1.富士通がATMと営業店端末から撤退へ、地方銀行の反発必至(2.12 日経XTEC)
富士通がATMと営業店端末の事業から撤退する方向で調整していることが日経FinTech/日経クロステックの取材で2025年2月12日までに分かった。同社はサーバーやストレージ、ネットワーク製品といったハードウエア事業をエフサステクノロジーズに統合するなどしており、ITサービス主体の事業構造への転換を加速する。
複数の関係者が明らかにした。富士通は2030年ごろの撤退を想定しており、ATMや営業店端末を利用する銀行に順次説明している。富士通は「現時点で当社から話せることはない」(広報)と述べるにとどめた。
富士通は同社サービスブランドの「Uvance(ユーバンス)」やモダナイゼーション、コンサルティングなどのITサービス事業を収益のけん引役と位置付けており、ハードウエア事業については構造改革を急いでいる。ATMや営業店端末からの撤退もその一環といえる。銀行で顧客チャネルの改革が進み、ATMや営業店端末の重要性が相対的に下がってきていることも、今回の判断を促したと見られる。
2.長文が苦手な「鳥頭AI」のまま規模追求は無意味、DeepSeekショックの真の意味(2.14 日経XTEC)
大規模言語モデル(LLM)をはじめとする生成AI(人工知能)の開発が大きな転換点に来ていることをひしひしと感じている。そのきっかけは「DeepSeek(ディープシーク)ショック」だ。
中国のAI企業であるDeepSeekが低コストで高性能なLLMを開発したことで2025年1月下旬、米NVIDIAなど米国ハイテク株の株価が急落した。
DeepSeekのトレーニングにかかったコストは数億円程度だとされているが、それよりもはるかに低コストでLLMを開発した例も登場した。スタンフォード大学の研究グループが2025年1月下旬に発表したものだ。
重要なのは、DeepSeekやスタンフォード大学が開発したLLMの具体的な性能や開発コストそのものではない。工夫次第で、従来と同じような高性能なLLMを低コストで開発できるという点だ。
AIの開発では「モデルのパラメーター数」「学習データ量」「計算量」の3つとAIの性能が比例することが経験的に知られている。このため、米Microsoft(マイクロソフト)と密接な関係を持つOpenAIや米Google(グーグル)などは「より大きいモデルに対してより多くのデータをより長時間学習させる」という規模の競争を繰り広げてきた。
こうした規模の競争が起こった背景には、OpenAIが開発した「GPT」の内部構造が抱える問題点があるのではないかと考えている。
GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略であり、グーグルが開発した「Transformer」というモデルをベースにしている。まずTransformerの動作をおさらいしておこう。
Transformerは大きくエンコーダーとデコーダーという2つの部分から成る。英語の文章を日本語に翻訳する場合を考えよう。まずエンコーダーに英文を入力すると、英文の意味を抽象的に表現した小さいデータを出力する。この「意味のデータ」をデコーダーに入力すると、意味に応じた日本語の文章を出力する。こうした流れで翻訳を実現する。
ところがGPTをはじめとする文章生成系LLMは、Transformerのデコーダーだけを利用し、「ある文章の次に来る文字列」をひたすら学習する。これにより続きの文章を推測できるようになり、文章の生成が可能になった。
AIの歴史の中では、規模の競争による進化はどちらかといえば異例で、本来は画期的なアイデアによる非連続な進化こそが大きな役割を果たしてきた。DeepSeekショックは、AI分野をそうした本来の姿に戻しつつある。
3.Vodafone、衛星とスマホの直接接続による動画通話に成功(1.29 日経XTEC)
英Vodafone(ボーダフォン)は、通信衛星と4G(第4世代移動通信システム)/5Gスマートフォンを直接接続してビデオ通話を行う実験を行った。
米AST SpaceMobile(ASTスペースモバイル)の地球低軌道(LEO)衛星「BlueBird」を使って、モバイルネットワークが配備されていない英国ウェールズ中部の山岳地帯から通話した。
衛星ネットワークと地上ネットワークの切り替えは、通信状況に応じて自動的に行われるという。Vodafoneは、このサービスの提供を2025年後半から2026年にかけて、欧州から開始する予定だとしている。
4.AIエージェントで建設業務を効率化、東大発スタートアップの燈が開発(2.12 日経XTEC)
東大発スタートアップの燈(あかり、東京・文京)は、建設業向けに特化したAI(人工知能)エージェントを開発し、2025年2月1日にサービス提供を始めた。建築の工法検討や施工計画書の作成などで利用でき、業務効率化を支援する。
AIエージェントは、ユーザーが自然言語で与えた大まかな指示を解釈して、適切な手段を選択しながらタスクを実行するシステムのこと。具体的な指示を与えなくても、人の代わりに複雑な業務を遂行できると期待が集まっている。
例えば、燈のAIエージェントに「新築建物の施工計画書を作って」と指示を与えた場合、次のような手順で業務を遂行していく。まずAIエージェントは、計画書を作成するためのタスクを自律的に整理する。過去の類似資料の参照や法令の検索、施工計画書の書き方の学習、工期やコストの評価などのタスクがある。その後、整理したタスクに沿って、必要な作業を順次実施し、最終的に施工計画書を作成する。
「従来のシステムでは『特記資料書を基に、施工法をまとめて』といった形で、参照する資料を細かく指定することが多かった。これに対してAIエージェントでは、業務のゴールを指示するだけで精度の高い回答を得ることができる」。燈の野呂侑希代表取締役CEO(最高経営責任者)はAIエージェントの利点をこう語る。
5.「Galaxy S25 Ultra」レビュー、スマホもAIの機能で選ぶ時代に(2.12 日経XTEC)
今回は新しく登場した韓国Samsung Electronics(サムスン電子)のスマートフォン「Galaxy S25 Ultra」(価格は税込み19万9800円から)をレビューする。僕自身が前モデルの「Galaxy S24 Ultra」を使っているので、比較を交えつつ紹介していこう。
新モデルを少し使ってみると、人工知能(AI)機能を搭載していることを明確に感じられた。AIによる新しい体験を得られることが、最上位機の競争ポイントになりつつあるわけだ。
とはいえ、本体も着実に進化している。ディスプレーの画面サイズが6.8インチから6.9インチへと大きくなっているのに対して、本体サイズは小さいまま、また軽くなっているのが驚くべき点だ。Galaxy S25 Ultraの本体は縦162.8ミリメートル、幅77.6ミリ、厚さ8.2ミリで、重さは218グラム。Galaxy S24 Ultraの本体は縦162.3ミリ、幅79.0ミリ、厚さ8.6ミリで、重さは233グラムだ。
Galaxy S25 UltraのAIはかなり進化しており、多くの機能が新搭載された。個人的に感心しているのが「Now Brief」という機能だ。起動するだけでユーザーに合わせたコンテンツを表示してくれる。
米Google(グーグル)の生成AI「Gemini」もサムスンの専用アプリと連携が可能で、「周囲のコンビニを調べてノートに保存して」といった作業が1度の命令でできる。動画サービスのYouTubeの内容を把握して記録することもできるようだが、こちらの機能はうまく動作しなかった。
そもそもAIはソフトウエアベースの処理になるので、レスポンスの差はあれど上位モデル以外にも搭載可能だろう。数年後の製品を考えると、カメラほどハードウエアの差がつくとは思えないのだ。
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