AIが自身のソースコードを書き換えて急速進化、5月の注目論文(6.13 日経XTEC)
AIが自身のソースコードを書き換え、自己改善ができるようになれば、AIの進化は一気に加速するのでは??。
20年以上前、著名なAI研究者のJ?rgen Schmidhuber(ユルゲン・シュミットフーバー)氏はこうした自己改善AIの概念を提案し、G?del Machine(ゲーデルマシン)と命名した。
2025年5月のSNS言及数1位となったAI論文は、ゲーデルマシン実現への重要な一歩になり得るものだ。カナダのブリティッシュコロンビア大学とSakana AIの研究チームの共著「Darwin Godel Machine: Open-Ended Evolution of Self-Improving Agents(ダーウィン・ゲーデルマシン:自己改善型エージェントのオープンエンドな進化)」である。
シュミットフーバー氏が提唱したゲーデルマシンは、ある自己修正が性能改善につながると「数学的に証明できた」場合に自身のコードを書き換えるが、実際に証明するのは難しく、理論的な概念にとどまっていた。
研究チームが提唱する「Darwin Godel Machine(DGM:ダーウィン・ゲーデルマシン)」は数学的な証明に代わり、進化的アルゴリズムと経験的な評価手法を取り入れたものだ。自己修正の機能を持つ複数のAIをベンチマークなどで競わせ、継続的な改善を促す。
3.損保ジャパン、Webシステムへの不正アクセスで顧客データなど約905万件漏洩の恐れ(6.12 日経XTEC)
SOMPOホールディングスは2025年6月11日、子会社の損害保険ジャパンのWebシステムへの不正アクセスによって顧客データなど約905万件が外部から閲覧された恐れがあると発表した。「大変なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを心よりおわび申し上げます」と陳謝し、再発防止に全力を尽くすとしている。
損保ジャパンは2025年4月に同社システムへの不正アクセスと情報流出の可能性があると発表済み。専門業者によるフォレンジック調査の結果、2025年4月17日から4月21日までの間に同システムへ侵入した第三者が顧客情報にアクセスできる状態になっていたと推測され、外部に漏洩した可能性が否定できないことが判明したという。
外部からの閲覧や漏洩の可能性があるデータ件数は、顧客の氏名や連絡先、証券番号(顧客が保険金請求手続きなどに利用する番号事故を含む場合もある)が記載されたデータが約337万件。さらに氏名や証券番号が記載されたデータで顧客の連絡先はないものが約187万件、連絡先と証券番号は記載されているが氏名はないデータが約119万件という。
4.日本を標的にしたメール攻撃の割合が世界の84%に急増、日本プルーフポイントが発表(6.11 日経XTEC)
日本プルーフポイントは2025年6月10日、サイバーセキュリティーの現状についてメディア向けの説明会を開催した。米Proofpoint(プルーフポイント)の統計によると、全世界の新種メール攻撃のうち日本を標的とした攻撃の割合は2025年1月〜5月で84.0%であり、2024年の21.0%から4倍に急増した。
背景には生成AI(人工知能)の攻撃への利用があるという。日本語の攻撃メールを作成することは文法的な障壁などから難しかったが、生成AIの登場で違和感のない文面の作成が容易になった。日本プルーフポイントの増田幸美チーフエバンジェリストは、「生成AIの登場で日本語の言語の壁がなくなってしまった。一方で日本人のセキュリティー意識は低いままだ。日本企業の価値の高い知的財産や、アンダーグラウンドで高値がつく日本人の個人情報が狙われている」と語る。
5.進化した音声アシスタント「Alexa+」、生成AIで強化され自然な会話が可能に(6.9 日経XTEC)
米アマゾン・ドット・コムが米国で提供を開始する音声アシスタントの機能強化版。生成AIによりアシスタント機能が強化され、自然な会話を通して各種連携サービスを利用したり、スマートホーム機器を操作したりできる。
米アマゾン・ドット・コムは2025年2月、提供中の音声アシスタントサービスを生成AI技術で強化した「Alexa+」を発表した。生成AIの導入で会話能力を強化し、複雑な内容や曖昧な言い回し、口語的な表現も理解する。数万のサービスや端末を連携できる「エキスパート」と呼ばれる仕組みにより、Alexa+を入り口にさまざまなサービスを利用できる。
具体的には動画配信や音楽配信の操作、学習のサポートや情報収集、通販やデリバリーサービスの注文、スマートホーム機器の操作や履歴確認といった実用的な機能に加えて、さまざまなトピックスについて自由に会話を楽しめる。
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