週間情報通信ニュースインデックスno.1433 2024/6/15


1.KADOKAWAがシステム障害で謝罪、執拗なサイバー攻撃受け「電源引き抜いた」(6.14 日経XTEC)
「読者やユーザー、作家、クリエイター、取引先、株主、投資家をはじめ、関係するすべての皆様に、多大なるご不便とご迷惑をおかけしておりますことを深くおわび申し上げます」――。

 KADOKAWAの夏野剛代表執行役社長CEOは2024年6月14日、6月8日から続くグループ会社全体のシステム障害について、米Google(グーグル)の動画配信サービス「YouTube」上で謝罪した。

 障害の原因は、動画配信サービス「ニコニコ動画」を中心としたサーバー群を標的としたサイバー攻撃だとした。ランサムウエアを含む大規模なもので、データセンターのサーバーが被害を受けたという。復旧のめどについては、「これまでの環境下で再構築できないため、安全な環境で再構築する。復旧時期は調査次第だが、1カ月以上かかる見込みだ」(夏野社長)とした。

 同社では被害拡大を防ぎ、データを保全するために、データセンター内すべてのサーバーをシャットダウンせざるを得なかった。このような想定外の状況のため、復旧には時間がかかるとした。

 一方、パブリッククラウドで保存されていた動画データや、一部を除くニコニコ動画のシステムは無事だった。また、システムのデータバックアップをきちんと取っていたと説明。ただ、バックアップも一部はランサムウエアによって暗号化された可能性を否定できないとする。

2.VMware問題でIIJやNTTコムなどが大幅値上げ、クラウド料金が2〜3倍になる場合も(6.14 日経XTEC)
米Broadcom(ブロードコム)によるVMware製品ライセンスの変更による影響が、国産クラウドベンダーに波及している。VMware製品を使う国産クラウドベンダーが相次ぎ、値上げを始めたからだ。ユーザーが支払うクラウド利用料金が2〜3倍に跳ね上がったケースもあるという。

 各社がクラウドサービスの値上げを始めたのは、ブロードコムがクラウドベンダー向けのパートナー制度やライセンス制度を2024年4月に変更したためだ。変更内容の詳細は後述するが、従来クラウドベンダーは使用するVMware製品のコンポーネントの分だけライセンス費用を支払えばよかった。これに対し4月からは様々なコンポーネントがバンドルされた「VMware Cloud Foundation(VCF)」しか使用できなくなった。それが実質的な値上げにつながった。

 国産クラウドベンダーの話を総合すると、クラウド利用料金に占めるVMware製品ライセンス費用の割合は、これまでは10%程度だったという。その費用が10倍以上に増えるため、クラウド利用料金全体では、従来の2〜3倍の値上げになるのだという。

3.新旧世代が入り交じって販売される無線LAN、現状ではWi-Fi 6Eがベスト(6.13 日経XTEC)
Wi-Fiは対応規格と最大通信速度を必ず確認しよう。最新はWi-Fi 7だが現在はWi-Fi 6EやWi-Fi 6が主流だ。

 Wi-Fi 7はWi-Fi 6Eをさらに高速化した規格で、3つの周波数帯を束ねて高速化を図る仕組みを備えている。そのため、Wi-Fi 7の通信速度はWi-Fi 6Eと比べるとかなり速いが、それを生かせる環境は限られる。Wi-Fi 6Eでも環境が整えば2Gbps程度の通信速度が出るので、1G〜2Gbpsのインターネット回線で使うならこれで十分だ。現状では、Wi-Fi 6E対応のパソコンを選んで実用上は困ることはないだろう。

4.「欧州の6G推進プロジェクトは6つのユースケースから」、Nokia報告(6.13 日経XTEC)
フィンランドNokia(ノキア)は、欧州のスマート・ネットワーク・サービス共同事業(Smart Network and Services Joint Undertaking 、SNS JU)が進める6G(第6世代移動通信システム)推進プロジェクト「Hexa-X-II」の活動近況を報告した。今後の産業や社会で必要となるユースケースを6つのグループに分け、それらを実現するネットワーク性能や機能を提供するために、6Gの開発が必要になるとしている。

 6G時代には、工場や港湾、建設現場などで、危険な作業にモバイルロボットが集団で従事するようになる。学生たちへの完全没入型現実を使った仮想空間での教育や、港湾や空港、工業団地、都市全体のリアルタイムなデジタルツインも実現可能になっていく。

 こうしたユースケースを形にするためには、組み込みAI(人工知能)やクラウドリソース、加えて低遅延で高いスループット、セキュリティー、信頼性を提供するクリティカルなコネクティビティーが必要となる。

 ・没入型体験

 ・協働ロボット

 ・身体感覚

 ・デジタルツイン

 ・完全に接続された世界

 ・信頼性の高い環境

5.トヨタ会長の発言に違和感、認証不正の原因は経営の怠慢だ(6.13 日経XTEC)
「私も含め(認証に関わる業務の)全体像を把握している人は自動車業界に1人もいないと思う」

 トヨタ自動車、ホンダ、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機の5社で、クルマの量産に必要な型式認証に関する不正問題が発覚した。それを受けて2024年6月3日にトヨタが開いた記者会見で、豊田章男会長は認証関連業務の実態を経営として把握できていなかったことを明らかにした。

 型式認証とは、新車を量産する前に安全基準などに合致しているか審査を受ける制度のことだ。試験条件などは法令で細かく定められているが、試験は自動車メーカーが手順書を作成して自ら実施し、データを国に提出するのが基本だ。

 そこに、試験方法や数値のばらつきの許容度などについて担当者の独自解釈の余地が生じる。今回、5社で明らかになった不正では、法令で定められた基準よりも厳しい条件で開発し試験していることを根拠に、認証で求められる試験を省いたり数値を書き換えたりしていたという。

 トヨタなど5社の経営はこうした現場の不正を見逃していた。そもそも認証業務の全体像を把握できていなかったのなら、それは当たり前であろう。全体像を把握している人が自動車業界に本当にいないのかはともかく、少なくともトヨタには1人もいなかったわけだ。これは経営の「怠慢」と言わざるを得ない。

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