1.斑鳩町立図書館が本番稼働直前にランサムウエア被害、ITベンダーの「不手際」突かれる(12.27 日経XTEC)
奈良県の斑鳩町立図書館は2024年9月30日、ランサムウエア被害に見舞われた。攻撃を受けたのは、翌日に本番稼働を控えていた新図書館システムだった。氏名や住所など利用者2万2000人分の個人情報が流出の危険にさらされた。原因は構築ベンダーのセキュリティー設定の不備だった。安易なパスワード設定や、不十分なセキュリティー設計があだとなった。
京セラ子会社の京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は2024年10月2日、構築中の斑鳩町立図書館向けシステムがランサムウエアの被害に遭い、サービスの延期と利用者2万2000人分の個人情報が流出した可能性について、こう謝罪した。
「どんなに魅力的な製品でも、構築中にこのような事態になったら元も子もない」。斑鳩町立図書館の担当者は、こう怒りをあらわにする。「ITベンダーを信用し過ぎた」(同)とも振り返る。
同町は複数のITベンダーの提案を受け、2024年7月4日にKCCSを発注先に決定した。「細かな条件を指定して蔵書を絞り込める検索機能が優れていることに加え、音声で本を楽しめる『オーディオブック』機能も予算内で付けられることを評価し選定した」(同)。2024年7月から9月末までの3カ月間を構築期間とし、新図書館システムによるサービス提供開始日を同年10月1日と決めた。
2.[ネットワーク]衰えないトラブルへの関心、スマホ人気は続くも市場変化に苦慮(12.27 日経XTEC)
例年同様、2024年も人気を集めたのはトラブル事例とスマートフォン関連の記事だった。2023年はスマホの記事がトップだったが、2024年は那覇市を襲ったトラブルの記事が1位を獲得した。
トラブルは「明日は我が身」の可能性があるため、関心はどうしても高くなる。那覇市のトラブルの原因については本記事を参照してほしいが、有線LAN(Local Area Network)で起こしがちの典型的なトラブルだった。他にも4位と12位をトラブル事例が占めた。なお日経NETWORKでは「トラブルからの脱出」というコラムでトラブル事例を募集しているので、トラブル解決に挑んだ技術者の方は是非その詳細を知らせていただきたい。
3.「2028年には5G RedCap対応の端末台数が5Gスマホを上回る」、GSA予測(12.26 日経XTEC)
モバイル業界団体のGSA(Global mobile Suppliers Association)は、2025年以降の移動通信業界を予測するリポート「Predictions for 2025 & Beyond」を発表した。GSAの公式調査パートナーである英CCS Insightsが、業界の専門家やアナリストなど120人超から得た情報を基にまとめている。以下の3件を含む全93件の項目が掲載されている。
(1)2028年までに、5G(第5世代移動通信システム) RedCap(Reduced Capability)を利用したIoT(モノのインターネット)デバイスが5Gスマートフォンの台数を上回る。
(2)6G(第6世代移動通信システム)は、予定通り2030年から主要事業者による展開が始まる。
(3)2027年までに、欧州の通信事業者は組織を再構築する。また、欧州で最初に6G周波数帯を使用する企業は、通信事業者ではない可能性もあるとしている。
4.NTT東西の固定電話がIP網へ完全に移行、電話交換機が役割を終える(12.25 日経XTEC)
NTT東日本とNTT西日本(NTT東西)は2024年12月25日、固定電話用のネットワークを公衆交換電話網(PSTN)からIP網に全て移行したと発表した。NTT東西の電話サービス用ネットワークが、電話交換機からインターネット技術を応用したものへと完全に切り替わったことになる。
「03(東京23区)」などの「0AB〜J番号」と呼ばれる電話番号を使う固定電話サービスについては、2024年1月に移行を済ませていた。一方、固定電話から携帯電話宛て、「0120」や「0800」から始まる着信課金サービス宛て、「0570」から始まる「ナビダイヤル」宛ての通話などは、2024年1月以降もPSTNを経由していた。
5.KDDIがStarlink衛星との直接通信を2025年春ごろから本格提供へ、年内にはベータ版(12.25 日経XTEC)
KDDIは2024年12月25日、米SpaceX(スペースX)の低軌道衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」を利用したスマートフォンとの直接通信サービス(Direct to Cell)を2025年春ごろから本格的に提供すると発表した。これまでは2024年内の商用化を目標としていた。
Direct to Cellの商用化に向け、KDDIは2024年12月24日までに、総務省から携帯電話端末で衛星直接通信を実施するための免許の交付や、米国連邦通信委員会(FCC)から商用ライセンスに基づくStarlink衛星の電波発射の許可を受けている。
これを受け、12月25日からStarlink衛星の電波を発射し、2024年内に一部のユーザーを対象としたベータ版サービスを提供する予定だ。ベータ版サービスでさらなる技術検証を進める。
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