1.顧客が多様化の一方で「企業は生成AIで同質化の恐れ」、アクセンチュアが警鐘(3.1 日経XTEC)
アクセンチュアは2024年2月29日、社会のトレンドやそれを踏まえて企業に求められる対応をまとめた年次リポート「Accenture Life Trends 2024」を公表した。同リポートは今回で17回目となる。2024年のトレンドとして、「愛を取り戻せ」「インターフェース革命」「創造性の逆境」「テクノロジーの飽和点」「成功神話の解体」の5つを挙げた。
これらのトレンドを踏まえ、アクセンチュアの木原久明Accenture Song執行責任者兼コンサルティング部門日本統括マネジング・ディレクターは「経済状況や社会情勢、テクノロジーの飛躍的な変化により、人々の価値観が解体され、再構築されている」ところだと説明する。
木原氏は、こうした価値観の解体・再構築に伴い顧客の価値観が多様化するため、企業もそうした変化に向き合う必要があると指摘。一方で、企業が効率化を目的に生成AI(人工知能)などのテクノロジーの活用を進めることで、同質化に陥る恐れがあると木原氏は警鐘を鳴らした。
「極端な言い方をすると、生成AIは究極の模倣。(顧客との向き合い方の)平均は引き上がるが、均質化する可能性が十分にある。効率化と同質化というトレードオフ(相反)にどう立ち向かうかが、日本企業がこれから多様な価値観に応える上での大きなチャレンジになる」(木原氏)との見方を示した。
2.「賢さ」で人を選別する社会は時代遅れに、眼鏡を使うように知能はAIで補える(3.1 日経XTEC)
現代社会では知的労働が中心なので、賢さは仕事をするうえでも有利だと見なされている。なので、難関大学(あえて一流大学とは呼ばない)の出身者が就職で優遇される、いわゆる「学歴フィルター」は、様々な批判があるにもかかわらずなくならない。この場合の学歴は、高校卒か大学卒かといった文字通りの意味ではなく、いわば「大学ブランド格付け」である。
企業が賢い人を欲しがるのは、そうした人のほうが質の高い仕事ができ、企業に多くの利益をもたらすと期待するからだ。そして、学歴と賢さにはある程度の相関がある。だから、企業の学歴重視は簡単にはなくならない。
ところが、こうした賢さの価値が、人工知能(AI)の進化で揺らいでいる。
であれば、AIの普及により人の賢さはあまり問題にならなくなるかもしれない。視力が低い人は、眼鏡やコンタクトレンズを使えば不便さを軽減できる。同様に、賢さが足りない人は、視力が低い人が眼鏡をかけるようにAIを利用することで、ハンディキャップを乗り越えられる可能性がある。
ところがAIの登場で、賢さも差異化要因にならなくなっていく。そのとき社会はどんな人を優秀だと見なすのか。広木氏は、その鍵を握るのは「個性」だと見ている。「面白いことをやっているなど遊んでいるのに近いこと」「変にこだわっている要素」などが重要になっていくという。
AIによって賢さが差異化要因にならなくなった将来、すべての人が仕事においてこうした独自の価値観を追求しなければならなくなる。
3.京都で新世代公衆無線LANの実証実験、場所が変わっても再設定が不要に(2.29 日経XTEC)
京都スマートシティ推進協議会、新世代公衆無線LAN(OpenRoaming)の普及ワーキンググループ、京都府、京都?度技術研究所(ASTEM)、シスコシステムズ、及びLocal24は、新世代の公衆無線LAN「OpenRoaming」を京都府で提供する実証実験を開始した。府内の主要観光地や交通拠点に設置した14カ所のデジタルサイネージで提供する。実証期間は2024年1月22日から同年3月末までの予定。
OpenRoamingは、公衆Wi-Fiサービス関連事業者の業界団体であるWireless Broadband Alliance(WBA)及びその参加企業が共同開発した国際的なWi-Fi相互接続基盤。モバイル端末が無線LAN のアクセスポイントを自動で探知して接続できる。?度接続設定を済ませれば、世界中のOpenRoaming対応Wi-Fiに?動接続できる。従来の?般的な公衆無線LANは、場所が変わるたびにログイン画面からWi-Fi接続の設定をする必要があった。
4.顔」を盗むiPhoneマルウエア出現、ディープフェイクで銀行口座に不正アクセス(2.28 日経XTEC)
生成AI(人工知能)などを悪用した「ディープフェイク」が大きな脅威になっている。その1つが「顔交換」。自分の顔を他人の顔にすげ替えた動画や画像を生成する。無料あるいは安価なツールやサービスが出回り、誰でも簡単に試せる状況になっている。
顔交換の悪用方法の1つが、生体認証の回避である。顔交換で他人になりすまし、顔認証をパスして不正にログインする。セキュリティー企業の英iProov(アイプルーブ)によると、顔交換を悪用したサイバー攻撃が2023年後半に急増。2023年前半と後半を比べると、報告件数が8倍以上になったという。
顔交換を実現するには、なりすましたい相手の顔情報を盗む必要がある。そのために開発されたと思われるマルウエアを、シンガポールのセキュリティー企業Group-IB(グループIB)が2024年2月15日(現地時間、以下同)に報告した。
Androidスマホ版(Android版)とiPhone版(iOS版)が存在する。グループIBによるとiOS版は「初のiOSトロイの木馬(正規ソフトに見せかけたマルウエア)」だという。一体、どのようなマルウエアなのだろうか。
Group-IBは今回のマルウエアを「GoldPickaxe」と名付けた。Android版はGoldPickaxe.Android、iOS版はGoldPickaxe.iOSと呼ぶ。作成者は、中国語を話すサイバー攻撃者グループ「GoldFactory」とされる。
攻撃者グループは、SMSやメッセージングアプリなどでGoldPickaxeを配布するWebサイトにユーザーを誘導。公共サービスなどを提供するアプリに見せかけてGoldPickaxeをインストールさせる。
インストール後に起動されたGoldPickaxeは、認証のためと称してユーザーの顔を録画する。その際、まばたきする、ほほ笑む、左を向く、右を向く、うなずく、上を向く、口を開けるといった指示を出して様々な顔動画を録画し、ディープフェイクの精度を高める。
また身分証明書の写真を撮影したり、電話番号などを入力したりするよう指示する。スマホに保存されている写真も盗み出す。さらにSMSのメッセージを盗聴。これにより、SMSで送られてくるワンタイムパスワードを使った2要素認証も破れるようにする。盗んだデータはインターネット経由で攻撃者グループのサーバーへ送られる。
今回報告されたGoldPickaxeは、「ディープフェイクで顔認証を破れる」及び「iOSにマルウエアをインストールできる」という2つの可能性を示した。GoldPickaxeによるものと思われる被害も発生している。
5.楽天グループとOpenAI、Open RANを使った通信業界向けAIツールの開発へ(2.27 日経XTEC)
楽天グループと米OpenAI(オープンAI)は2024年2月26日、通信業界向けAI(人工知能)ツールを共同で開発・提供すると発表した。楽天の無線アクセスネットワーク「Open RAN(Radio Access Network)」とオープンAIのAI技術の知見を組み合わせる。モバイルネットワークの計画や構築、管理の際に生じる通信事業者固有のニーズと課題に対処したAIツールを開発するのが狙い。
両社は楽天のAIプラットフォーム「Rakuten AI」で既に協業している。同プラットフォームについて、顧客サービスやネットワーク最適化、未然に故障を防ぐ予知保全に関する機能などの提供を目指す。これにより通信事業者がネットワーク上の問題をリアルタイムに検出して解決する、応答性の高いネットワークが運用できるとする。
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