1.KDDIが生成AI開発向け計算基盤を整備、経産省の助成を受け4年で1000億円投資(4.19 日経XTEC)
KDDIは2024年4月19日、生成AI(人工知能)開発向けの大規模計算基盤の整備を開始すると発表した。今後4年間で1000億円規模を投資し、2024年中の稼働を目指す。KDDIは計算基盤の整備に当たって、経済産業省から最大で約102億4000万円の助成を受ける。
KDDIは計算基盤を整備し、大規模言語モデル(LLM)や領域特化型LLMの開発を加速する。LLMの開発では、2024年3月18日に資本業務提携を締結したAIスタートアップのELYZA(イライザ)と協力する。また整備する計算基盤を、LLM開発に取り組む研究機関や国内スタートアップ企業などに対して提供するという。
2.LLMは「複合AIシステム」へ進化する、データブリックスCTOの主張を読み解く(4.19 日経XTEC)
LLM(大規模言語モデル)単体ではなく、複数のLLMに検索システムなどを組み合わせた「複合AI(人工知能)システム」がこれからの主流になる――。そう指摘するのは、データ分析基盤を提供する米Databricks(データブリックス)の共同創業者、Matei Zaharia(マテイ・ザハリア)CTO(最高技術責任者)だ。
複合AIシステム(Compound AI Systems)とは2024年2月に、ザハリアCTOがUCバークレーの人工知能研究所であるBAIR(Berkeley Artificial Intelligence Research)の研究者らと共に、BAIRのWebサイトで提唱した概念だ。
「LLM単体では、単一の基本的な機能しか提供できない。高機能なAIを目指すのであれば、様々なコンポーネントが必要だ。例えば最新の情報に基づいた回答をLLMに生成させるためには、Webで公開された最新のデータや、企業内で生み出された最新のデータを組み合わせる。それが複合AIシステムだ」。ザハリアCTOはそう説明する。
ザハリアCTOは「単体のLLMを大規模化するよりも様々なコンポーネントを組み合わせる複合AIシステムの方が、解釈と制御が容易なAIを実現できる」とも指摘する。
3.改正NTT法が参院で可決・成立、NTTと競合3社がそれぞれコメント(4.17 日経XTEC)
2024年4月17日、「日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律」(改正NTT法)が参議院本会議で可決・成立した。NTTによる研究成果の開示義務は廃止となるほか、外国人役員に関する規制も緩和。会社名(商号)も変更できるようになる。
3社は改めて「NTT法の『廃止』には反対、より慎重な政策議論が行われることを強く要望する」と強調した。「国民の負担により電電公社時代に構築されたNTTの『特別な資産』を維持し、保護するための規律の時代に応じた見直しや強化も含め、NTT法のあり方について付帯決議に基づき、より慎重な政策議論が行われることを改めて強く要望する」とした。
4.ポテンシャルを生かし切れない5G、さらに踏み込んだ整備目標は必要か(4.17 日経XTEC)
5G(第5世代移動通信システム)サービスの提供が2020年3月に日本国内で始まってから4年超が経過した。総務省によると、5Gの契約数は2023年12月末時点で8651万件と順調に伸びている。ただ、5Gならではの良さを実感している利用者はほとんどいないのではないだろうか。
5Gの説明によく用いられるうたい文句は、超高速大容量・超低遅延・多数同時接続の3つである。確かにこれらは一部で実現しているものの、4Gの交換機に5Gの基地局がぶら下がる現行のNSA(ノンスタンドアローン)方式は過渡期の提供形態に過ぎない。あくまで本命は5G単独で動作するSA(スタンドアローン)方式だが、本格展開には至っていない。携帯各社にそれぞれ400メガヘルツ幅の広帯域を割り当てたミリ波も有効活用できていない状況である。厳しい見方をすれば、5Gのポテンシャルを十分に生かし切れておらず、単なるトラフィック増加対策に終始してしまっているような現状がある。
一方、SAに関しては通信品質などの要件に応じてインフラを仮想的に分割する「スライシング」が最大の注目となるが、ベンダーの実装もまだ過渡期の段階で、スループット制御やパーティショニングなどの高度化が進んでいくのはまさにこれから。直ちの目標設定は尚早であり、今後の動向を踏まえた判断でも遅くはないとの意見が出ていた。
ただ楽天モバイルだけは、「SAは5GとLTEの同時利用(キャリアアグリゲーション)ができないため、NSAに比して、ユーザー体感が下がる可能性がある。事業者の状況によりユーザー体感が低下する可能性のある項目は政府としての目標設定には適さない」と全く異なる角度から反対していた。
5.英国で100キロ離れたDC間を1ミリ秒以下で接続、NTTとNTTデータがIOWN利用で(4.12 日経XTEC)
NTTとNTTデータグループは2024年4月12日、英国と米国の国内で実証実験を実施し、NTTグループが所有する約100キロメートル離れたデータセンター(DC)間を1ミリ秒以下の低遅延で接続することに成功したと発表した。同社の次世代ネットワーク構想「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network、アイオン)」の光通信インフラ「オールフォトニクスネットワーク(APN)」を利用して実現した。
実証実験の結果、400Gbps(ギガビット/秒)の通信において両DCを1ミリ秒未満の遅延、1マイクロ秒未満の遅延ゆらぎで接続できたという。英国ではへメル・ヘムステッドとダゲナムのファイバー長で89キロメートル離れたDC間で、米国ではバージニア州アッシュバーンにある4キロメートル離れたDC間で実証実験を行った。いずれもNECのAPN機器で接続し、両DC間の往復遅延と遅延ゆらぎを測定した。
NTTは今回の実験成功により約100キロメートル離れたDCが「同一のDCと同等の統合ITインフラとして機能する」ことを示せたと表明。「分散型リアルタイムAI(人工知能)分析や金融分野への適用可能性を示すものだ」としている。NTTは国内で既に同様の実証実験を実施し、そこでの課題を洗い出すなど2026年の商用化を目指している。
ホームページへ