週間情報通信ニュースインデックスno.1434 2024/6/22


1.「人工超知能が10年以内に訪れる」、株主総会でSBG孫社長が予想(6.21 日経XTEC)
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は、2024年6月21日に開かれた定時株主総会に出席した。孫社長はSBGの使命を「人類の進化」と述べ、全人類の英知の1万倍となるASI(Artificial Super Intelligence、人工超知能)が10年以内に訪れると予想した。さらにSoftBank World 2023で10年以内に実現すると予想していたAGI(Artificial General Intelligence、汎用人工知能)は、3〜5年以内で到来するとその時期を早めた。人類の進化の担い手は人間からAGIに変わるという。

 孫社長によるとASIの利用は「避けられるものではなく、1人ひとりがASIのエージェント(パートナー)を持つようになる。積極的かつ最大限にASIを活用すべきだ」とした。

 質疑応答の中で孫社長は、データセンターの電力消費がもたらす環境問題について回答した。孫社長は「(データセンターの)電力消費は今後最大のボトルネックの1つ」とした上で、「電力を一番効率よく消費できるのは英Arm(アーム)の技術だ」と強調した。

2.Deutsche Telekomが産業向けミリ波5Gを商用化、自律型の産業機械とロボットに活用(6.1 日経XTEC)
ドイツDeutsche Telekom(ドイツテレコム)はミリ波と称される26GHz帯を使った5G(第5世代移動通信システム)の産業向け試験を完了し、顧客への商用提供を開始した。2024年6月13日(現地時間)に顧客の活用事例も含めて発表した。ドイツにおいて26GHz周辺の周波数帯は、連邦ネットワーク庁(Federal Network Agency)によって関係者に独占的に割り当てられており、現在はローカルなアプリケーションでのみ使用可能となっている。

 このサービスの顧客であるオーストリアGER4TECH Metall Und Mechatronik Centerでは、自律型の産業機械とロボットを、ドイツ・ベルリンにあるWerner-von-Siemens Centre for Industry and Scienceの構内5G環境内ルーターを使って、ネットワーク接続している。このルーターは、産業向け3.7GHz帯を使った5G SA(Standalone)に加え、ミリ波にも対応している。ミリ波では、RTT(通信往復時間)が3〜4ミリ秒、通信速度は下り時4Gビット/秒、上り時2Gビット/秒を超える高速低遅延通信が可能となっている。エンドツーエンドのIoT(Internet of Things)ソリューションを提供する米Telit Cinterionの協力で実現した。

3.企画のアイデア出しや箇条書きからの表作成、文章作成だけではないCopilotの使い方(6.21 日経XTEC)
用途の決まった文書の下書きだけでなく、企画やアイデアの提案を含めてCopilotに指示することができる。例えば、ギャラリーカフェで開催する写真展で、考えられるイベントを盛り込んだ企画書を指示してみた。すると、企画概要、写真展の目的、詳細、イベント内容などからなる企画書が表示された。

 箇条書きなどの文章から表形式への変換も指示できる。文章を選択し、Copilotボタンのメニューから「表として視覚化」を選ぶ。対象に指定した文章の内容が、Wordの表としてまとめられる。

4.住友電装、工場作業の改善にAI画像認識ソフト「Ollo Factory」導入(6.19 日経XTEC)
自動車用ワイヤハーネスメーカーの住友電装(三重県四日市市)は、人工知能(AI)で工場従業員の作業のばらつきや無駄を発見して生産性を向上できる画像認識ソフトウエア「Ollo Factory」を海外拠点に展開する。Ollo Factoryを開発・提供しているAIスタートアップのOllo(オロ、東京都文京区)が発表した。

 住友電装とOlloは、工場の改善活動の効率化に向けてAIによる動画解析の導入を協議してきた。その一環として住友電装は2023年11月にカンボジアの拠点にOllo Factoryを導入した。

 お手本となる1サイクルの開始点と終了点を指定すると、動画に含まれるすべてのサイクルを自動的に分析して問題点を洗い出す。標準作業と実際の作業との映像の差分を分析し、作業時間のばらつきや手順飛ばしといったミスを可視化する。分析の精度を上げるのに大量の学習サンプルは不要だという。

 従来のストップウオッチを使った分析に比べて改善スピードが約4倍に上がり、現場スタッフからの改善提案の数・質ともに増加した。改善担当者のスキルの差によるばらつきがなくなり、改善活動を短期間に実行できるようになったという。

5.基地局を増やさずSub6エリアを2.8倍に、KDDIが出力向上とアンテナ角度調整で実現(6.17 日経XTEC)
KDDIは2024年6月14日、5G(第5世代移動通信システム)の「Sub6」のエリアを同年5月末までに拡大したと発表した。関東地方で2.8倍、全国で1.5倍に広がった。Sub6は、4G(第4世代移動通信システム)の周波数帯を転用した従来の5G通信と比較し、およそ3倍の通信速度を実現できる。これにより、同エリア内であれば300Mbps(メガビット/秒)超の高速通信が可能になるとする。

 エリア拡大を支えた施策が「基地局の出力向上」と「アンテナ角度の最適化」である。KDDIがSub6の基地局において利用する周波数帯は3.7GHz帯と4.0GHz帯で、衛星通信事業者が保有する地上局と人工衛星局の間で利用する3.6〜4.2GHz帯と干渉してしまう。そこでKDDIは基地局の出力を制限し、アンテナの角度も適正値から下げて運用していた。しかし2023年度末に衛星通信事業者が地上局を移転したため、2024年4〜5月でエリア拡大の施策を実行できるようになった。

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