週間情報通信ニュースインデックスno.1435 2024/6/29


1.ハッカー集団がKADOKAWAのサイバー攻撃で犯行声明、「金額に不満」と主張(6.28 日経XTEC)
「BlackSuit」を名乗るハッカー集団が2024年6月27日、ダークウェブ上のサイトにKADOKAWAグループのサイバー攻撃に関する犯行声明を公表した。内容の真偽は不明だが、ランサムウエアを含む大規模なサイバー攻撃を受けてシステム障害が発生しているKADOKAWAグループについて言及した。

 犯行声明では、KADOKAWAグループのネットワークの問題を突き、1.5テラバイト(TB)のデータを盗んだと主張。そのデータの中にはユーザーや従業員の個人情報や、契約関連などのデータが含まれていると主張する。

 ハッカー集団はデータを暗号化した後、KADOKAWAの経営陣に連絡を取って金銭を要求したと主張。その一方でKADOKAWAが提示した金額が少なかったため、ハッカー集団が不満を示す記述も存在した。

2.生成AIで運用まで自動化する日本IBM、「要注意プロジェクト」も見抜く(6.28 日経XTEC)
日本IBMが生成AI(人工知能)によるシステム構築の効率化を進めている。システムライフサイクルにおける生成AIの使いどころは、コード生成やテスト自動化などの開発段階にとどまらない。今回は、システム運用の業務支援や自動化、プロジェクト管理における生成AIの活用を見ていく。

 米IBMが2024年5月21日に発表した「IBM Concert」は、IT運用ツールを一括管理し、生成AIで運用状況を分析できるサービスだ。生成AIにはIBMの「IBM watsonx」の機能を使う。IT運用ツールを一括管理する必要性について日本IBMの上野亜紀子理事テクノロジー事業本部IBM Automation事業部長は、「IT現場でAI活用が進み切っていない理由の1つがツールのサイロ化だ」と話す。

 IBM ConcertはITインフラの監視や構成管理、コスト最適化など複数のツールと接続し、システムの運用に関するデータを収集する。収集したデータを自動で分析し、「リスク」「コスト」などの観点における分析結果を表示できる。それぞれの観点の中で、対応の優先度が高い項目を強調する。自然言語のチャット形式で詳細や対処方法を確認できる。

3.スマホのSIMはカードのいらない「eSIM」が主流に、ダウンロードすれば即開通(6.26 日経XTEC)
スマホで電話やデータ通信をするためには「SIM」が必要だ。SIMは、契約者の識別情報を記録したICチップのことで、スマホにセットして情報を読み出す。SIMには「SIMカード」と「eSIM」の2種類がある。SIMカードは、識別情報が記録された小型カードを専用スロットにセットして認識させる。eSIMは、携帯電話会社からダウンロードしたデータ(プロファイル)を基板にじか付けされたチップに書き込む。eSIMが普及し始めたのは2021年になってからだ。

 最近は大半のスマホがeSIMに対応し、利用者がSIMを選べる環境が整いつつある。一方でeSIMの提供元である携帯電話会社の足並みはそろっていない。ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルはいずれも提供しているが、回線を借り受けている「MVNO」は非対応の会社もあるので注意が必要だ。

 端末メーカーによるeSIM対応が進んだことなどにより、今のスマホはおおむね「デュアルSIM」構成ができる仕様だ。デュアルSIMは、1台で2種類のSIMを同時に使えるようにする仕組みのこと。2つの電話番号を所有でき、異なる携帯電話会社の  屋内用のネット回線でデータ通信をするWi-Fiも機種によって性能差が大きい部分だ。Wi-Fi 5またはWi-Fi 6への対応が多い。最新規格のWi-Fi 7で通信できるスマホはわずかだ。

4.パナソニックコネクト、生成AIで社員1万2400人の労働時間を年間18万6000時間削減(6.25 日経XTEC)
パナソニックコネクトは2024年6月25日、自社向けAI(人工知能)アシスタントサービス「ConnectAI」を活用した結果、国内の全社員約1万2400人の労働時間を1年間で18万6000時間削減したと発表した。

 同サービスは米OpenAI(オープンAI)の大規模言語モデルをベースに開発した。活用ケースには比較的削減時間が短い検索エンジンに代わる単純な質問のやり取りや、長い削減時間につながる戦略策定のための基礎データづくりといった内容があった。実際に利用した社員らに1回当たりの削減時間を聞くと、平均約20分との回答だった。活用期間は2023年6月〜2024年5月。

 同社は今後、データ整備を進め、「パナソニックコネクトコーパス」を構築する考えだ。コーパスは生成AIに用いるデータを指す。自社データの対象範囲を品質管理に加え、人事の研修サポート、ITサポート、カスタマーセンターなどの社内サービスにも拡大していく。将来的には個人の職種に応じて回答する個人特化AIの導入も検討する。

5.中古スマホが使えなくなる「ネットワーク利用制限」問題、携帯各社は連携強化を(6.26 日経XTEC)
前の持ち主による端末割賦代金の支払いが滞り、中古スマートフォンが突如、利用できなくなった――。中古スマホでこのような問題が生じることがあるのをご存じだろうか。携帯電話事業者でスマホを購入し、分割払いが残っている状態で中古端末事業者に売却した場合に起こり得る。前の持ち主による端末割賦代金の支払いが滞ると、携帯電話事業者はネットワーク利用制限をかけるので冒頭のような事態になる。

 総務省の有識者会議は利用者への影響が大きいため、債務不履行によるネットワーク利用制限を原則禁止する方針を固めた。ネットワーク利用制限を巡っては、中古端末事業者の業界団体であるリユースモバイル・ジャパン(RMJ)が2017年3月の発足当初から見直しを訴えてきた。これがようやくかなった格好だ。

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