週間情報通信ニュースインデックスno.1428 2024/5/11


1.バイドゥのAIを搭載したスマートマウス、最大7日かかるパワポ作成を約3分で(5.10 日経XTEC)
インターネット検索最大手の百度(バイドゥ)は自社の大規模AIモデルの能力をスマートマウス企業「?鼠科技(MiMouse)」のマウス上に搭載した。マウスは、ユーザーの資料やコンテンツの生成および創作を、文字入力や画像処理などの面から支援できる点が注目されている。

 大規模AIモデルの発展動向を5年にわたって緊密に追跡した後、馮氏は23年5月、大規模AIモデルを全面的に自社製品に取り込むことを決定。バイドゥの大規模AIモデルプラットフォーム「文心千帆(ウェンシンチェンファン)」に基づき、世界初の大規模AIモデルマウス「MiMouse M4 Al」の開発に成功した。

 例えば、PPT(パワーポイント)の資料を作成するシーンでは、?鼠科技のデータによれば、同社の大規模AIモデルマウスは1日当たり3000個から5000個のPPTの資料を全ユーザーのために作成しているという。一般的なユーザーは、充実した内容のPPTの資料を作成するのに3日から7日かかる。これに対し、同社の大規模AIモデルマウスを使用して作成した場合、80%の作業を約3分で完了できる。

 ?鼠科技の大規模AIモデルマウスの裏側では、文心千帆に内蔵された大規模AIモデル「文心(ERNIE)」が絶えずAI能力を提供することで、PPTの資料や文書の作成のできを効果的に保証している。これにより、ユーザーのオフィスで発生するだろうすべての「創作ニーズ」をほぼカバーしている。

2.5G-Advanced初仕様「3GPPリリース18」24年6月完了へ、Qualcommが選んだ5技術(5.10 日経XTEC)
移動通信の標準化団体である3GPP(Third Generation Partnership Project)は現在、最新仕様「リリース18」の作業の最終段階にある。リリース18は5G(第5世代移動通信システム)と6G(第6世代移動通信システム)をつなぐ「5G-Advanced」の最初の仕様となる。リリース18の仕様標準化は2024年6月に完了する予定である。米Qualcomm(クアルコム)は2024年4月24日(現地時間)、その主要な5つの技術に関する具体的な解説(ブログ記事)を同社サイトに掲載した。

(1)上りリンク強化
(2)ブロードバンドの進化
(3)IoTの高度化と活用拡大
(4)効率的なシステム設計
 リリース18では、新しい省電力ネットワーク技術による運用効率改善も目指す。
(5)AIの導入
 5G-Advancedでは、エンドツーエンドの無線システムへシームレスに統合できるAI(人工知能)モデルとフレームワーク導入に向け、リリース18から研究を開始する。

3.イズミのランサムウエア被害はVPN経由、最大770万件超のデータが閲覧された可能性(5.9 日経XTEC)
イズミは2024年5月9日、同社グループの一部サーバーがランサムウエアに感染したことに伴い、最大で778万4999件の個人情報が閲覧された可能性があると発表した。

 ランサムウエアの感染が発覚したのは、2024年2月15日のことだ。外部の専門機関による調査の結果、VPN装置を経由してグループ会社のサーバーに侵入されたことが分かったという。個人情報が閲覧された懸念があることに加え、イズミグループの共通メールサーバーに保管していたメール履歴が毀損された。件数は現時点で不明だ。

4.気象庁がスパコン2台体制に刷新、線状降水帯の予測精度を引き上げる(5.7 日経XTEC)
気象予報業務に使うスーパーコンピューターを5年ぶりに刷新した。線状降水帯の予測と通常の予報業務でそれぞれ適したマシンを採用。集中豪雨被害の激甚化に対応し、線状降水帯の予測精度を高めた。

 気象庁は2024年3月、予報業務に用いる第11世代のスーパーコンピューター(スパコン)を本稼働させた。前年の2023年3月には、雨雲が列状に発生して同じ場所で長時間の雨を降らす線状降水帯の予測に特化したスパコンを先行して稼働させている。予報業務を2台のスパコンで分担・連携させる2台体制の運用が始まった。

 第10世代までは1台で予報業務の大半を処理していた。気象庁が日常の予報業務で2台以上のスパコンを運用するのは初めてという。

5.NTT系、NEC、富士通が6G移動通信に向け100Gbpsの超高速無線伝送に成功(5.8 日経XTEC)
NTTドコモ、NTT、NEC、富士通はサブテラヘルツ帯に対応した無線デバイスを共同で開発し、100ギガビット/秒(Gbps)の超高速伝送の実験に成功した。100Gbpsは5G(第5世代移動通信システム)の技術規格上の最大値である4.9Gbpsの20倍の速度に当たる。同帯域で100Gbpsの高速伝送と、実験において設定した100メートルの伝送距離を両立した発表はないことなどから、各社は実験に使ったこの無線デバイスを「世界最高クラス」と自称する。携帯キャリア各社などが2030年頃を目標としている6G(第6世代移動通信システム)実現に向け、歩みを進めた形だ。

 サブテラヘルツ帯はおおむね100ギガヘルツ(GHz)から1テラヘルツ(THz)の周波数帯を指し、波長が短く強い直進性がある。今回の実験は、送信機と受信機を見通しのきく100メートルの距離に置いて、100GHz帯と300GHz帯それぞれで無線伝送した。

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