週間情報通信ニュースインデックスno.1421 2024/3/9


1.2024年に5G-AdvancedやネットワークAPI、生成AIはどうなる?GSMAが動向調査(3.8 日経XTEC)
移動通信関連の業界団体GSMA(GSM Association)は、傘下の調査機関GSMA Intelligenceによる最新リポート「The Mobile Economy 2024」を公開した。2023年に16億件だった5G(第5世代移動通信システム)接続数は、2029年までに全移動通信接続数の半数を超え、2030年には全体の56%、55億件に到達するとしている。2024年1月の時点で、101カ国の261の通信事業者が商用5Gサービスを開始している。

(1)次のフェーズに入った5G  移動通信業界では、革新的な5Gユースケースの実現と新しい収入源の創出に向け、5G Standalone(SA)、5G-Advancedへの移行を進めている。5G SAについては、2024年1月の時点で、47社が提供を開始している。多くの事業者が5G SAネットワークの利点として、ネットワークスライシング機能や超高信頼低遅延通信(URLLC)、簡素化されたネットワークアーキテクチャーを挙げている。

(2)ネットワークAPI開発支援活動が業界をけん引  ネットワーク資産の収益性を高めるものとして、通信事業者やその他パートナー企業によるネットワークAPI(Application Programming Interface)の開発が加速している。

(3)衛星通信事業者との連携強化

(4)eSIM採用が加速
 eSIMに対応する一般顧客向けデバイス数が大幅に増加し、商用eSIMサービスも拡大が進んでいる。2025年末までに世界中で約10億のeSIMスマートフォンが接続され、2030年までに69億に達するとみられ、全スマートフォン総接続数の約4分の3を占めるようになる。北米は、米Apple(アップル)が2022年9月に米国でeSIM専用のスマートフォンを発売し、eSIM普及率が最も早い地域となっている。

(5)生成AIの可能性

2.NTT東西が24年4月に不採算地域で「ワイヤレス固定電話」を開始、ISDNは28年末終了(3.7 日経XTEC)
NTT東日本とNTT西日本は2024年3月7日、山村や離島などの不採算地域向けに携帯電話網を活用した固定電話サービス「ワイヤレス固定電話」を2024年4月1日から提供すると発表した。また同日、ISDNサービス「INSネット」の新規受け付けを2024年8月31日に停止し、サービス提供を2028年12月31日に終了すると発表した。メタル回線の老朽化や加入者減に伴うサービス移行策である。

 ワイヤレス固定電話は、NTT東西が携帯電話事業者の基地局網を借りて提供する。料金は住宅用の月額基本料が3級取扱所で1870円(税込み)などと固定電話の料金と同水準にした。NTT東西は2024年3月7日、サービス提供に必要となる、他者の設備を使った地域電気通信業務の認可を総務大臣に申請した。

 INSネットの「ディジタル通信モード」については2024年1月1日以降、順次終了している。今回は残る通話モードについても提供終了時期を決定した格好だ。

3.大規模災害で有用な携帯電話のローミング、課題山積も2025年度中の実現に期待(3.6 日経XTEC)
大規模な自然災害や通信障害が発生した際にも事業者間ローミングで携帯電話を使えるようにする議論が総務省で進んでいる。KDDIが2022年7月に起こした大規模通信障害で実現に向けた動きが一気に加速したが、乗り越えなければならない課題も多い。現状は2025年度末までの導入を目指している。

 TCAは石川県七尾市や穴水町などを例に挙げ、「一部の事業者のみ支障が発生していた地域では(事業者間ローミングで)エリア補完ができる事例は多く、効果はあるものと想定される」とした。

4.情報漏洩続くLINEヤフーに総務省が行政指導、ネイバーとの依存関係に改善求める(3.5 日経XTEC)
総務省は2024年3月5日、LINEヤフーに対し行政指導を行ったと発表した。同社が提供する「LINE」サービス利用者の通信情報や旧LINEの従業員情報が流出するなど度重なる情報漏洩事案に対し、再発防止など必要な措置を講じると共に、その実施状況の報告などを求めた。

 総務省は、同社の業務委託先である韓国ネット大手NAVER(ネイバー)との間に旧LINEの環境に関わるシステムやネットワーク構成、旧LINE従業員のアカウント情報の取り扱いなどについて「相当に強い依存関係」が存在していたことが大きな要因とした。ネイバーや業務委託先会社の情報セキュリティーに関わる安全管理措置に不備があったことが起点となってサーバーへの不正アクセスなどが起き、情報漏洩につながったとした。

 2024年2月7日時点でLINEヤフーに64.4%を出資する中間持ち株会社のAホールディングスには、ネイバーグループとソフトバンクがそれぞれ50%ずつ出資している。総務省はネイバーとの間にある、資本的な支配を相当程度受ける関係について改善を求めた。ソフトバンクは今回の行政指導を受け、「LINEヤフーのサービスを皆さまがより安心してご利用いただけるよう、LINEヤフーの親会社として実効的なセキュリティガバナンス確保の方策を検討していく」とした。

5.市場回復の期待を担うAIパソコン、「2027年に全出荷の6割」予想も(3.5 日経XTEC)
ITリサーチ各社が「AIパソコンが数年後に市場の過半を占める」という予測を発表した。AIパソコンとは、例えば米インテルが2023年12月に発表した、ニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)内蔵のCore Ultraプロセッサーを搭載したパソコンのことだ。

 IDCが発表時に示したAIパソコンの定義は「GenAI(生成AI)タスクをローカルで実行するように設計された特定のシステム・オン・チップ(SoC)機能を搭載したパソコン」である。カナリスは「AIワークロードを実行できる専用チップセットまたはブロックを有するデスクトップまたはノートブック」とし、専用ハードをNPUと総称するとした。

 AIのワークロードをパソコンに移動する理由はパフォーマンスの向上である。AIワークロードがクラウドとネットワークを往復する手間を省ける。コスト削減にもつながる。高価なクラウドリソースへのアクセスを制限できるからだ。そしてデータを社内に保持しておける。

 従来パソコン上でのAIワークロードはCPUとGPUで処理していたが、チップがAI実行に最適化されていないため、パフォーマンスやバッテリー消費に難があった。

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