1.シャープがソフトバンクに堺工場跡地の6割売却、150MW規模AIデータセンター構築へ(12.20 日経XTEC)
シャープは2024年12月20日、液晶パネルを生産していた堺工場(堺市)の土地や施設の一部をソフトバンクに約1000億円で売却すると発表した。敷地面積全体の約6割に当たる約45万平方メートルの土地、延べ床面積約84万平方メートルの建物、電源設備、冷却設備などを売却する。ソフトバンクは売却された土地に大規模なAI(人工知能)データセンターを構築する。
ソフトバンクは買い取り手続きが終わり次第データセンターの建設に着工し、2026年の稼働開始を目指す。稼働当初の受電容量は150MW(メガワット)規模で、将来的には250MWまで引き上げる予定。買い取りに当たっては、4年をめどに250MW超の電力供給を得られることを条件とした。
2.政府議論が大詰めの「能動的サイバー防御」、攻撃の事前検知と無害化は可能か(12.20 日経XTEC)
能動的サイバー防御とは、情報収集を通じてサイバー攻撃の兆候や攻撃元を特定し、攻撃の無害化もしくは妨害の措置を講じること。被害が発生する前にサイバー攻撃を排除するのが従来のサイバー防御と異なる点だ。政府の有識者会議は2024年11月、導入に向けた最終提言をまとめており、法制度の整備が進んでいる。
政府が2022年12月に閣議決定した「国家安全保障戦略」の中では、能動的サイバー防御の実現に向けて3点が示された。(1)官民間における脅威情報の共有を強化する(2)事業者が保有する通信回線を監視・分析し、早期に不正な通信を検知する(3)攻撃者のサーバーに対して侵入・無害化ができるように政府に必要な権限を付与されるようにする、である。
3.名古屋鉄道が初代「生成AI大賞2024」グランプリに、ガバナンス一体の総合力を評価(12.19 日経XTEC)
国内の優れた生成AI(人工知能)活用事例を表彰する「生成AI大賞2024」の最終審査及び表彰式が2024年12月18日に開催され、名古屋鉄道がグランプリを獲得した。生成AIの活用レベルに応じたサービス展開と、ガバナンスと一体の取り組みが評価されての受賞となった。
グランプリを獲得した名古屋鉄道は「名古屋鉄道グループにおける、3レイヤーでの生成AI活用プロジェクト」と題し、社員を生成AIの活用レベルでベーシック、アドバンス、エキスパートの3層に分け、各レベルに適したサービスを展開する取り組みを発表。生成AIの活用初期からガイドライン制定や情報共有のためのポータル設置などガバナンスの整備も並行して進めた点が評価された。
4.日立と苦節10年超、京葉銀行の次世代勘定系システムが2025年1月稼働へ(12.17 日経XTEC)
千葉県の京葉銀行が2025年1月、次世代勘定系システムを稼働させる。次世代システムの開発に着手してから苦節10年超を経て、稼働間際までこぎ着けた。投資額は180億円を超える。日立製作所としては、京葉銀行の次世代システム稼働を反転攻勢のきっかけにしたいところだ。
京葉銀行が次世代システムの開発に着手したのは2014年3月にまで遡る。当初は日立が静岡銀行と共同開発するオープン勘定系パッケージ(今のOpenStage)を採用する計画だった。動作プラットフォームをメインフレームからオープン基盤に全面的に切り替えることなどで、システム構築・運用コストを引き下げたり、新商品・サービスの開発スピードを高めたりする狙いだった。
しかし、プロジェクトは紆余(うよ)曲折をたどる。京葉銀行は2018年度中の稼働を見込んでいたものの、完了予定時期を何度も見直し、最終的に2025年1月までずれ込んだ。稼働時期の延期に合わせて投資額も膨らんでおり、2018年3月期の有価証券報告書では60億円を見込んでいたが、結果的に3倍超の182億5700万円に達した。
5.分からなくてももっともらしく回答するからやっかい、生成AIの「ハルシネーション」(12.16 日経XTEC)
生成AIが事実とは異なる内容を回答する現象。裁判資料として架空の判例を出力したり、著名人の経歴に虚偽情報を盛り込んだりする例が報告されている。間違いに気付かず文章を公開するとトラブルの原因になる。
ビジネスや学業で生成AIを活用する場面が増えている。しかし生成AIの出力結果には、事実とは異なる内容を含む「ハルシネーション(Hallucination)」が生じる場合がある。
現在主流の生成AIでは、事前に学習した大量のデータから単語同士のつながりを推測して文章を作成しており、その仕組み上、ハルシネーションを完全になくすことは難しいといわれている。
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