週間情報通信ニュースインデックスno.1456 2024/12/7


1.生成AIサービスAmazon Bedrockが機能強化、「自動推論」で幻覚を防止(12.4 日経XTEC)
米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)は2024年12月3日(米国時間)、開催中の年次イベント「AWS re:Invent 2024」の基調講演で、生成AI(人工知能)サービスである「Amazon Bedrock」の新機能を発表した。生成AIの弱点であるハルシネーション(幻覚)への対策などを追加した。

 Amazon Bedrockは様々な基盤モデルの推論機能をクラウドサービスとして提供する。基盤モデルの出力に、事実と異なるデタラメであるハルシネーションが含まれることを防ぐ新機能が「Amazon Bedrock Automated Reasoning checks」だ。

 Automated Reasoning(自動推論)と呼ばれる、数学的な証明や論理的な思考に基づく検証によって、基盤モデルの出力に誤りがないかチェックする。ユーザー企業における規則や手順、ガイドラインなどを登録すると、出力がそれらのポリシーに沿っているかどうかがチェックされる。誤りの有無について判断した根拠も併せて回答する。

2.使い放題とは言えない「使い放題プラン」、増大する通信量に苦慮する携帯各社(12.6 日経XTEC)
 KDDIが好評の「auマネ活プラン」をリニューアルし、いわゆる「ポイ活」に力を入れた「auマネ活プラン+」を提供すると発表した。このプランは「データ通信が使い放題」とうたいながら、200GBを超えると通信速度が制限される。その背景には、急増するデータ通信量に苦慮する携帯各社の様子が見えてくる。

 携帯大手3社が用意する料金プランのうち、系列の金融・決済サービスと連携してポイントが還元されるプランが人気だ。ポイント還元の原資を含むだけに月額料金はかなり高い。だがポイント還元率が高くお得感があることが、人気の要因になっていると考えられる。

 auマネ活プラン+はauマネ活プランと同様、データ通信が使い放題であるとうたっている。だが内容は大幅に変更されている。月当たりの通信量が200GBを超えると「通常利用に影響のない範囲」で通信速度が落とされる。具体的には、最大5Mbpsにまで通信速度が制限されるというのだ。

 モバイル通信は、限りある資産の電波を多くの人が共用する仕組みである。特定の人が大容量通信を続けていると、電波の帯域が占有され周辺の利用者の通信速度が遅くなったり、通信ができなくなったりする。それ故、データ通信の使い放題をうたうサービスであっても、過度に帯域を使用し続ける利用者に対しては一定の制限を課すのが一般的だ。

3.Ericssonがネットワークスライス自動化の実証実験、ベルギー政府が支援(11.19 日経XTEC)
スウェーデンEricsson(エリクソン)とベルギーOrange Belgiumは、5Gネットワークスライスの運用自動化に関する実証実験を行った。複数のベンダーと通信事業者による環境で、コアネットワークと無線ネットワークにまたがる5Gネットワークスライスを作成し、実際のネットワーク上で動作させた。これによって、顧客のニーズに合わせて、拡張性、安全性、低遅延などの接続品質を柔軟に変えて提供できるとしている。ベルギー連邦政府下のBelgian State Federal Public Service Economyから資金提供を受けた「Telecom to the next level-towards sustainable and innovative solutions」プログラムの一環として実施した。

4.メインフレームに「2035年の崖」問題、富士通撤退でモダナイズ待ったなし(12.4 日経XTEC)
IBMがメインフレーム「S/360(System/360)」を発表してから2024年で60年。「還暦」を迎えたメインフレームのモダナイズ競争が激しくなってきた。富士通は2030年度末にメインフレームの製造・販売から撤退し、5年後の2035年度末に保守を終了する。2022年2月の発表から2年半余り経過したが、2024年7月時点で320社、650台の富士通メインフレームが国内で稼働している。この650台のモダナイズ案件の獲得に向けて、富士通をはじめSIベンダーやメガクラウドベンダーを巻き込んだ争奪戦が展開されている。

 メインフレームを抱える企業にとって、2035年はモダナイズの期限として現れた「新たな崖」といえる。この崖を意識すべきはメインフレームユーザーに限らない。メインフレームユーザーがモダナイズのスケジュールを明らかにするなか、オープン系のレガシーシステムを使っているような企業はモダナイズを考えざるを得ないだろう。2035年までにモダナイズを完了できない企業は、ITひいてはビジネスでライバルに後れを取る恐れがある。

 富士通のメインフレーム撤退を他ベンダーはどう捉えているのか。日本IBMの二上哲也執行役員IBMフェローコンサルティング事業本部CTO(最高技術責任者)は「全世界のIBMメインフレームユーザーの数から見ると富士通ユーザーは小さい。富士通が撤退するからといってIBMメインフレームをやめるユーザーはいない」と、態勢に影響なしと受け止めている。

5.NTTとオリンパス、APNを利用して低遅延のクラウド内視鏡システムを実証(12.4 日経XTEC)
NTTとオリンパスは、低遅延・大容量といった特長を備えるネットワーク「APN(オールフォトニクスネットワーク)」を利用し、低遅延のクラウド内視鏡システムを実現できることを共同で実証した。APNは、NTTが推進する次世代ネットワーク構想「IOWN」を支える技術の1つ。2024年3月からクラウド内視鏡システムの実証実験を進め、同年11月19日に同技術の課題がAPNで解決できると発表した。

 クラウド内視鏡システムは、クラウド上に内視鏡の映像を処理する機能などを実現するもの。クラウドに移行することで、内視鏡システムの機能改善を容易にする。ただし既存のネットワークだと映像・操作に遅延が発生するため、内視鏡医が操作に違和感を覚えることがあった。そこでAPNを適用することで、この課題の解決を図った。

 実証実験では、内視鏡映像を入力するデバイスと映像処理を実行するサーバー(クラウド内視鏡システム)をAPNで接続。約150km離れたサーバー上で映像を処理しても、内視鏡医が患者に対してリアルタイムに診断・治療できることを確認した。データ転送の遅延は1.1ミリ秒で、目標値の10分の1だった。内視鏡操作者による目視でも、ローカル接続とAPN接続とで遅延や揺らぎに差が感じられないことを確認した。

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