1.ChatGPTの次は「世界モデル」、東大・松尾教授が予言する自動運転AIの可能性(5.31 日経XTEC)
「自然言語の次は『世界モデル』だ」。AI(人工知能)研究の第一線を走る東京大学大学院工学系研究科教授の松尾豊氏はこう予測する。世界モデルとは、外部(=世界)から得られる観測情報に基づいて、世界の構造を学習によって獲得するAIモデルを指す。そのユースケースで注目を集めるのが自動運転。
尾原和啓氏(以下、尾原)次のフェーズの1つが自動運転への応用だと思うのですが、松尾先生の研究組織とティアフォーは「世界最高水準の自動運転AI」の開発を目標として2020年に共同研究を開始しています。まずは当初の狙いをうかがえますか。
加藤真平氏(以下、加藤):ティアフォーは自動運転用のオープンソースソフトウエアを開発していて、私はその領域では勝てる自信があります。ただ自動運転の実用化は5年以内の未来で、10年スパンで考えるとAIによる戦いになると読んでいました。共同研究を始めたのはChatGPTが登場する前ですが、当時から松尾先生は「自然言語系のAIが登場する」と予想されていた。しかも、「その次は世界モデルでしょう」と予言されていたんです。
2.DMM Bitcoinで482億円相当のビットコインが不正流出、全額保証する方針(5.31 日経XTEC)
DMM Bitcoinは2024年5月31日、約482億円相当のビットコインが不正に流出したと発表した。同社は顧客から預かっている流出相当分のビットコインについて、グループ会社からの支援に基づいて、全額を保証する方針を示す。
DMM Bitcoinによると、2024年5月31日午後1時26分ごろに、同社のウォレットからビットコインが不正に流出したことを検知したという。原因などは「調査中」(DMM.com広報)としている。
不正流出を受けて、新規口座開設の審査や暗号資産の出庫処理など一部サービスの利用を制限している。また、日本円の出金は通常よりも時間がかかる場合があるとする。サービスの再開については、別途知らせる方針だ。
3.構図や画風をテキストで指定、AIに画像をつくってもらおう(5.31 日経XTEC)
AI(人工知能)は画像の生成も可能だ。画像の状況や構図、画風などを文字で指定すると、AIがそれを判断して画像を生成する。簡易なイラストから写真のような高精細の画像まで生成できる。画像生成AIはビジネスシーンでも活用しやすい。例えば資料に挿絵や状況を示す画像・写真などを作成して添えると、見栄えが良くなり相手に伝わりやすい。
画像生成AIにはいくつかのサービスがある。「Stable Diffusion(ステーブルディフュージョン)」は英Stability AI(スタビリティーAI)が2022年8月にオープンソースで公開した画像生成AIだ。
Stable Diffusionを無料で利用できるWebサービスには、米Hugging Face(ハギングフェイス)のWebサイト「Hugging Face」内の「Stable Diffusion 2.1 Demo」や、英Black Technology(ブラックテクノロジー)が運営する「Stable Diffusionオンライン」などがある。ここではStable Diffusion 2.1 Demoの利用例を紹介する。
Stable Diffusion 2.1 Demoで画像や写真を生成するには「Enter Your prompt(プロンプトの入力)」の枠に、画像や写真の状況を英語で入力する。写真であれば「Photo」、イラストであれば「illustration」や「anime」など、英語で追記すると画風が切り替わる。
4.日立とGoogle Cloudが戦略的アライアンス、生成AIで企業の生産性向上を加速(5.29 日経XTEC)
日立製作所と米Google Cloud(グーグルクラウド)は2024年5月29日、複数年にわたる戦略的アライアンスを締結したと発表した。生成AI(人工知能)による企業のイノベーションと生産性向上を加速する目的だ。
日立は、グーグルクラウドの生成AIモデル「Gemini(ジェミニ)」やAIプラットフォーム「Vertex(バーテックス) AI」、その他のクラウド技術を活用し、企業の課題解決を支援する新たな組織を設立する。グーグルクラウドのAIを採用し、自社の製品やサービスも強化する。
日立の徳永俊昭執行役副社長兼デジタルシステム&サービス統括本部長は「この戦略的提携を通じて、グーグルクラウドのAIを活用し、従業員の生産性向上やイノベーション加速を目指す。グーグルクラウドの生成AI関連技術により、当社の開発部門や顧客に対応するビジネス部門のケイパビリティーを強化することで、さまざまな業界やミッションクリティカルな領域におけるお客さまのニーズにより一層応えることができるようになる」としている。
5.24年3月期決算は携帯大手の中で唯一増益、それでも不安が尽きないドコモの内情(5.29 日経XTEC)
携帯大手3社の2024年3月期連結決算(国際会計基準)はNTTドコモが増収増益、KDDIとソフトバンクが増収減益だった。KDDIは営業利益が10.7%減、ソフトバンクは17.4%減と不調に見えるかもしれないが、KDDIはミャンマーにおける通信事業のリース債権に対する貸倒引当金の計上、ソフトバンクはPayPayの連結子会社化に伴う再測定益(2948億円)を2023年3月期に計上した反動、がそれぞれ影響した。
KDDIとソフトバンクはこれらの一時的な要因を除けば実質、増益だった。不調どころか順調そのものである。両社では本業のモバイル通信が官製値下げのマイナス影響から抜け出し、反転し始めた。非通信領域も今後の成長余地が大きく、KDDIは2026年3月期に向けて法人・金融・エネルギーの各領域で、営業利益の2桁成長(年平均)を目指すとした。ソフトバンクは2023年5月に発表した中期経営計画の進捗が上振れしているため、生成AI(人工知能)などへの追加投資を決めた。
これに対して筆者が唯一、不安に感じたのはドコモだった。売上高・営業利益・純利益・EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)のすべてにおいて過去最高を更新したが、肝心のコンシューマ通信セグメントの回復が遅いのだ。同セグメントの2024年3月期実績は売上高が26億円減の3兆4248億円、営業利益が2億円減の6158億円。ようやく底を打ったように見えたが、2025年3月期予想は売上高が918億円減の3兆3330億円、営業利益が258億円減の5900億円と、いっそう落ち込む見通しである。
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