週間情報通信ニュースインデックスno.1437 2024/7/13


1.NTT東西が紙の「タウンページ」を廃止へ、130年超の歴史に幕(7.12 日経XTEC)
NTT東日本とNTT西日本が、企業や飲食店の情報をまとめた電話帳「タウンページ」の紙の冊子の廃止を決めたことが2024年7月12日までに分かった。インターネットの普及に伴い、冊子の利用者が減少。直近の発行部数はピーク時の半分以下に落ち込んでいた。今後はネット版の電話帳「iタウンページ」などのサービスに注力する。

 タウンページは1890年の「電話加入者人名表」に端を発する。1951年に人名別と職業別に分かれ、1983年に人名別は「ハローページ」に、職業別は「タウンページ」にそれぞれ改称した。ハローページはすでに2023年2月の最終版発行をもって廃止している。

 タウンページの発行部数は2005年度に全国で約6310万部に達したが、2023年度には約2662万部に落ち込んだ。紙の電話帳は、130年以上続いた歴史に幕を下ろす。

2.「役に立たないガイドライン」との声、固定ブロードバンドの品質測定に付いた疑問符(7.10 日経XTEC)
総務省は固定ブロードバンドサービスの品質測定手法に関する報告書とガイドラインをまとめ、近く公表する見通しである。インターネット接続事業者が自社サービスの品質を測定し、ホームページなどで公表することを想定する。強制ではなく、あくまで事業者の自主的な取り組みに期待したものになる。このため、「測定に参加する事業者はほとんどいないのではないか」(業界関係者)との声が出ている。

 固定ブロードバンドサービスを巡っては「通信速度が遅い」「特定の時間帯につながりにくい」などの苦情・相談が尽きない。総務省によると光回線(FTTH)サービスに関する苦情・相談のうち、品質関連は2022年度で16.0%に達する。

 参考となるモデルは既にあった。総務省が2015年7月に策定した「移動系通信事業者が提供するインターネット接続サービスの実効速度計測手法及び利用者への情報提供手法等に関するガイドライン」だ。

 ところが、ブロードバンドサービスの場合、品質に影響を与える要因が多くある。インターネット接続事業者の網構成、インターネットエクスチェンジ(IX)との接続構成、アクセス回線事業者の有無や接続形態、ユーザーの宅内環境などだ。「モバイルと違い、測定環境をそろえるのがまず難しい。技術的な制約がある中、妥協に妥協を重ね、条件をそぎ落としていった結果、役に立たないガイドラインになった」(業界関係者)との指摘が漏れ聞こえる。

3.他人のスマホも検出に使う紛失防止タグ、「AirTag」は広範囲・高精度なUWBに対応(7.9 日経XTEC)
財布や鍵などの貴重品は、紛失するとかなり困ったことになる。そうならないために、位置情報を追跡できる紛失防止タグを活用しよう。

 これらはかばんに入れたり、アクセサリーで取り付けたりして使う。紛失タグを装着した貴重品が手元から離れると、スマホに通知が表示され、紛失したことに気付く。通知に気付かなかったとしても、紛失防止タグを最後に発見した位置をアプリで把握できるため追跡しやすい。拾った人に、自分の連絡先を通知できる製品もある。

 紛失防止タグは近距離しか電波が届かないBluetoothの特性を使い、現在位置を検出する。自分のスマホが近くにあるときは、Bluetoothの電波が届くので近くにあることが分かる。一方、自分のスマホが離れると、Bluetoothの電波が届かなくなるため紛失防止タグが「手元から離れた」と認識し、通知を表示する。

 紛失防止タグが優れている点は、同じサービスを使うユーザーのスマホも検出に使う点だ。ほかのユーザーが自分の紛失タグの電波を拾うと、「発見した」と認識し、匿名でその時刻や位置をサーバーに送信する。それが自分のスマホに伝わり、紛失タグの現在位置が分かる。ユーザーが多ければ多いほど検出精度は高くなる。アップルの「探す」(Find My)アプリの場合、世界中に散らばる「iPhone」や「iPad」などで探索するため、検出精度はかなり高い。探すアプリはアップル製品からのみ、位置検索が可能だ。ただし、検出機能自体はサードパーティにも開放しており、アップルの「AirTag」以外にも、各社が販売している探すアプリ対応の紛失防止タグで利用できる。

