週間情報通信ニュースインデックスno.1469 2025/3/15


1.「原子力の国民的議論を」と叫ばれた3.11から14年、密室で進む政策形成(3.14 日経XTEC)
今年も3月11日がやってきました。多くの尊い命が失われた東日本大震災から14年が経ちました。そして、東京電力・福島第1原子力発電所事故からも、14年という時間が経過しました。

 原発事故後の国民世論の高まりから、2012年に固定価格買取制度(FIT)が始まり、数多くの再エネ発電事業者が新規参入を果たしました。そして、2016年4月の小売り全面自由化によって800社を超える小売電気事業者(新電力)が参入しました。

 ようやく原発が再稼働したのは、2015年の九州電力・川内原発が最初です。次いで関西電力・高浜原発が2016年に再稼働を果たしました。ただ、再稼働した原発は14基にとどまり、原発事故前の54基にははるか及びません。

 政府は2025年2月18日、第7次エネルギー基本計画を閣議決定しました。日経エネルギーNextは、第7次エネ基の策定方法には問題があると考えています。  第7次エネ基は、2014年に策定した第4次から記載してきた「原子力依存度を可能な限り低減」という文言を外しました。岸田文雄政権時に、脱炭素と安定供給のために最大限活用すると方針転換したことを受けたものです。

 エネルギー政策の策定プロセスの密室性はたびたび指摘されてきました。第7次エネ基の策定プロセスを振り返ると、密室性がさらに高まっているのではないかと不安が募ります。国民的議論が必要であることは、当時も今も変わりません。日経エネルギーNextでは、これからも政策プロセスの在り方を検証していきます。

2.警察庁が2024年のサイバー犯罪統計を発表、中小企業のランサム被害件数は37%増(3.14 日経XTEC)
警察庁は2025年3月13日、2024年のサイバー犯罪に関する被害状況などをまとめたリポート「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」を発表した。リポートでは、2024年におけるランサムウエア被害件数が222件と2023年に続き高水準で推移していると報告。また2024年の特徴として、大企業のランサムウエア被害件数は2023年より減少した一方、中小企業のランサムウエア被害件数は37%増加したという。

 警察庁は原因として、ランサムウエア攻撃用のクラウドサービスであるRaaS(ランサムウエア・アズ・ア・サービス)が普及したためと推定している。技術的な知識が少なくてもランサムウエアを手に入れて攻撃しやすくなったことで、結果的に攻撃の裾野が広がり、対策が比較的手薄な中小企業で被害が特に増加したとの見方を示している。

3.ランサムウエア被害の岡山県精神科医療センター、背景に危機意識の低さと悪しき慣習(3.14 日経XTEC)
岡山県精神科医療センターがランサムウエア被害の調査報告書を公表した。攻撃者の侵入経路はデータセンターに設置した保守用のVPN装置だった。同装置の更新を怠り、推測されやすいIDやパスワードを使い回していた。他の病院で被害が出ているにもかかわらず、過去の教訓を生かせなかった。背景に浮かび上がるのは、関係者の危機意識の低さや悪しき慣習の存在だ。

 「VPN(仮想私設網)を使っていれば、閉域網なので安全だという認識でいた。接続元のIPアドレスを制限するかについては議題にも上がらなかった」――。岡山県精神科医療センターが使う電子カルテベンダーは侵入の原因と見られるVPN装置について、認識をこう語った。

 2025年2月、病院のランサムウエア事案の調査などに携わるソフトウェア協会・Software ISACに設置された調査委員会は、2024年5月に発生した岡山県精神科医療センターのランサムウエア被害について経緯や攻撃経路、原因、対策などをまとめた報告書を発表した。

 報告書は攻撃者の侵入・展開を許した原因と見られるセキュリティー上の問題点として、ネットワーク機器やコンピューターのソフトウエアの脆弱性放置、推測されやすいID/パスワードの設定や使い回しなどを挙げた。2021年10月に徳島県のつるぎ町立半田病院、2022年10月に大阪急性期・総合医療センターでそれぞれ発生したランサムウエア被害でも専門家が指摘していたものだ。岡山県精神科医療センターは過去の教訓を生かせなかったわけだ。

 攻撃者が不正侵入に利用したと見られるのはデータセンター内にある病院情報システム保守用のVPN装置だ。電子カルテベンダーがインターネットから病院内のLANに接続する際に同装置を経由していた。

