週間情報通信ニュースインデックスno.1450 2024/10/26


1.NTTデータがソブリンクラウドでオラクルと協業、Oracle Alloyを導入(10.24 日経XTEC)
NTTデータと米Oracle(オラクル)は2024年10月23日、日本の企業や団体のデータ主権などを担保した「ソブリンクラウド」の提供で協業すると発表した。NTTデータが自社データセンターに「Oracle Alloy」を導入し、NTTデータのクラウドサービス「OpenCanvas」の中でOracle Cloud Infrastructure(OCI)の機能を提供する。

2.中国バイドゥ、「単なるアイデアにとどまる」参加はNGのハッカソンで鍛える実用性(10.25 日経XTEC)
中国インターネット検索最大手の百度は、社内ハッカソン「第28季百度黒客馬拉松」の決勝戦を行った。百度は、毎年このハッカソンを開催することで、社員のイノベーション能力向上を図っている。2024年夏のハッカソンでは、様々な部門の約1000人から構成された256チームが、実用シーンを起点とする、AIを利用したアプリケーションの開発に挑んだ。

 ハッカソンとは、エンジニアたちが自由にチームを組み、制限時間内に製品や技術ソリューションを開発するというイベントだ。ハッカソンはそもそも米国発祥で、シリコンバレーで人気の「技術者たちの祭典」となっている。

 バイドゥの創業者であり、董事長兼CEO(最高経営責任者)の李彦宏(ロビン・リー)氏は、同社社員が持つコーディング能力と創造力を高く評価。社内ハッカソンこそ、同社社員の業務における総合的な能力をさらに磨き、アイデアを実現させる場になる、という考えを示している。

3.基幹システムの開発が頓挫、124億円の賠償巡り日本通運とアクセンチュアが激しい応酬(10.25 日経XTEC)
日本通運が基幹システムの開発失敗を巡り、アクセンチュアを提訴した。賠償請求額は124億円に上ることが日経コンピュータの取材で明らかとなった。日本通運によると、プロジェクトの遅延に加え、検収では大量の不具合が発覚。開発の中止を余儀なくされたのは、アクセンチュアの債務不履行と主張している。アクセンチュアは真っ向から反論し、成果物の検収など至るところで対立する。

計5回の検査で多数の「不具合」
 訴状によると、日本通運は航空輸送事業におけるグローバル共通基盤の構築を目的に「新・国際航空貨物基幹システム」の開発を計画し、2017年4月25日にプロジェクトを開始した。当初は3年4カ月の開発期間、委託料の総額は123億4400万円(税抜き)と見積もっていた。

 納入前にはITbの品質不良を受け、3回の「打鍵テスト」(アクセンチュアは「打鍵チェック」と呼称)も実施していた。その過程で1418件の不具合を検知済みであったことから、納入物は相対的に高い品質を確保しているべきだと日本通運は主張している。にもかかわらずアクセンチュアの納入物の品質は「劣悪というべきものであった」(訴状)。

4.セキュリティーサービス統合に向け、ユーザー企業が準備すべき3つのポイント(10.25 日経XTEC)
 セキュリティーサービスをユーザーに導入したり運用を支援したりするシステムインテグレーター(以下パートナーと呼ぶ)各社に、プラットフォーム型のサービスに対する見方を聞いた。「長期スパンで見ればユーザーに普及する」という意見が一般的だ。

 そこで改めてユーザー企業にとってプラットフォーム型のセキュリティーサービスのメリットを整理した上で、サービスを導入する際にユーザーが準備しておくべきポイントを解説しよう。

