週間情報通信ニュースインデックスno.1449 2024/10/19


1.KDDI「Starlinkとスマホの直接通信は2024年中で変更なし」、実証実験を開始へ(10.17 日経XTEC)
KDDIは2024年10月17日、低軌道衛星通信「Starlink(スターリンク)」とスマートフォンとの直接通信(Direct to Cell)に向けて、2024年10月上旬に米国から免許の発行を受けたと発表した。日本においてStarlinkからスマホへ試験電波を発射できるようになる。通信エリアの確認などを含めた実証実験も計画する。

 低軌道衛星通信は一般に、大容量通信を実現するために専用アンテナが必要である。一方でスマホとの直接通信であれば、通信の帯域幅は小さくなるものの、専用アンテナが不要になる。これまではスマホ圏外だった地域で、低軌道衛星による通信が可能になる。

 KDDIは2024年中にスマホとの直接通信を開始する計画を持つ。まずはSMS(ショートメッセージサービス)などのメッセージ送受信からサービスを提供する方針だ。

2.セールスフォースが日本でAIエージェント開始、業務効率化や顧客対応の自動化など(10.18 日経XTEC)
セールスフォース・ジャパンは2024年10月18日、自律型AI(人工知能)エージェント「Agentforce」を日本国内で10月30日に提供開始すると発表した。同社は、ユーザー企業がAIエージェントを活用することで、業務を自動化したり業務効率を高めたりできるとする。 

 AIエージェントとは、大規模言語モデル(LLM)がユーザーの指示を解釈し、それに応じた処理を自動で実行するシステムだ。Agentforceは、これまでユーザー企業の従業員が携わる必要のあった業務内容の一部を支援する。例えば、営業の見込み客リストから顧客を選別して商談を設定するといった処理を自動で実行できる。  カスタマーサービスに特化したAgentforceである「Agentforce Service Agent」も併せて発表した。Agentforce Service Agentは、事前にプログラムされたシナリオがなくても幅広い顧客からの問い合わせに対応できるとする。 

3.Ericssonとソフトバンクが連携、AI-RANを研究開発(10.7 日経XTEC)
スウェーデンEricsson(エリクソン)とソフトバンクは、AI-RAN(Artificial Intelligence Radio Access Network)に関する連携を開始した。通信事業者による新たなユースケースを創出するネットワークの実現を目指し、共同で研究開発を実施する。ソフトバンクは2024年9月11日にも、フィンランドNokia(ノキア)とのAI-RANと6G実現に向けた連携を発表した。3社は同年2月に活動を開始した業界団体「AI-RAN Alliance」の創設メンバーでもある。

4.カシオ計算機がランサムウエア被害で個人情報や契約書など流出、出荷遅れの影響も(10.15 日経XTEC)
カシオ計算機は2024年10月11日、同社のサーバーが第三者からランサムウエア攻撃を受け、個人情報や秘密情報が漏洩したと公表した。 

 漏洩した、または漏洩した可能性があるとするデータは、同社の従業員や関係会社の一部の従業員、同社や関係会社の一部取引先や顧客の個人情報などだ。加えて、現在および過去の一部の契約書や請求書、売り上げなどに関する情報や、法務、財務、人事計画、監査、営業、技術に関する情報を含む社内文書がある。なお、クレジットカード情報は同社のシステムで保有していないため、漏洩情報に含まれないという。第三者による不正被害は今のところ確認していない。 

5.紙の請求書へ狭まる包囲網、郵便値上げは決定打となるのか(10.15 日経XTEC)
 郵便物の取扱量はどのくらい変わったのか。日本郵便や総務省の資料によると、内国普通郵便がピークだったのは2001年度の約256億通。そのうち、一般的な封書郵便のほとんどが該当する第1種郵便は約132億通だった。2023年度は内国普通郵便が約130億通、うち第1種は約71億通となっている。受け止めは人それぞれだと思うが、記者個人は「確かに減ってはいるものの、意外にまだまだ残っている」という印象を持った。

 「まだまだ残っている」要因の1つはBtoBのやり取り、とりわけ請求書だろう。  2023年10月には消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まり、経理業務が煩雑になっている。2023年12月末には改正電子帳簿保存法(電帳法)の猶予期間が切れ、PDF形式の請求書など電子データとして受け取った書類を印刷して保存できなくなった。改正電帳法施行などを機に、会計ソフトのデジタルインボイス対応も進んできた。

 それに加えて今回の郵便料金の値上げだ。値上げ幅も一般的な封書郵便で31%と大きい。様々な環境変化で紙の請求書への包囲網が狭まる中、今回の郵便料金値上げは経理業務の電子化に向けた決定打となるのか。それとも、紙の請求書はさらにしぶとく「まだまだ残っていく」のか。今後の郵便統計や経理部門への調査結果などが気になるところだ。

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