週間情報通信ニュースインデックスno.1436 2024/7/6


1.IPAがAI利用時のリスク調査の結果を公開、規則策定済み企業は20%未満(7.5 日経XTEC)
情報処理推進機構(IPA)は2024年7月4日、企業や団体におけるAI(人工知能)利用時のセキュリティーやリスクに関する調査結果を公開した。AIの利用状況や利用におけるルール整備の状況などを尋ねた。

 調査は2024年3月18〜21日に、事前調査と本調査の2段階に分けて実施した。事前調査は会社員や公務員、会社の経営者など4941人が回答。予備調査においてAIを業務で利用/許可している、またはその予定があるとした回答者のうち、1000人が本調査に回答した。

 本調査の回答者のうち、AIの導入や利用においてセキュリティーに脅威を感じていると回答した割合は、「重大な脅威である」「やや脅威である」を合わせて60.4%に上った。ここでのセキュリティーは虚偽の事実の拡散、AIの検証不備による事業トラブル、サイバー攻撃の激化などを指す。

 一方で本調査において、自社・組織でAIサービスの利用に関する規則を策定したと回答した割合は、「選定基準や申請・認可プロセス」「営業秘密情報の扱い」「トライアル利用」など10の類型で14.0〜19.4%となり、いずれも20%未満にとどまった。

 事前調査において「AIを業務で利用している、または利用を許可している」と回答したのは16.2%だった。「今後利用/許可する予定」だとする回答と合わせても22.5%にとどまる。

2.「AIの可能性を引き出す5G-Advanced」、QualcommがMWC Shanghai 2024でデモ(7.5 日経XTEC)
米Qualcomm(クアルコム)はアジア最大級のモバイル通信見本市「MWC Shanghai 2024(2024年6月26〜28日、中国・上海)」にて、5G(第5世代移動通信システム)の次に当たる5G-A(5G-Advanced)技術を活用した複数のデモを、中国の大手通信事業者や中興通訊(ZTE)などと協力して披露した。基調講演では、5G-AがAI(人工知能)の可能性を引き出す役割を担うものになると述べている。2024年6月26日(現地時間)付の同社ブログに、その概要を掲載している。

 中国移動(China Mobile)、中国・小米(Xiaomi、シャオミ)、中国Sky Limit Entertainmentと共同で、「中国初」(Qualcomm)とする5G-A対応ミリ波試験プラットフォームを構築した。Xiaomiのスマートフォン「Xiaomi 14 Pro」とQualcommの5G-A 対応モデム-RFシステム「Snapdragon X75」を使用している。まずは、XR(クロスリアリティー)サービスに向け、北京市首鋼パーク内にあるSky Limit EntertainmentのSoReal Paradiseにて、マルチユーザー対応XR対戦ゲームサービスの検証を行う。

 ミリ波を使用することで、約1000平方メートルの空間で10ミリ秒未満の低遅延通信が可能になる。これにより、背中に装備を背負ったりケーブルを気にしたりすることなく、広範囲なスペースでスムーズなXR対戦ゲームを体験できるようになる。

 基調講演では、将来のAI技術に対する5G-Aの役割に焦点を当てた。クラウドベースのAIと端末に搭載されたAIがシームレスに統合する次世代のハイブリッドAIでは、リアルタイムでの処理や分析に向け、高速で信頼性の高い接続性が不可欠となる。

3.人間の仕事が取って代わられる時代が来る、「AIエージェント」の秘める可能性(7.5 日経XTEC)
AI(人工知能)エージェントとは、人の代わりとなって自律的にタスクを実行するシステムを指す。複数のAIモデルを組み合わせることで、単体のモデルでは困難だった高度で複雑なタスクまで処理できる。

 AIとAIエージェントの違いは何か。AIが入出力を通して一方向で作業するのに対し、AIエージェントは人とインタラクティブにやり取りしながら、「目標達成に向けて自律的に行動する」(NTTデータ経営研究所 クロスインダストリーファイナンスコンサルティングユニットの馬場勇介氏)。

 AIエージェントが注目を浴びるのは、これまで人間が実行してきた作業を代わりに遂行できるポテンシャルを秘めているからだ。とりわけ期待されているのはソフトウエア開発の領域だ。AIエージェントがシステム開発における要件定義から設計、実装、テストまでのタスクを自律的にこなすことで、開発の生産性や質を高められる可能性がある。

4.イセトーのランサムウエア被害、徳島県や和歌山市などで40万件以上の情報が漏洩(7.4 日経XTEC)
情報処理サービスのイセトーは2024年7月3日、ランサムウエア(身代金要求型ウイルス)被害の対応状況を明らかにした。同社は5月26日に、複数のサーバーやパソコンがランサムウエア被害を受けていることを確認。外部専門家と調査をした結果、顧客の個人情報を含む情報漏洩が発生していたことが判明したという。

 6月18日、攻撃者グループのリークサイトにおいて公開された情報が、イセトーのサーバーから流出したものであること、流出した情報に顧客の個人情報が含まれていたことを確認した。7月3日現在はダウンロードファイルが消失しており、ダウンロードはできない状態だという。

 情報漏洩被害は徳島県や和歌山市、京都商工会議所、クボタクレジットなど自治体から企業まで広範囲に及ぶ。徳島県は約20万件、和歌山市は約15万件、京都商工会議所はのべ4万件以上、クボタクレジットは約6万件と、計40万件以上の情報が漏洩したことが明らかになっている。徳島県では2023年度の自動車税の印刷データなど、クボタクレジットでは2022年9月度の利用明細データなどが漏洩した。

5.「5G SA展開とミッドバンド活用を加速」、Ericssonの最新モビリティーリポートから(7.3 日経XTEC)
スウェーデンEricsson(エリクソン)の最新モビリティーリポート「Ericsson Mobility Report June 2024」によると、5G(第5世代移動通信システム)の契約件数は2029年末までの時点で約56億件になるという。中国を除く世界の5G人口カバー率は、2023年末の40%から2029年末は80%に倍増するとしている。同リポートでは、5Gが成熟すれば、さまざまな接続サービスの開発がさらに進むとし、そのためには5G SA(Standalone)の展開と5Gミッドバンドの活用を加速させる必要があるとしている。

 モバイルネットワークのデータ通信量は、直近の1年間(2023年3月末〜2024年3月末)で、前年同期比25%増となった。これは主に、契約者の新世代への移行と、動画など多くのデータ量を使用するサービスの利用増による。モバイルデータ通信量は、2029年末まで年平均成長率約20%で増加する。また、2023年末時点では、データ通信量の4分の1が5Gによるものだったが、2029年末には、5Gが約75%を占めるようになる。

 なお、ある大手事業者の調査によると、クリックしてからコンテンツが始まるまでの時間(time-to-content)が1.5秒未満のユーザー体験実現は、5Gミッドバンドのネットワーク環境で97%、5Gローバンドは67%、4G)使用時は38%となっている。

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