 ユーザーに取ってのメリットを整理するに当たり、まずはセキュリティーサービスを統合するトレンドが生まれた米国の状況を見てみよう。米国ではユーザーが自らSOC(Security Operation Center)を設置し、運用する企業が多い。日本のようにパートナーに依頼するケースは少ない。しかも米国では米国証券取引委員会(Securities and Exchange Commission)が定める規則に基づいて、被害を受けたサイバー攻撃が「重要なインシデント」だと判断してから4営業日以内に開示する義務がある。こうした背景から、「(経営層が)トップダウンでセキュリティーにまつわる情報を管理したいという思いが強い」(NTTデータグループの矢竹清一郎技術革新統括本部Cloud&Infrastructure技術部Cloud&Infrastructure担当部長)。そう考えるユーザーにはプラットフォーム型のサービスが適している。実際1社のベンダーに統合する機運が高いという。

またセキュリティーに関する相談窓口をまとめられることも、ユーザーにとってはメリットになる。セキュリティーの各サービスをユーザーが組み合わせて導入している場合、ユーザーはアラートを上げたサービスに応じて相談相手を選ばなくてはならない。

5.KDDIの通信品質がOpensignalの調査で急上昇、13部門で1位を獲得できた理由(10.25 日経XTEC)
KDDIの通信品質に対する評価が高まっている。著名な調査会社である英Opensignal(オープンシグナル)の最新のリポートにおいて、全18部門のうち13部門で1位を受賞。国内の携帯電話会社として最も多くの部門で受賞した。以前のリポートでは携帯4社のうち唯一、1つも1位を獲得できないことがあったKDDIが、ここに来て他社をしのぐ評価を受けている理由はどこにあるのだろうか。

5G(第5世代移動通信システム)の時代に入ると、ネットワークの品質を巡る競争はしばらく鳴りを潜めていた。スマートフォン以外の用途が広がらず5Gが盛り上がっていないことに加え、政府主導による携帯電話料金引き下げの影響で投資が抑制傾向にあったためだ。

 だがここ最近、ネットワーク品質を巡る携帯各社のアピール合戦が再度加熱している。そのきっかけとなったのは、2023年に起きたNTTドコモの著しい通信品質低下である。新型コロナウイルス禍から回復した後の需要の読み違えや、5Gのネットワーク整備が思うように進まなかったこともあって、大都市圏で同社の通信品質が著しく低下。不満を募らせる声がSNSなどで相次ぎ、同社は大規模なネットワーク対策を急きょ迫られることとなった。

4G転用周波数帯が改善の要因
 KDDIが2024年10月16日に発表したプレスリリースによると、2024年10月のモバイル・ネットワーク・ユーザー体感リポートではauが18部門のうち13部門でバッジを獲得。携帯4社の中で最も多くのバッジを獲得し、ネットワーク品質が大幅に向上したことをアピールしている。

 なぜKDDIのネットワークに対する評価が最近になって大幅に向上したのだろうか。翌日の2024年10月17日、同社はネットワーク品質が改善した要因を説明した。同社が大きな要因の1つに挙げたのが、4Gから転用した周波数帯の活用である。

 KDDIとソフトバンクは、保有する4G向け周波数帯のいくつかを5G向けに早い時期から転用。低い周波数帯でネットワークの「面」を整備し、その後「サブ6」と呼ばれる5Gの高速通信に適した6GHz以下の周波数帯を、トラフィックが多い場所に重点的に設置する方針を取ってきた。

 一方でNTTドコモは、サブ6の基地局を広く設置することで5Gのエリアをカバーする方針を取り、4G向け周波数帯の転用には消極的だった。保有する周波数帯が少ないため5Gに転用できない楽天モバイルも、NTTドコモと同じ方針だ。

 だがサブ6の周波数帯は遠くに飛びにくいので、基地局の数が少ないとエリアの端で通信品質が大きく落ちる。そのためアンテナは立つが通信ができない「パケ止まり」と呼ばれる事象を引き起こしやすくなる。

 KDDIは4Gから転用した周波数帯で5Gのエリアを広く整備し、高トラフィック地域に絞ってサブ6の基地局を密に設置することで、パケ止まりが生じにくい5Gネットワークを構築した。このことが、ネットワーク品質を高められた要因の1つと見ているようだ。

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