1.NECがネッツエスアイにTOB、2355億円で完全子会社化し自治体デジタル需要取り込む(11.1 日経XTEC)
NECは2024年10月29日、上場子会社のNECネッツエスアイ(以下、ネッツエスアイ)を完全子会社化すると発表した。2024年10月30日〜12月11日までの期間でTOB(株式公開買い付け)を実施する。買い付け価格は1株当たり3250円で買い付け代金は約2355億円だ。
「ユニークな事業体になる」――。こう話すのは、NECの森田隆之社長兼CEO(最高経営責任者)だ。同氏はNECが2024年10月29日に開催した2024年4〜9月期決算説明会の中で、ネッツエスアイ完全子会社化後の事業再編の展望を説明。森田社長は「NECグループ内に分散する関連リソースを統合して全国の自治体や中堅・中小企業向けのビジネスを強化する」と目的を語った。
ネッツエスアイは全国規模でネットワークソリューションやインフラ工事・保守などを手掛ける企業だ。NECはネッツエスアイを完全子会社化した上で、自治体や中堅・中小企業向けのシステム構築を手掛ける100%子会社「NECネクサソリューションズ(以下、ネクサソリューションズ)」との連係を強化する。
2.Amazonの7〜9月期は営業利益が過去最高を更新、クラウド3強そろって好決算(11.1 日経XTEC)
米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は米国時間2024年10月31日、2024年7〜9月期の決算を発表した。売上高は前年同期比11%増の1588億7700万ドル(約24兆1500億円)、本業のもうけを示す営業利益は56%増となる174億1100万ドルで過去最高益を更新した。営業利益の大半を稼ぐクラウド事業が業績をけん引した。売上高、営業利益ともに市場予想を上回り、同社の株価は時間外取引で同日終値から一時5%程度上昇した。
稼ぎ頭のAmazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)は好調が続く。売上高は前年同期比19.1%増の274億5200万ドル。2024年1〜9月期の売上高は787億7000万ドルとなり、初となる年間売上高1000億ドルはほぼ間違いない状況だ。
AWSの2024年4〜6月期の前年同期比増収率は18.7%だったため、7〜9月期で0.4ポイント増加し、成長が加速した。QUICK・ファクトセットの集計による7〜9月期のAWS売上高の市場予想は275億1000万ドルでわずかに届かなかったものの、AI(人工知能)需要を取り込んだ成長が続いている。
2024年7〜9月期は大手クラウドベンダー3社の成長がそろって加速した。市場は大手クラウドの成長率を、生成AIの実需がどの程度あるかを推測するバロメーターとしても捉えている。3強の好決算で、AIブームの堅調さが明らかになった形だ。
3.NTTとトヨタが共同で基盤開発、AIや次世代通信「IOWN」活用で交通事故ゼロへ(11.1 日経XTEC)
NTTとトヨタ自動車は2024年10月31日、モビリティー分野におけるAI(人工知能)と通信の活用で提携し、計算基盤や通信基盤、AI基盤を組み合わせた「モビリティAI基盤」を共同で構築すると発表した。両社は基盤を運用・標準化し、交通事故ゼロ社会の実現を目指すという。
モビリティAI基盤は、膨大なデータをAIで分析・処理する分散型計算基盤、大容量のデータに対する低遅延な通信を実現するインテリジェント通信基盤、分散型計算基盤やインテリジェント通信基盤を土台にしたAI基盤の3つで構成される。
分散型計算基盤では、自動車などから収集した膨大なデータをNTTが国内のデータセンターに蓄積・処理する計算基盤を構築し、次世代ネットワーク「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」で接続する。インテリジェント通信基盤では、データをリアルタイムで収集するためにNTTがネットワークを提供して低遅延の通信を実現する。AI基盤では、データをマルチモーダルで学習したLMM(ラージ・モビリティ・データ・モデル)を利用し、自動運転の高度化やAIエージェントなどモビリティー分野における解決策を提供する。
4.海外ICTサービスの利用急増で膨らむ「デジタル赤字」、2023年は5.5兆円に(10.28 日経XTEC)
個人や企業が海外のICTサービスを利用することで発生する国際収支上の赤字。2014年に約2兆円だったデジタル赤字は2023年には5.5兆円に達した。2023年の観光関連の黒字約3.6兆円を打ち消す規模となっている。
音楽や動画の配信、スマートフォンやパソコンのアプリストア、Webサービスやアプリで見かけるネット広告など、私たちは国境を越えて提供されるインターネットサービスを日常的に使用している。こうしたサービスの多くは海外企業が提供しており、サービスを通して日本の個人や企業が海外に支払う金額は年々増加している。
国際収支統計にある「通信・コンピュータ・情報サービス」の地域別の支払いを見ると、米国向けが全体の3分の1を占めており増加幅も大きい。これはSNSやアプリストアなど、デジタル関連のビジネスを行う場としての「プラットフォーム」の多くを、米国企業に依存していることを反映している。この状況が一朝一夕に変化するとは考えにくく、日本のデジタル赤字は今後も拡大を続けそうだ。
5.すっかり話題に上らなくなったWeb3、人のふんどしで相撲を取ったのが間違いだった(10.28 日経XTEC)
ブロックチェーンの特性を生かしたサービスやアプリケーションの総称である「Web3」。3〜4年前は毎日何かしら話題があったが、最近はすっかりご無沙汰だ。日経NETWORKでも2022年8月号で特集して以来、大々的に取り上げていない。
2024年7月、Gartnerが発表したハイプサイクルにWeb3がプロットされていた。見ると幻滅期のまっただ中である。話題に上らなくなった現状を適切に示しているといえる。
Web3の関連技術として暗号資産(仮想通貨)があるが、こちらは啓発期に入っていた。実際ビットコインなどは一般的なオンライン証券会社でも取り扱うようになり、かなり身近な存在となりつつある。
個人的にはWeb3という名付け自体が失敗だったのではないかと思う。HTTP(Hypertext Transfer Protocol)などのWeb技術とは本質的に関係がないものにWebという名称を与え、あたかもインターネットの世界を変えるかのように吹聴したからだ。人のふんどしで相撲を取ってはやらせようとして、その試みは成功したものの「結局何だったんだ、それは」という状態になっている。
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