1.NTTデータグループがAIエージェント事業を加速、OpenAI提携で実施する3施策(4.25 日経XTEC)
NTTデータグループは米OpenAI(オープンAI)とグローバルで戦略的提携を実施し、生成AI(人工知能)ビジネスを強化する。2025年4月24日に発表した。提携により、OpenAI関連ビジネスにおいて2027年度末までの約3年間で累計1000億円規模の売り上げを目指す。OpenAIのAI技術を取り込むことで、金融や製造、流通など各業界に特化した高度なAIエージェントなど、生成AI関連サービスを拡充させる。
同社がOpenAIと提携して取り組むことは主に3点ある。(1)OpenAIの日本初の販売代理店となり、「ChatGPT Enterprise」などを提供する(2)業務・業種特化型のAIエージェントを開発・提供する(3)専門組織「OpenAI Center of Excellence(CoE)」を新設し、顧客の生成AI活用推進を支援する――である。
特に(2)において、NTTデータグループはOpenAIの最新モデルの事前検証や実装を先行的に実施する。最新モデルを活用したサービスをより早く、高い品質で顧客へ提供する狙いだ。
2.NECが地上で10km超の光空間通信に成功、2028年に小型製品化目指す(4.25 日経XTEC)
NECは2025年4月25日、空間上で光のビームを送受信することによりデータを無線送信する光空間通信において、地上で10キロメートルを超える通信に成功したと発表した。これまで確認されていた地上での光空間通信は、情報通信研究機構(NICT)が実証した7.8キロメートル(NEC調べ)が最長だったといい、国内の最長通信距離を更新したとする。
光空間通信は電波に比べて高速かつ大容量の通信が可能であるのに加え、ビームの指向性の高さから第三者による傍受や他通信の干渉を受けにくい特徴を持つ。一方で、空間の光を利用した通信であるため、地上では大気の揺らぎの影響を受けやすく、長距離での安定した通信の確保が難しい。
NECは今回、宇宙事業で培った人工衛星での長距離光通信技術や通信システム向けの追尾技術などを応用し、地上での長距離通信を実現した。NECは2028年に、現在約2立方メートルの通信装置サイズを、人が持ち運べるよう小型化した上で製品化を予定する。ドローンに搭載するなど汎用性の高い活用を目指す他、災害時の有線通信網の代替手段への応用、秘匿性の高いデータの短距離・中距離通信への活用などを想定する。
3.「AIに学習させるデータがない」、社員が辞めない日本企業にありがちな問題(4.25 日経XTEC)
日本の強みである製造業で役に立つAI(人工知能)が開発できれば、そのAIは世界市場でも通用するのではないか――。そんな期待は根強い。ただしこのシナリオを実現するには乗り越えるべき大きな課題がある。AIに学習させるデータの確保だ。
企業が抱える特定の業務課題を解決するAIを開発するには、その業務に関するデータをAIに学習させる必要がある。しかし当該業務に関するデータが、AIによって学習できる形式で整備されていない、それどころかそもそもデータ自体が存在しない、というのは日本企業が直面しがちな課題である。
実際に筆者がマテリアルズ・インフォマティクス(MI)について、複数の日本の化学メーカーを取材した際にも、データに関する課題をよく聞いた。MIとは、AIを活用して材料開発の効率性を高める取り組みだ。過去の実験データによって機械学習モデルをトレーニングし、材料候補の構造や生成プロセスなどから材料の機能や特性を予測できるAIなどの実現を目指す。
MIに取り組む化学メーカーからよく聞いたのは、そもそも機械学習モデルをトレーニングするための実験データが、これまで社内に蓄積されていなかった、という課題だった。
実験データが存在しない、というわけではなかった。現場の研究者は実験に関するデータを「実験ノート」に記録していた。しかしその実験ノートが、そもそも紙のノートだったり、各研究者がそれぞれ独自のやり方でExcelファイルにまとめたりしていたのが実情だった。
実験データを機械学習モデルにトレーニングさせるには、データをコンピューターが理解できる形式で用意する必要がある。しかし従来の実験ノートは、人間なら理解できるよう記述されていたのだが、コンピューターが理解できる形式にはなっていなかった。
ところがある日本の化学メーカーは、米国子会社にあった実験データを使って、かなり早い段階からMIを実践していた。その化学メーカーの米国子会社には、1990年代から実験データが社内の専用システムに蓄積されていたからだ。
人材の流動性が高い米国子会社では、実験を担う研究者の入れ替わりが激しい。いつ研究者がいなくなってもすぐに別の研究者が実験を引き継げるよう、実験そのものやデータを記録する各手順を、システムによって標準化する必要があったのだ。
4.何が人間に残るのか、「AIにまねできない」4つの能力とリスキリングの重要性(4.25 日経XTEC)
AIエージェントの強みは大量情報の処理や定型業務にとどまらず、高度な分析・創造タスクへと急速に広がっている。多面的なデータ統合から仮説の生成、構造化されたアウトプット作成まで、速度と精度で人間を凌駕しつつある。
では人間固有の価値はどこに残るか。AIのアウトプットの是非を見定め、アウトプットに責任を持つ判断力やチームワーク、対人コミュニケーションなどの感情を介した信頼構築といった領域は依然として代替が難しい。機械に委ねられる範囲が拡大するほど、人間にしかできない対話や決断に注力する流れが加速するだろう。
AIエージェントが台頭すると、それまで人間が担ってきた仕事はなくなっていく。厳密には、仕事の中身が変わると言った方がよいかもしれない。多くの職種が、AIに代替されるタスクとそうでないタスクを併せ持っているからだ。
AI活用によって作業負荷を軽減し、人間はより付加価値の高い領域にシフトしていく。適応できる人にとっては新たなチャンスが広がるものの、そうでない人にとっては厳しい時代になるかもしれない。
経験年数で昇進する従来のモデルは、AIが下積み業務を引き受ける時代には成立しにくい。むしろAIを使いこなし、学習しながら成果を生み出す人材を公正に評価する制度にシフトする必要がある。
5.大林組がダム工事でケーブルクレーン自律運転成功、コンクリ打設の自動化前進(4.22 日経XTEC)
バケットに積んだコンクリートを打設位置まで自動で運び、材料を投下して帰還する──。大林組は、岐阜県八百津町と御嵩町で建設中の新丸山ダム建設工事で、コンクリート打設を想定したケーブルクレーンの自律運転に成功したと2025年4月16日に発表した。KDDIエンジニアリング(東京・渋谷)と連携し、特定区域での高速通信規格「ローカル5G」網を工事現場に構築。大容量のデータを高速かつ安定してやり取りできる環境を生かした。
大林組と新丸山ダム建設工事の発注者である国土交通省中部地方整備局は、ダム工事の自律型コンクリート打設システムの確立に向け開発を進めており、今回のケーブルクレーンの自律運転は第1段階となる。成功したことで開発は前進した。
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