4.10分でできた画像認識じゃんけんゲーム、ChatGPTによる時短効果がすさまじい(3.14 日経XTEC)
ソフトウエア開発者がほとんどコードを書かなくなる。そんな未来が現実のものになりつつある。生成AI(人工知能)が生成するコードの品質がどんどん上がっているからだ。

 先日、日本有数の生成AI研究者であるPreferred Networks代表取締役最高研究責任者の岡野原大輔氏に取材する機会があった。同氏は「(現在の生成AIは)ほとんどの人のプログラミング能力を超えていると思う」と語る。

 最近、編集部内でこの記事の話題が出たとき、私は「ChatGPTなら人間が出した手を画像認識するじゃんけんゲームをつくれると思う」と話した。

 AIでリアルタイムに画像認識するGUIアプリをChatGPTにつくってもらった経験があったからだ。オープンソースの物体検出モデル「YOLO(You Only Look Once)」を利用する。このアプリを起動すると、パソコン内蔵カメラに映っている物体をリアルタイムに検出し、「person(人)」「chair(椅子)」といったラベルをつけてくれる。

 早速、画像認識版じゃんけんゲームをChatGPTにつくってもらうことにした。プロンプト(指示文)は「人とコンピューターがじゃんけんをしてどちらが勝ったかを表示するアプリをPythonでつくってください。人が出した手はYOLOを使って認識してください」とした。

 このライブラリーを利用してじゃんけんゲームのGUIアプリをつくるよう依頼した。最初にできたアプリは動きが速すぎて何が起こっているか分からない。ChatGPTでゲームなどのGUIアプリをつくってもらったときにはよくあることだ。じゃんけんの間隔を5秒に変更してもらった。

 これで出した手をほぼ正確に認識してくれるようになった。パソコン内蔵カメラに映っている手を5秒ごとに認識し、そのときに人が出していた手とコンピューターがランダムに出した手を比べて勝敗を表示してくれる。

 ここまでにかかった時間はわずか10分程度。ChatGPTと数回やり取りするだけで、画像認識版じゃんけんゲームが完成してしまった。

 では、人はもうプログラミングを学ぶ必要はないのか。自分で言うのも何だが、ChatGPTに目的とするアプリを10分でつくらせることができたのは、私のプロンプトが適切だったからだ。「こんな感じのプログラムになるだろう」というイメージがあるからこそ、それをつくってもらうために正確な指示ができる。

 結局のところ、プログラミングをはじめとする技術的な知識がなければ、目的のプログラムを生成AIに正しくつくらせるのは難しい。自分でどうすればいいかが分からないことは、指示するのも無理だということだ。

5.アプリで優先制御をオン/オフ、ネットワークAPIが切り開く通信の未来(3.14 日経XTEC)
技術や設備への投資が増加する一方で収益が伸び悩んでいる通信業界。新たな収益源として注目されているのが、通信事業者の機能を外部に提供するネットワークAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)だ。移動通信関連の業界団体GSMA(GSM Association)が「GSMA Open Gateway」構想として推進している。2025年3月3〜6日開催の「MWC Barcelona 2025」で具体的なユースケースが見えてきた。

 GSMA Open Gateway構想では、本人確認や品質保証など数十種類の共通APIがすでに策定されている。

 ネットワークAPIの普及拡大に向けた大きな動きが、スウェーデンのEricsson(エリクソン)が2024年9月に設立した「Aduna(アドゥナ)」だ。米AT&Tや仏Orange(オレンジ)など世界の大手通信事業者が参画・出資しており、日本の通信事業者ではKDDIがアドゥナへの参画を決めた。「50%の株式をエリクソンが取得し、残りの50%は世界の大手通信事業者が分割して保有する」(エリクソン・ジャパンのソフトバンク事業統括本部技術統括の滝沢耕介氏)。

 アドゥナは共通API(CAMARA API)をベースにネットワークAPIを集約し、ハイパースケーラーをはじめとした大規模クラウド事業者や、コミュニケーションサービスを手掛けるCPaaS(シーパース)事業者に提供する。サービス開発者はこれまで、ネットワークAPIの利用に当たって各通信事業者と個別に契約しなければならず時間と手間がかかっていた。今後はアドゥナが間に入ることで複数の通信事業者のAPIにまとめてアクセスできるようになり、世界各国に進出しやすくなる。

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