週間情報通信ニュースインデックスno.1418 2024/2/17


1.AIマネジメントの国際標準規格が発行、実は日本が主導の舞台裏(2.15 日経XTEC)
様々な場面で使われ始めた人工知能(AI)を世界中で同じ品質レベルで利用できるようにするマネジメントシステムと呼ばれる国際標準規格「ISO/IEC 42001」が発行された。実は日本からの提案が規格を策定する議論を主導した。

 2023年12月に発行された「ISO/IEC 42001(AIマネジメントシステム、AIMS)」は責任あるAIシステムの開発や提供、利用をするために企業などの組織が順守すべき要求事項を定めている。信頼性や透明性などを高める継続的な改善の仕組みをPDCA(計画・実行・評価・改善)の方法論で規定している。

 AIMSによって企業などはリスクの大きさに応じて対策を講じる「リスクベースアプローチ」など、AI関連のリスクや事業機会を管理する組織的な仕組みを構築できる。AIアルゴリズムの公平性や個人のプライバシーへの配慮、AI特有の学習データについて考慮する際にも重要な規格という。

2.OpenAIが最長1分の動画生成AI「Sora」発表、「AGI達成へのマイルストーン」(2.16 日経XTEC)
米OpenAI(オープンAI)は米国時間2024年2月15日、テキストの指示を基に最長1分の動画を出力できる生成AI(人工知能)「Sora」を発表した。一般公開せず、デザイナーや映画の制作者などだけにアクセスを許可。当面は専門家からモデルのフィードバックを受け付ける。同社は「AGI(汎用人工知能)を達成するための重要なマイルストーンになると考えている」とした。

3.KDDIが24年度中にSub6エリアを2倍に拡大、5Gの普及フェーズを見据え(2.15 日経XTEC)
KDDIは2024年2月15日、同年度中に5G(第5世代移動通信システム)におけるSub6(3.7GHz帯と4.0GHz帯)エリアのカバー率を、約2.1万メッシュから約4.3万メッシュへと約2倍に拡大すると発表した。2024年度以降、衛星干渉条件緩和により、従来制限していた基地局からのSub6出力を上げられるようになるため、大容量かつ高品質なSub6カバーエリアの拡大が可能となる。

 同社は2024年度以降、5Gは導入期から普及期へとフェーズが移行するとしている。普及期では、高速で安定した通信速度を提供するために高周波・広帯域の5G新周波数エリアを拡大していく方針だ。

4.高校入試出願システムのメール不達は必然、「Gmailガイドライン」の誤解を解く(2.14 日経XTEC)
米Google(グーグル)の「メール送信者のガイドライン」が2024年2月1日から適用された。これにより、迷惑メール対策が不十分な送信元からのメールはGmailアカウントに届かなくなる。

 ガイドラインによりメールのセキュリティーが向上し、迷惑メールの抑制につながるのは望ましいことだ。だが、このガイドラインのインパクトが大きかったために、誤解も多いように感じる。

 最初のガイドラインは「Bulk Senders Guidelines(一括送信者のガイドライン)」という名称だった。ここでのBulk Sendersとは、バルクメールを一括に送信する個人や組織を指す。バルクメールは、多数の受信者に送る同じ内容のメールを指す。広告メールやメールマガジン(メルマガ)などが該当すると考えられる。

 ところが2022年のアップデートで大きく変わった。送信ドメイン認証が「必須(required)」になったのだ。これまでのガイドラインには必須の要件はなかった。「重要(Important)」として、「2022年11月以降、Gmailアカウントにメールを送信する新しい送信者は、SPFまたはDKIMを設定する必要があります」と記載されている。

 2024年1月に話題になった、「神奈川県公立高等学校入学者選抜インターネット出願システム」からのメールの不達も同様だろう。

 神奈川県が2024年1月19日に公開した記者発表資料では、原因を「1月9日(火曜日)以降、『@gmail.com』のメールアドレスを連絡先として登録している志願者あてのメールが増加したことからGmail側で制限がかかったことによるものと考えられます」としていた。

 だが実際には、送信ドメイン認証への対応が不十分だったためと推測する専門家は多かった。新しいガイドラインの適用開始まであとわずかということもあり、「なぜ2月になっていないのに届かなかったのか」という疑問が一部にあったようだが、SPFとDKIMを設定していなかった、あるいは設定が誤っていたために当時のガイドラインに抵触してメールが届かなかったというのが実情ではないかと筆者も推測した。

 グーグルがガイドラインを作成して公開するのは、正規のメールが迷惑メールと判断されるのを防ぐためである。正規のメール送信者を苦しめるのが目的ではない。多少ハードルは高いかもしれないが、ガイドラインに粛々と対応することが、自社のメールをGmailアカウントに確実に届けるためには何よりも重要だ。それが、ネット全体のメールセキュリティーの向上につながる。

5.効率的に電波を使う、干渉発生を抑えて共用する「ダイナミック周波数共用」(2.13 日経XTEC)
携帯電話などの移動通信システム向けに、既に別の用途に割り当て済みの周波数を柔軟に共用する仕組み。電波干渉が生じないよう地理的・時間的な運用状況を踏まえて共用し、周波数を効率的に利用する。

 同じ無線周波数を利用する異なるシステムを近くで利用すると、電波が干渉してお互いに機器が正しく動作しなくなる場合がある。これまで異なる無線システムで同じ周波数を共用するには、電波干渉を避けるため、地理的に十分離れた距離で運用する必要があり、利用可能な地域の制約が大きかった。

 「ダイナミック周波数共用」では、地理的な運用状況だけでなく時間的な運用状況も考慮して、より積極的に周波数を共用する。KDDIと沖縄セルラーは2023年7月、放送事業者が中継映像の伝送などに使用している2.3GHz帯の周波数について、ダイナミック周波数共用の仕組みを使って5Gの通信用として共用を開始した。放送事業者はスポーツ中継などで2.3GHz帯の電波を使用する際に、時間や場所をデータベースに登録する。すると判定システムが地理的条件などを踏まえて自動判定し、干渉の可能性がある携帯基地局の電波を制御する。

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