週間情報通信ニュースインデックスno.1430 2024/5/25


1.MetaとIBMが主導する「AI Alliance」が強調、「安全な生成AIにはオープンソース」(5.24 日経XTEC)
2023年12月に米Meta(メタ)と米IBMが中心となって発足した「AI Alliance」。その初めての公開カンファレンスが2024年5月15日にThe Linux Foundationと共同で開催された。同アライアンスはオープンソースのLLM(大規模言語モデル)を活用し、生成AIの安全な開発および産業利用促進を目的としている。

 カンファレンスの名称は「AI Open Innovation Day 2024」。基調講演には、IBMでAI Allianceディレクターを務めるアンソニー・アナンジアット氏が登壇した。  アナンジアット氏は基調講演で、「オープンソースは高機能で安全なAIアプリケーションの開発に不可欠だ」と強調した。オープンソースの利点として、「Study(研究)」「Modify(修正)」「Use(利用)」「Share(共有)」が可能である点を挙げた。企業や個人など多様な開発者がオープンソースのLLMを用いてAIシステムを開発し技術を共有することで、より高度で使いやすい生成AIを生み出すことができるとする。

 アナンジアット氏はAI Allianceの取り組みにおいて、「AIの信頼性や安全性を重視している」と語った。生成AIの責任ある開発や利用を可能にするため、AI AllianceではAIの信頼性や安全性を検証するベンチマークや評価基準、評価ツールの開発と展開を進めている。

2.ローカル5G端末のiPhoneで通話できるか、デュアルSIMで検証(5.24 日経XTEC)
iPhoneをローカル5G(第5世代移動通信システム)で使うには、通常のキャリア通信用SIM(Subscriber identity Module)とは別に、ローカル5G専用SIMを使う必要がある。ではその両方をiPhoneに挿す「デュアルSIM」の状態ならば、iPhoneはローカル5G環境でもキャリア回線で通話できるのだろうか。ローカル5GでiPhoneを使うために米Apple(アップル)が提供する3つの独自機能も合わせて、ラボ環境で検証した。

 ローカル5G端末としてiPhoneを使う際は、ローカル5G専用のSIMカードと、4G(第4世代移動通信システム)回線用のSIMカードの2枚を使い分ける「デュアルSIM」が便利だ。理由は2つある。1つが、ローカル5Gはそもそも自社の土地など限られたエリアで利用できるようにするネットワークだからだ。ローカル5Gネットワークがカバーするエリアの外では、当然ながらローカル5Gによるモバイル通信はできない。

 そしてもう1つの理由が、現状のローカル5Gはデータ通信専用で利用するケースが多く、基本的には携帯キャリア網で音声通話はできないからだ。記事執筆時点では、アップルは公式ページにおいてローカル5Gはデータ通信専用であり、音声通話用の通信経路は確立できないとしている。

 そこで今回は、ローカル5Gに加えてキャリア回線のSIMカードを併用するデュアルSIMの挙動や使い勝手を、ローカル5G環境で検証した。

3.最新の「GPT-4o」でも日本語のおしゃべりは苦手、まるで知ったかぶりの外国人(5.24 日経XTEC)
先日、大阪で人工知能(AI)について講演する機会があった。米OpenAI(オープンAI)が次世代のAIモデル「GPT-4o」を発表したばかりということもあり、講演の最中にこのモデルの動作をデモしてみることにした。

 GPT-4oの特徴の1つは反応の早さだ。そこでデモでは、スマートフォンの「ChatGPT」アプリでGPT-4oのモデルを選択し、音声で会話することにした。ChatGPTアプリの音声会話で従来のGPT-4を選択した場合、回答が返ってくるまでの時間が長すぎてスムーズな会話は難しい。GPT-4oであれば会話として成り立つくらいのテンポで回答が返ってくる。

 講演の途中でスマホのChatGPTアプリを起動し、「こんにちは。あなたは誰ですか」と尋ねてみた。すると、「こんにちは。私はChatGPTです。何かお手伝いできることがあれば教えてください」とすぐに返ってきた。「今日は大阪に来ています」と言うと「大阪に来ているんですね。どこか特定の場所やイベントを楽しむ予定ですか?」と返ってきたので「はい、イベントに来ています」と返答。ChatGPTが「楽しそうですね。どんなイベントに参加していますか」と聞いてきたところでデモを終了した。

 GPTシリーズは英語圏で開発されており、学習データは英語が中心だ。日本語の学習データも使われているはずだが、その量は英語よりもかなり少ないと考えられる。このため、日本語で質問すると英語よりも回答の品質が下がってしまうという問題が存在する。

 結局、AIの学習でも「ジャパンパッシング」は避けられないのだろう。円安による海外製品の値上がりで「海外よりも貧しくなってしまった」という実感もある。日本の将来に対して悲観的になりがちな状況だ。

4.iPhoneがローカル5G端末として使えるように、Appleが求める要件を検証(5.23 日経XTEC)
米Apple(アップル)がiOS 17の新機能の1つとしてiPhoneを「ローカル5G(第5世代移動通信システム)」の端末として使えるようになると発表したのが、2023年6月のこと。それから1年がたとうとしている現在、機種でいえばiPhone 13以降がローカル5G端末として使えるようになっている。?

 現時点でiPhoneはローカル5G端末としてどんなシーンで活躍できそうか。特に有効だと考えられる場面は2つある。?

 1つは、港湾の拠点や辺境の発電所など、キャリア回線の電波が届きにくく広い場所での活用だ。ローカル5Gで構築したネットワークにiPhoneを接続できれば、キャリア回線の電波が弱い場所でも良好に通信できるようになる。?

 もう1つは、イベント会場など多数の人が集まり通信が混雑しやすい状況での活用だ。こうした場所では回避策としてWi-Fiを使っても、来場状況次第では混雑するのに加え、持ち込み端末があれば電波が干渉するリスクもある。そこで運営スタッフの連絡用に、ローカル5G環境を構築するのはどうだろうか。来場客の端末の影響を受けずにスムーズにイベントを運営できるだろう。?

5.NTTPCコミュニケーションズが新ネットワークサービス、AIOpsを活用(5.22 日経XTEC)
NTTPCコミュニケーションズは2024年5月22日、新たな統合ネットワークサービスを企業向けに提供すると発表した。新サービスではネットワークとセキュリティーの運用をAI(人工知能)で自動化し、社内環境やクラウドへの安全なアクセスと一元管理を実現する。提供開始は2024年7月31日。

 新サービスの特徴は、AIで情報システムの運用を効率化・高度化する「AIOps」を活用する点だ。トラブル発生時の自動切り分けやダッシュボードによる通信状況の見える化などにAIOpsを適用する。不正なファイルの検知や駆除、危険なサイトへのアクセス遮断などのセキュリティー機能も備える。

 2024年7月のサービス開始以降も、自動で拠点を開通する機能やダッシュボードの分析機能の強化などにより、AIOpsの活用をさらに進めていく。端末防御対策などセキュリティー機能の拡充も図る。

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