4.3GPPが掲げる6Gの最新ユースケース、「明確な傾向が見られた」とQualcomm(7.9 日経XTEC)
移動通信の標準化団体である3GPP(The 3rd Generation Partnership Project)がオランダ・ロッテルダムで開催した6G(第6世代移動通信システム)のユースケースに関するSA1(Service and System Aspects Working Group 1)ワークショップでは、6Gの推進に関わる様々な業界団体や研究機関が集まり、システム設計の優先順位や実現手段、ターゲットとなるユースケースに関する意見交換を行った。米Qualcomm(クアルコム)が2024年6月28日(現地時間)の同社ブログにて掲載した。

 6Gの目標として挙がった項目は以下の通り。
 ・経済的成長:6Gでは、新たな収益源を開拓し、大量の新しいデバイス、サービスを提供する。持続可能な世界経済成長の原動力となり、業界の革新と変革を促進するものになる。
 ・技術の進歩:高度な通信と正確なセンシング、位置確認、AI(人工知能)やコンピューティング技術を集約することで、無線技術が大きく飛躍する。
 ・コスト効率:ネットワークのエネルギー消費量削減により、事業者の運用コストを最適化できる。また、ネットワークAPI(Application Programming Interface)を使ったソフトウエア中心のシステムを使用することで、設備投資額を抑えることができる。
 ・社会的公平性:6Gは、デジタル格差を改善しデジタルインクルージョン(デジタル享受社会)を促進するためのコスト効率の高い技術を実現する。新しい6G技術により、誰もが医療、教育、公共安全などの公共サービスにアクセスできるようになり、生活の質が向上する。
 ・環境の持続可能性:業界、地域の6Gビジョンに共通するテーマとして、より環境に優しい未来の実現がある。6Gでは、効率的なネットワーク運用と持続可能な産業の両方を支援する。
 ・信頼性:6Gでは、量子暗号通信、AIによるセキュリティーなどの最新技術を統合することで、セキュリティーとプライバシーに関する要求に応えていく。

 今回のワークショップで発表された6Gのユースケースには、いくつかの明確な傾向が見られた。以下は、今回議論された主なユースケースとなる。
 ・デジタルツイン:物理システムをデジタルでモデリングすることにより、通信ネットワークの効率的な運用などが可能となる。
 ・スマート産業とロボティクス:6Gでは、次世代ロボティクスの可能性を最大限に引き出すことを目標とする。
 ・固定無線アクセス(FWA:Fixed Wireless Access)
 ・次世代IoT(Internet of Things):6Gでは、LPWA(Low Power Wide Area)やエナジーハーベストなどを活用し、医療、自動車、農業などさまざまな分野に向けたIoTデバイスとサービスを支援する。
 ・つながる輸送:6Gは、新時代の安全性や車内体験を提供する。
 ・ミッションクリティカルな通信:6Gは、新しいレベルの信頼性、セキュリティーを提供する役割を担っている。
 ・その他:多くの6Gユースケースでは、地上と地上以外の場所とのシームレスなマルチコネクティビティーを活用したサービスが期待されている。

5.24年度は11社が増収増益予想、富士通・KDDI・NECの3社は10%超の増益見込む(7.8 日経XTEC)
 本特集では、情報・通信企業大手15社の有価証券報告書を読み解き、売上高や収益力、平均給与などをランキング形式で見ていく。第2回は各社の業績予想を基に、2024年度の売上高と営業利益を比較する。業績予想を開示していない2社を除いた13社のうち、11社が増収増益の見通しである。

 2024年度の売上高予想を並べると、2023年度実績と同様、上位は通信系が占める。1位はNTTの13兆4600億円、2位はソフトバンクの6兆2000億円、3位はKDDIの5兆7700億円といった具合である。

 IT系は4位のNTTデータグループが4兆4300億円、5位の富士通が3兆7600億円、6位のNECが3兆3700億円、7位の日立製作所(デジタルシステム&サービスセグメント)が2兆7000億円と続く。9位の大塚商会は初めて1兆円の大台を突破する見通しだ。

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