1.MicrosoftがAIインフラ強化、自社開発「DPU」やAMDと共同開発したCPUなど(11.21 日経XTEC)
米Microsoft(マイクロソフト)は2024年11月19日(米国時間)、米イリノイ州シカゴで年次開発者会議「Microsoft Ignite 2024」を開き、AI(人工知能)用のITインフラストラクチャーの強化などを発表した。データ処理を高速化する専用チップ「DPU」の自社開発や、米Advanced Micro Devices(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、AMD)とのHPC(ハイ・パフォーマンス・コンピューティング)用CPUの共同開発などを明らかにした。
マイクロソフトのSatya Nadella(サティア・ナデラ)CEO(最高経営責任者)は基調講演で、同社が提供するAI用の各種ハードウエアを「Copilot Devices」と総称した。Copilot Devicesには、機械学習モデルのトレーニング(訓練)や推論に使用するAIインフラストラクチャーや、AI専用チップを搭載したパソコンである「Copilot+PC」などが含まれる。
2.ガラスアンテナと太陽光発電で景観と環境に配慮した5G基地局、NECとAGCが実証(11.22 日経XTEC)
NECとAGCは、太陽光発電が可能なガラス素材とガラスアンテナを使った5G(第5世代移動通信システム)基地局の有効性を確かめた。太陽光発電で生み出した電力により、基地局システムの稼働に必要な電力の約30%をまかなう。また無線電波をやり取りする無線機(Radio Unit、RU)を含めて基地局自体を屋内に設置し、基地局増大による景観への影響にも配慮する。
有効性を実証したのは、「景観配慮型サステナブル基地局」と呼ぶ基地局システムだ。太陽光発電に対応するBIPV(Building-Integrated PhotoVoltaics、建材一体型太陽光発電ガラス)と蓄電池、RU、ガラスアンテナから成る。BIPVとガラスアンテナを窓ガラスの内側に設置し、屋外に通信エリアを形成する。
3.生成AIブームは一種のまやかし、「意識高い系の人々」が見過ごしている現実(11.22 日経XTEC)
最近は、生成AIに対する期待があまりに過熱しているようにも感じている。何でもできると思われ過ぎているのではないか。強い言葉を使えば、生成AIブームが一種の「まやかし」の域に達しているのではないかとも感じる。
個人的に、最近は対話型AIサービス「ChatGPT」を使うことが本当に増えた。言い回しが合っているかどうか、事実関係が正しいかどうかなどを気軽に聞くことが多い。ただし、ChatGPTの回答はあくまで参考程度にしか使えない。事実確認でいえば、ChatGPTである程度の目安をつけておき、実際の事実確認は1次資料に当たる必要がある。
なぜなら、ChatGPTは思った以上によく間違えるからだ。皆さんご存じの「ハルシネーション(幻覚)」である。ちょっと論理が込み入ってくると、間違った回答を平気で返してくる。特に数字や単位が絡むと、間違う率が上がる印象だ。論理的な問題に強い「OpenAI o1」というモデルも登場したが、ハルシネーションは言葉を使って考えるLLMの持病のようなものであり、完全にゼロにするのは難しい。
生成AIが得意としているのは、ビジネスモデルの検討といった従来は人間にしかできないと思われていたクリエーティブな作業だ。一方、ミッションクリティカルなシステムにAIが入り込む余地は少なく、将来もロジックが主体であり続けると考えられる。AIとロジックはこうした補完関係で企業システム内に共存していくことになるだろう。
4.電通のAI意識調査、人手不足対策としてのAI導入の意向が8割を超える(11.21 日経XTEC)
電通は2024年11月21日、「AI(人工知能)に関する生活者意識調査」(2024年7月18日から22日に実施)の結果を発表した。AIサービスを使用する人の割合は33.4%だった。一般企業における人手不足対策としてのAI導入意向は8割を超えたが、半年以内に導入するとの意向があるのは約4割にとどまった。
本調査はインターネットで実施し、対象は全国の15〜69歳の男女3000人。生活者のAIに関する認知、活用状況、期待・不安、課題などを聞いた。全体のAIサービス利用率は33.4%で、世代別では15〜19歳の利用率が最も高く、15〜19歳男性の利用率が58.9%、15〜19歳女性の利用率が43.6%だった。2023年11月に行った前回の調査から利用率が最も増加したのは40代女性で、20.7%から28.3%と7.6ポイントの増加となった。
5.Copilot+ PCでAIパソコンの第2幕開く、AI PCと何が異なるのか(11.19 日経XTEC)
近年、パソコンの世界でもAIを活用するアプリが増えている。その流れを受けて、AI処理専用のNPU(Neural Processing Unit)を内蔵したプロセッサーが各CPUメーカーから登場。2024年に入り、それらのプロセッサーを搭載したWindowsパソコンが「AI PC」というブランディングのもと登場した。
当初はこのAI PCが、2024年のパソコン業界をけん引していくものとみられていた。しかし、2024年5月にマイクロソフトが新たに定義したAIパソコン「Copilot+ PC(コパイロットプラスピーシー)」を発表。AIパソコンを巡る動向は、早くも新たな局面を迎えている。
提唱者であるマイクロソフトによれば、Copilot+ PCとは、AI処理が快適に実行できる「新しいクラスのWindowsパソコン」だという。
従来のAI PCとの違いは主に以下の2点。1点目は、AI処理性能が格段に強化されていることだ。Copilot+ PCでは40TOPS(毎秒40兆回の処理が可能)以上のNPU搭載が必須。メモリーやストレージも、快適なAI処理のために高めのスペックが要求されている。
2点目は、過去に使ったデータなどを瞬時に探せる「リコール」や自分のイメージ通りの画像を生成できる「コクリエイター」、ビデオやオンライン会議の音声を同時通訳してくれる「ライブキャプション」といった各種のAI機能が組み込まれた最新のWindows 11(24H2)を搭載していることだ。
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