週間情報通信ニュースインデックスno.1475 2025/5/3


1.RAGも簡単に実現できる生成AI作成ツール「Dify」、ナレッジ機能を利用する(5.2 日経XTEC)
ノーコードでAI(人工知能)アプリをつくれるツール「Dify」が注目されている。 ナレッジは外部データをDifyに取り込む機能で、いわゆる「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」と呼ばれるLLMの学習外のデータを活用した回答が可能になります。

 GPT-4oやGemini 2.0などのLLMモデルは、事前に学習した大量の知識をもとに回答や処理を行ってくれます。しかし、学習したタイミングよりも後の最新情報や、一般公開されていない社内情報などは知識として持っておらず、回答できません。それを解決する方法として注目されているのが「RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)」です。RAGを利用すると、プロンプトが参考にする情報を指示することができます。

 Difyでは「ナレッジ」という機能でRAGを利用できます。参考にさせたいテキストファイルやPDFをアップロードするだけで、プログラミングの知識がなくても独自の情報を参照したAIアプリを作れます。もとになる情報に更新があった際も、ナレッジを更新すれば個別のアプリのプロンプトを書き直す必要がありませんので、メンテナンスの面でも優れています。

2.NECの2025年3月期は減収も36%営業増益、主力事業はいずれも好調(4.30 日経XTEC)
NECは2025年4月28日、2025年3月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高に相当する売上収益は前の期比2%減の3兆4234億円で、営業利益は36%増の2564億円だった。営業利益から買収関連の費用を除いた調整後営業利益は28%増の2871億円。日本航空電子工業の非連結化の影響で減収したものの、主力の「ITサービス」や「社会インフラ」のセグメントが好調で増益となった。

 セグメント別で見ると、「ITサービス」の売上収益は6%増の2兆332億円、調整後営業利益は29%増の2371億円だった。「社会インフラ」の売上収益は6%増の1兆1417億円。航空宇宙・防衛などの事業を担う「ANS(エアロスペース・ナショナルセキュリティ)ビジネスユニット」が政府の防衛費の予算増加に伴う案件増で貢献した。

3.生成AIにプログラミングを丸投げするな、「幻覚」使うサイバー攻撃の危険度判明(4.30 日経XTEC)
生成AI(人工知能)をプログラミングに活用するケースが増えている。作成したいプログラムの内容を入力するだけで、プログラムコードや必要なパッケージ(プログラム部品)などを事細かに教えてくれる。プログラミングの知識が一切なくてもプログラムをつくれてしまう。

 だが問題もある。ハルシネーション(幻覚)だ。生成AIは、学習していないデータに関するプロンプトには、正しくない情報をまことしやかに返すことがある。例えばプログラミングの際には、存在しないパッケージを推奨するケースがある。このような場合、プログラムを作成できないばかりか、サイバー攻撃に悪用される恐れもある。

 論文は最初に、幻覚を悪用するサイバー攻撃「スロップスクワッティング」の危険性を指摘する。スロップスクワッティングの攻撃者はまず、LLMに対して特定のプログラムの作成をプロンプトで依頼する。それに対してLLMはコードを作成して返す。

 次に攻撃者は、返されたコードに含まれるパッケージをチェック。リポジトリー(パッケージを登録・公開するサーバー)に存在しない場合、同名の不正なパッケージを作成してリポジトリーに置く。

 その後、一般のユーザーが攻撃者と同じようなプロンプトを入力すると、LLMは同じパッケージを推奨する。先ほどまでは存在しなかったパッケージだが、現在では不正なパッケージがその名称でリポジトリーに置かれている。このため推奨通りにそのパッケージをインストールすると、マルウエア感染などの被害に遭う。

4.三井住友銀行のシステム障害、22時間で復旧 原因は調査中も「店群」と関係か(4.30 日経XTEC)
三井住友銀行は2025年4月29日、同日未明から続いていたシステム障害について、発生から約22時間後の同日午後11時16分ごろに復旧したと発表した。一夜明けた4月30日朝、影響の大きかった関西圏を含む全国の拠点で通常通り営業を始めた。原因は「引き続き調査中」(広報)としている。

 4月30日は平日で、月末と法人顧客の決済処理が集中する「五十日(ごとおび)」に当たる。システム障害が4月30日の営業時間帯まで長引き、そうした決済処理へ影響し顧客に大きな混乱を与える事態は回避された。

 システム障害は4月29日午前1時20分ごろに発生。西宮支店や甲子園口支店など、関西圏の営業部・支店・出張所を合わせて30近くの拠点と、桜井駅前出張所や今津出張所など20超の店舗外ATMが一時利用できなくなった。

5.iPhone・Pixel・Galaxy・XiaomiでスマホAI対決、大差が付いたのは文章の要約(4.28 日経XTEC)
スマートフォンで利用できるAI(人工知能)機能が増えている。米OpenAI(オープンAI)の「ChatGPT」や米Google(グーグル)の「Gemini」といったパソコンでおなじみの機能の他に、スマホメーカーが独自に開発したAI機能を搭載することもある。2025年4月には米Apple(アップル)の生成AIツール「Apple Intelligence」が日本語に対応し、同社のiPhoneで利用できるようになった。

 今回比較したのは、「iPhone 16 Pro」、グーグルの「Google Pixel 9」、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)の「Galaxy S25」、中国・小米(シャオミ)の「Xiaomi 15」の4機種。それぞれの機種でできることを簡単に見ていこう。

 A17 Proチップを搭載したiPhone 15 Pro以降のiPhoneでApple Intelligenceを利用できる。Apple Intelligenceは様々な機能を備え、その中で重宝するのが「作文ツール」だろう。文章の校正や要約の他に、ChatGPTと連携して文章を一から作成することもできる。

 Google Pixel 9シリーズには生成AIアプリ「Gemini」がプリインストールされていて、電源ボタンの長押しで起動できる。音声で様々なことを調べられる「Gemini Live」や、画面に表示された物やテキストを指定して、素早く調べられる「かこって検索」が便利だ。「フォト」アプリでは、「編集マジック」「消しゴムマジック」など、AIを用いた多彩な編集機能を利用可能。

 2024年4月に発売されたGalaxy S24以降、サムスン電子のスマホには独自の生成AI「Galaxy AI」が搭載される。クラウドとオンデバイスのハイブリッドのAIであることをアピールしている。グーグルと協業して開発した機能も含み、通話音声の通訳、文章の作成、要約、校正、画像生成、画像編集など、幅広い機能を提供している。

 シャオミは2024年12月に発売したXiaomi 14TシリーズからAI機能に注力。ハイエンド機種では、文章の作成、要約、校正、翻訳などを利用できる。また、画像管理アプリ「ギャラリー」にも多彩な画像編集機能が用意されている。Xiaomi 15シリーズから使える「Xiaomi HyperAI」では、Geminiと協力してAI機能を提供する。

 筆者のカウントで約4分、約800文字ほどを録音したのだが、要約結果にはかなり差が出た。iPhoneは125字で簡潔にまとめた。Pixelは「概要」として、オリジナルよりも短めにリライトした。文字数は575文字と長め。Galaxyは箇条書きで要点がまとめられ、文字数は317文字。内容に即したタイトルも付けられ、そのまま活用できそうな印象。Xiaomiは261文字に要約し、あっさりとした文体だが、これで十分とも思えた。

 スマホのAI機能は、まだ発展途上で「ベータ版」と呼ぶべき段階だ。今後のさらなる精度と使いやすさの向上を期待したい。

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