週間情報通信ニュースインデックスno.1457 2024/12/14


1.メインフレーム人材に脱シニアの波、IBMとアクセンチュアが若手活用で競う(12.13 日経XTEC)
メインフレーム人材の不足が叫ばれて久しい。アルムナイなどシニア人材の活用が進む中で、若手の活用という新たな潮流が出てきた。積極的に若手育成に注力するのは日本IBMとアクセンチュアだが、その方針は大きく異なる。メインフレームを「守る」人材として若手育成の土壌を作る日本IBMと、脱メインフレームを含めメインフレームに「攻め込む」モダナイズ人材を投入するアクセンチュア。それぞれの取り組みを見ていこう。

 日本IBMは「若手技術者Casual Meet-up!」(以下、Casual Meet-up!)を開催し、若手メインフレーム技術者が交流できる場を提供している。日本IBMとユーザー企業、パートナー企業の入社9年目以下の若手が集まり、参加者は延べ120人ほどに及ぶという。

 日本IBMは「ハイブリッド・バイ・デザイン」を掲げ、メインフレームとオープンシステムを適材適所で使い分ける構想を提唱している。今後もメインフレームを運用する人材が欠かせない。交流の場を作ることで横のつながりを形成しながら若手にスキルを伝承し、メインフレーム業界を盛り上げていきたいという狙いがある。

2.那覇市立病院のシステム障害が解消、ネットワーク機器を交換し通常業務を再開(12.10 日経XTEC)
那覇市立病院は2024年12月10日、8日から発生していたシステム障害が解消したと発表した。救急外来と一般外来の受付を制限していたが、10日から通常通り業務を開始した。

 同病院の担当者は、「8日に実施した電気設備の点検作業において、復電時の過電流でスイッチングハブとルーターが故障した」とシステム障害の原因を話した。院内システムへのネットワーク接続が困難になり、電子カルテの登録などができなくなった。

3.見えづらい富士通のスタンス、高知信金が100億円を投じて次世代勘定系を開発(12.10 日経XTEC)
 高知信金は2024年11月20日、次世代勘定系システムである「CORE01」を開発すると発表した。富士通製メインフレームを採用する現行システムから、オープン基盤上で動作するCORE01に切り替える。「当金庫の経営基盤であるコアシステムの強化拡充により、地域インフラを担い、事業継続性を確保する」(高知信金の発表資料)

 このタイミングで高知信金が次世代システムの開発に踏み出すのは、富士通のメインフレーム事業からの撤退が迫っているからだ。富士通は2030年度末にメインフレームの製造・販売から撤退し、2035年度末に保守も終える。勘定系システムの動作プラットフォームに富士通製メインフレームを採用する高知信金にとって、対応は急務だった。

4.10年で主要システムの92%を刷新、「2025年の崖」を乗り越えた三井不動産のDX(12.10 日経XTEC)
「2015年に出した『攻めのIT中期計画』から数えて10年になる」。三井不動産の古田貴執行役員DX本部長は、同社が続けているDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みについてこう語る。

 「攻めのIT中期計画」はデータ活用やマーケティングオートメーション、AI(人工知能)活用、ロボット活用などの推進を示したものだった。当時はIT部門がこうした事業に直結する「攻めのIT」に踏み出すと宣言する企業は珍しかった。

 2015年以降、積極的にシステム開発を続けた結果、三井不動産グループの主要システムの92%は刷新から10年以内のものだ。基幹システムは2019年に米オラクル製「Oracle E-Business Suite(EBS)」から独SAP製の「SAP S/4HANA」に変更した。その他のシステムも次々と刷新しており、三井不動産単体では、クラウド化率は98%である。老朽化したシステムがビジネスの阻害要因となる「2025年の崖」をいち早く乗り越えた企業だ。

5.生産管理システムの情報からCO2排出量算出、NTTD関西が可視化ツール(12.9 日経XTEC)
NTTデータ関西(大阪市)は2024年12月、生産管理システムのデータに基づいて製品別の二酸化炭素(CO2)排出量を可視化するツール「BIZXIM CFP(ビズエクシム シーエフピー)」の提供を開始する。生産管理システム内のデータとその他の情報を連係させて、カーボンフットプリント(CFP)を算出する。サプライチェーン全体を対象とするScope3までのCFPを把握できるため、ユーザーは削減対象とその特徴を理解した上で、効果的かつ長期的な施策を講じられるとしている。2024年12月4日に発表した。

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