1.インシデント対応時間削減を目指す企業ほどAI活用、監視運用に関わる392人に調査(3.22 日経XTEC)
パロアルトネットワークスは2024年3月21日、「日本企業のサイバーセキュリティにおけるAI・自動化活用」の調査結果を発表した。
調査データによると、セキュリティーの運用・監視業務のKPI(重要業績評価指標)としてMTTD(インシデントの検出に要する時間)とMTTR(インシデントの対応に要する時間)を用いている企業のうち50%が、脅威を迅速に検出するためにネットワークログや認証ログといったセキュリティーデータをひも付けたり、それらの相関分析にAI(人工知能)を活用したりしていた。
一方、MTTDとMTTRの両方をKPIに用いる企業以外では、そうしたセキュリティーデータのひも付けや相関分析にAIを活用する比率は16%にとどまった。
民間企業でサイバーセキュリティーの管轄・運用・監視業務に関わる管理職・現場担当者392人を対象に、インターネットで2023年11月2〜7日に調査した。
2.登録不要の99gに軽量化、カメラマン代わりのAI搭載ドローン「HOVERAir X1 Smart」(3.22 日経XTEC)
中国Zero Zero Roboticsのカメラ搭載ドローン「HOVERAir X1 Smart(以下、X1 Smart)」は、重量99gという軽さと、簡単にドローン撮影可能な点が特徴の製品だ。2024年4月20日までクラウドファンディングサービス「Makuake」で先行予約販売を実施。その後、一般販売の開始を予定している。先行販売の価格は、ドローン本体や予備プロペラなどを含む基本セットで5万9980円(税込み)となっている。
ドローンの操作は至って簡単だ。スタートボタンを長押しし、電源を入れたら、手のひらに載せて再度スタートボタンを押す。すると数秒してから浮上して、後述する飛行モードに従って飛行・撮影してくれる。
ドローン底面には高度などを測定するセンサーを搭載。飛行停止の際は、機体の下に手のひらを差し出せば着陸してくれる。飛行時はカメラでユーザーを認識させる必要がある。これはユーザーを基準位置としてドローンが動作・撮影するためだ。
まず「ホバリング」は、認識したユーザーの方向を常に向いてホバリングしながら撮影してくれるモードだ。カメラマンが場所を動かずに、常に自分にカメラを向けて撮影するイメージである。「フォロー」は、移動するユーザーを追いかけてくるモード。カメラマンが後をずっと追いかけてくるような撮影ができる。無風時の最大飛行速度は時速25kmほどなので、自転車で走っても追尾できそうだ。
一方でドローンを飛ばす際には、法律や条例による規制の確認が必要だ。特に都市部の屋外では、無許可で飛行可能な空域はかなり限られている。必要に応じて許可・承認を受けなければならない。屋内で飛行させる場合の許可・承認は不要だ。
3.「6Gにミッドバンド」ノキア、課題は伝搬損失や透過損失(3.21 日経XTEC)
フィンランドNokia(ノキア)は6G(第6世代移動通信システム)での活用に向けて検討が進む中周波数帯(ミッドバンド:1G〜7GHz)の詳細な解説を公開した。
6Gは2024年5月に3GPP(The 3rd Generation Partnership Project)SA1グループが6Gのユースケースとその要件に関するワークショップを開催する。2028年をめどに最初の仕様標準化を完了し、2029年末までには商用サービスが始まる見通しだ。
4.NTT東西のフレッツ光がいよいよ純減へ、始まる「負の連鎖」を止められるか(3.21 日経XTEC)
光回線サービスの提供を2001年に開始して以来、初の純減に転じる非常に厳しい状況にある――。NTT東西が総務省の有識者会議で、こう訴えていた。市場の飽和はだいぶ前から指摘され、NTTドコモの「home 5G」やソフトバンクの「SoftBank Air」といったモバイル回線を活用したブロードバンドサービスも伸びている。さすがに一気に減ることはないと思われるが、フレッツ光がいよいよ純減のフェーズに入りつつある。
もっともNTTの決算説明会の資料を見る限り、フレッツ光の契約数はまだ伸びている。直近では2023年4〜6月期が3万7000件増、7〜9月期が2万件増、10〜12月期が3万件増といった具合だ。ただNTT東西によると、インターネット接続サービスの契約がない「ひかり電話ネクスト」の純増数を除くと、7〜9月期と10〜12月期は純減だという。
NTT東西は2024年3月1日に認可申請した2024年度の事業計画で、2023年度のフレッツ光の純増計画数を従前の35万件(NTT東が20万件、NTT西が15万件)から15万件(NTT東が10万件、NTT西が5万件)に下方修正した。2024年度の純増計画数は10万件(NTT東西ともに5万件)としたが、ひかり電話ネクストを除いたインターネット接続サービスでは実質純減となる可能性がある。
NTT東西が冒頭のように訴えた有識者会議とはNTT法の見直しに関する議論と関係のない、接続料に関する研究会である。NTT東西は現在、光回線の卸提供サービス「光コラボレーションモデル」に力を入れる。だが、別の貸し出し形態となる「接続料」のほうは大幅に下がっていたにもかかわらず、光コラボの卸料金は下げ幅が小さいとの不満が出ている。冒頭の訴えはこうした不満への釈明といえる。
こうした不安と同時に筆者の脳裏をよぎったのは、経営判断としての光コラボ導入の是非である。NTT東西は光コラボでまさしくゲームチェンジを図った。販売奨励金を一気に減らし、NTT東西の利益改善に大きく貢献した。借り手は独自ブランドでサービスを展開できるため、「ドコモ光」や「SoftBank 光」などの登場で市場の活性化にもつながった。
5.AI開発で後れを取るApple、iPhoneやMac向け新機能で巻き返しを図る(3.21 日経XTEC)
米Apple(アップル)は同社製品へのAI(人工知能)導入を巡り、競合に後れを取っていると指摘される。米ブルームバーグ通信は2024年3月17日、アップルが米Google(グーグル)の生成AIモデル「Gemini(ジェミニ)」をスマートフォン「iPhone」に組み込む交渉をグーグルと進めていると報じた。これは、アップルのAI開発が当初の期待ほど進んでいないことを示すとみられる。同社はEV(電気自動車)人材をAIに振り向けて開発を急ぐともいわれるが、この競争に追いつけるのだろうか。
英ロイター通信や米CNBCによれば、アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は、24年2月28日に開いた株主総会で、生成AI戦略の具体的な内容を年内に公表すると述べた。クック氏は「生成AIには信じられないほどのブレークスルーがあり、現在この分野に多額の投資を行っている」と強調した。「生産性や問題解決などにおいて、ユーザーにとって変革的な機会をもたらすと確信している。新たな境地を切り開く」と自信を示した。
AIサービスの分野では、マイクロソフトや米Google(グーグル)といった競合の動きが速く、アップルが追いつけるかどうかが注目されている。一方で、アップルにはいくつか有利な点があると指摘されている。同社戦略の1つに、端末上で完結させるAIがあり、これが主力製品であるiPhoneと相性が良いと考えられている。
スマホ市場はすでに成熟しているため、iPhoneの売上高が今後爆発的に増えるとは考えられない。しかしAI機能が拡充されれば、今後も稼働台数は高水準を維持し、サービス収入は伸び続けるだろう。アップルにとってのAIは、巨大エコシステム(経済圏)維持のためのツールと言えるのかもしれない。
ホームページへ