1.国内企業の無防備なSIM搭載PCを多数発見、不正侵入や個人情報垂れ流しが明らかに(11.29 日経XTEC)
携帯電話網に接続するSIMを搭載したパソコンを悪用して、ランサムウエアに感染させる攻撃が国内で複数見つかった。攻撃に使用されたのは、離れた場所にあるサーバーやパソコンを操作する通信プロトコル「RDP(Remote Desktop Protocol)」。どうやって攻撃者はRDPを悪用したのか。専門家の調査によって、国内企業がSIM搭載パソコンを無防備なまま運用している実態が明らかになった。
医薬品や医療機器の販売を手掛けるほくやく・竹山ホールディングスは2024年2月、社内のサーバーの一部がランサムウエアに感染する被害に遭った。調査の結果、攻撃者はSIMカード搭載のノートパソコンをRDP接続で不正に使用し、サーバーのデータをランサムウエア「Enmity」で暗号化させたことが分かった。SIM搭載パソコンのRDPを悪用したランサムウエア被害は、食品商社の石光商事でも2024年9月に発生している。
2.NECがAIエージェントを投入、LLM「cotomi」はGPU演算効率を2倍に向上(11.27 日経XTEC)
NECは2024年11月27日、研究開発の成果や新規事業の戦略などを紹介する年次イベント「NEC Innovation Day 2024」を開き、AI(人工知能)の業務への活用を促進させる3つの新技術・新サービスを発表した。
同社はDX(デジタル変革)ビジネスの新ブランド「BluStellar(ブルーステラ)」を2024年5月に発表し、独自の大規模言語モデル(LLM)「cotomi」を核に、AIを活用した業務改善サービスをユーザーへ提供してきた。生成AI関連事業については2025年度末までに約500億円の売り上げを目指すとしており、今回の新技術・新サービスで早期達成につなげる狙いだ。
1つ目の発表は、cotomiの性能を強化した新バージョン「cotomi v2」だ。2024年12月から順次提供開始する。NECによれば性能強化の結果、日本語のLLMベンチマーク「Japanese MT-Bench」で米Anthropic(アンソロピック)の「Claude」や米OpenAI(オープンAI)の「GPT-4」、中国Alibaba Cloud(アリババクラウド)の「Qwen」などトップレベルのLLMに匹敵する精度を達成。推論速度はQwenの6倍、OpenAIの「GPT-4o」の2倍を実現し、速度と精度の両立に成功したとする。
生成AIの市場拡大に伴うデータセンターの電力需要増加を見込み、推論処理当たりの電力消費を抑制する技術も開発した。GPU(画像処理半導体)内部にある演算素子の利用効率を高めて並列処理を効率化し、GPUの演算効率を2倍(生成AIの推論に用いられる米NVIDIA(エヌビディア)のGPU「NVIDIA L40S」で検証)に向上させることで電力消費の抑制を可能にした。
2つ目の発表がAIエージェントサービスだ。2025年1月から順次提供開始する。ユーザーが依頼したい業務をAIエージェントに入力すると、cotomiが自律的にタスクを分解して必要なものを選択。最適な業務フローになるようにタスクを自動で並び替えて業務を実行する。
3.GPUの次は「DPU」、AIスパコンに欠かせない新チップの開発競争が激化(11.29 日経XTEC)
大規模言語モデル(LLM)のトレーニングや推論を実行するAI(人工知能)用スーパーコンピューターには、GPU(画像処理半導体)だけでなく、データの入出力(I/O)処理を高速化するDPU(Data Processing Unit)やSmartNICと呼ばれる仕組みが不可欠だ。米Microsoft(マイクロソフト)などハイパースケーラーによる開発競争が激化している。
マイクロソフトは2024年11月19日(米国時間)、年次開発者会議の「Microsoft Ignite 2024」で、自社開発したDPUである「Azure Boost DPU」を発表した。DPUはデータの圧縮や暗号化、ネットワーク仮想化に伴うパケットの振り分けなど、ストレージやネットワークに関連する様々なデータI/O処理をCPUからオフロードして高速に実行する専用チップだ。
LLMのトレーニングを行うGPUサーバーには、大容量かつ高速な外部ストレージを、なるべく高速なネットワークによって接続する必要がある。「会社名が『O』で始まるAI会社」から求められた、GPUサーバーと外部ストレージを接続するネットワーク帯域は1.6テラビット/秒(Tbps)なのだという。Oで始まるAI会社とは、もちろん米OpenAI(オープンAI)のことだ。
実は、GPU同士を相互接続する3.2Tbpsのネットワークの処理は、既にCPUからSmartNICにオフロードされている。SmartNICはデータI/O処理専用チップを搭載するNIC(ネットワーク・インターフェース・カード)で、SmartNICの発展形がDPUだと位置付けられている。GPUはSmartNICを使うことで、サーバーのCPUやメインメモリーを介さずに、他のサーバーのGPUと直接データをやり取りしている。
マイクロソフトは2015年から、パブリッククラウドのMicrosoft Azureで運用するサーバーに「Azure SmartNIC」を搭載している。このSmartNICはFPGAベースだった。マイクロソフトは2023年1月に半導体メーカーの米Fungible(ファンジブル)を買収。ファンジブルの技術をベースにAzure Boost DPUを開発した。
4.週3日以上のテレワーク実施率が減少、出社回帰する従業員に見える「戸惑い」(11.27 日経XTEC)
米テック大手や一部の日本企業が従業員に出社を求める動きが強まるなか、日本のビジネスパーソンの働き方はどう変化しているのか。2020年春からほぼ半年おきに実施してきた調査の最新結果を見ると、テレワークによる在宅勤務の実施率が1年ぶりに減ったことが分かった。実施率は下がったものの一定レベルを維持し、出社と組み合わせた「ハイブリッドワーク」が浸透した結果となった。出社回帰に戸惑うビジネスパーソンの本音も浮かび上がった。
日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボは「働き方改革に関する動向・意識調査」を2020年春から定期的に実施しており、2024年10月に最新となる10回目の調査をした。「あなたはテレワークを利用して職場(派遣・常駐先を含む)以外でどの程度働きましたか」と尋ねたところ、「週3日以上」と答えた人の割合は33.9%だった。2024年4月の前回調査よりも5.9ポイント減った。
5.NTTデータインクがインド企業買収へ、Google Cloud人材約1000人を獲得(11.29 日経XTEC)
NTTデータグループの海外事業会社であるNTT Data, Inc.(NTTデータインク)は2024年11月28日、インドでGoogle Cloud関連サービスを手掛けるNiveus Solutions(ニベウスソリューションズ)を買収することで同社と合意したと発表した。
Niveus Solutions はGoogle Cloudを用いたクラウドエンジニアリングサービスを提供し、Google Cloudのアジア太平洋地域のパートナーアワードを複数受賞している。従業員数は2024年11月時点で約1000人だ。NTTデータインクは買収により、Google Cloudとのパートナーシップや関連ビジネスのさらなる強化を狙う。
NTTデータインクはGoogle Cloud関連ビジネスを強化する理由の1つとして、パブリッククラウド市場の成長が見込めることを挙げる。「Google Cloudなどのクラウドを活用するハイブリッドクラウド戦略を軸に、クラウドマネージドサービスを拡大して顧客への提供価値をさらに高めていく」(NTTデータインク)方針を示している。
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