週間情報通信ニュースインデックスno.1417 2024/2/10


1.能登半島地震で露呈した安否確認の「想定外」、帰省中を考慮し設定見直しを(2.9 日経XTEC)
2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」。いつ起こるか分からないのが天災だが、正月それも元日の発災は多くの企業にとって想定外だった。帰省や旅行で普段とは異なる場所に滞在する従業員が多かったため、安否確認が想定通りに進まなかったケースがあった。設定の見直しが必要だ。

 「安否確認メールの発信対象は勤務地ベースで登録している。例えば北海道勤務で石川県の実家に帰省しているなど、正月に帰省のため被災地にいた場合にはメールが発信されないケースが生じている」。北陸3県と北海道を中心に支店を展開する北陸銀行は、能登半島地震が発生した際の安否確認に関する日経クロステックによる取材に対してこう返答した。

 能登半島では石川県輪島市や珠洲市、七尾市などに支店を展開する北陸銀行。能登半島地震の発生直後に「セコム安否確認サービス」を使用して、従業員や家族の安否を確認した。安否確認サービスとは一般に、地震などの災害発生時にメールやスマートフォンアプリケーションなどを通じて各従業員の安否状況をスムーズに収集したり、従業員に指示をしたりするツールだ。

 北陸銀行では地震発生直後の第一報の安否確認に対する回答率は97%で、翌日の午前までにおおむね全従業員の安否確認ができた。一部、安否確認にすぐに返答できなかった従業員もいたが、緊急連絡先に電話をかけたり、避難所で他の従業員が未回答の従業員を見つけたりして、安否確認をしたケースもあった。

 同行では災害対策本部の担当者や全支店長が、災害時であっても通話制限を受けない「災害時優先通信」が利用できる携帯電話を平時から携帯し、緊急連絡用のチャットアプリも導入している。店舗やその周辺の被害状況や、安否の確認ができていない従業員の情報などを、リアルタイムで本部とやり取りできた。

2.NTT「復旧はモバイルファースト」、ローソンでのdポイントやd払いは継続の意向(2.9 日経XTEC)
NTTは2024年2月8日、2023年4〜12月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高に当たる営業収益は9兆7169億円(前年同期比1.5%増)、営業利益は1兆4862億円(同2.3%減)だった。前年同期比で増収・減益で、営業収益は過去最高を更新した。NTTドコモを中心とした総合ICT事業、NTTデータを中心としたグローバル・ソリューション事業が営業収益を押し上げた。

 能登半島地震における被災地への支援状況としては、指定避難所やそれ以外の拠点含めて約300カ所へ訪問し、ドコモ公衆ケータイを1520台、衛星携帯電話「ワイドスターII」を375台、Starlinkのアンテナを9台提供した。長期化している避難生活者向けに心身ケアのため、映像サービスやオンライン再診なども実施している。

3.5Gを活用した鉄道用通信システムの実証実験を東京メトロなどが開始、24年8月から(2.9 日経XTEC)
東京地下鉄(東京メトロ)と鉄道総合技術研究所、日立製作所、三菱電機、NTTコミュニケーションズは、5G(第5世代移動通信システム)を活用して、地下のトンネル内や地上の線路内などに設置した地上設備と列車間で通信する実証実験を2024年8月から開始する。2024年1月24日に発表した。5Gを活用した列車運行システムの実証実験は国内では初めてという。

 今回の実証実験ではパブリック/ローカル5Gを活用する。欧州を中心に規格が検討されている次世代鉄道向け無線通信基盤であるFRMCS(Future Railway Mobile Communication System)との互換性も考慮した鉄道用通信基盤のプロトタイプを構築し、電波環境の測定などを実施する。さらに、地上と列車間で無線通信技術を利用し、列車の安全・安定運行を制御するCBTC(Communication Based Train Control)などを想定した5Gの実用性に関する試験を実施する。

4.能登半島地震でも需要急増、PayPayのオフライン支払いに見るスマホ決済の普及策(2.8 日経XTEC)
最近はスマートフォン決済に頼り切りで、財布を持ち出す機会もめっきり減った。ところが先日、東京ドーム周辺の店舗でスマホ決済をしようとした際、通信不良で利用できなかった。店員によると「東京ドームでイベントがある日は、スマホの通信が不安定になりやすい」そうだ。

 その場は、PayPayのオフライン支払い機能を利用して事なきを得た。ただ、通信環境が整っているはずの都市部でも利用できない状況が生じるのを実感した。今後、スマホ決済が現金を代替する機会が増える中で、オフライン時の対応は大きな課題となる。

 この課題にいち早く対応したのがPayPayだ。同社は2023年7月、国内の主要コード決済事業者として初めて、インターネットが利用できない環境でも決済ができる「オフライン支払いモード」を投入した。電波が届かなかったり通信速度が遅かったりする環境でPayPayアプリを開くと、自動的に同モードに切り替わる。

 アプリに表示されたコードを店舗側が読み取ると、決済が完了する。支払い後もアプリの画面に変化はなく、通信が回復した時点でプッシュ通知により決済情報が同期される。利用できるのは、消費者がスマホに表示したコードを店舗側のPOSシステムなどで読み取る「利用者提示型(CPM)」方式を採用する店舗だ。

 国内人口の約半数に当たる6100万超のユーザーを抱えるに至ったPayPayにとって、次の課題は1人当たりの決済取扱高向上だ。具体的な数値は未公表だが、制限の緩和により「平均決済額が大きく伸びた」とドルヴァ氏は打ち明ける。

5.「5G-Advancedや6Gにミッドバンドの活用を」、5G Americasの白書から(5.5 日経XTEC)
アメリカ大陸の通信事業者やメーカーなどで構成する業界団体5G Americas(5Gアメリカ)は5G-Advancedや6Gに向けて必要となる周波数帯に関するホワイトペーパー(白書)「The Evolution of 5G Spectrum」を発表した。

 5Gネットワークでは、1GHz未満の低周波数帯(ローバンド)、1G〜7GHzの中周波数帯(ミッドバンド)、24GHz以上の高周波数帯(ハイバンド)という複数の帯域が使われている。事業者はこれら複数の周波数帯を組み合わせて利用することで、必要なカバレッジや容量を確保する。

 米国の無線通信業界団体であるCTIAの調査によると、米国で現在利用可能なミッドバンドは3G〜7GHzの帯域幅450MHzである。日本では同1100MHz、英国では同790MHzがそれぞれ割り当てられている。中国は同460MHzだが、今後は6GHz帯の同700MHzが割り当てられるほか、同500MHzの追加も検討されていうことから、最大で同1660MHzが利用できる可能性がある。

 5G以降のアプリケーションやユースケースでは、高いデータレートと広いカバレッジの両方を必要とする。これらを実現するにはミッドバンド、具体的にはサブ7(7GHz未満の周波数帯)と7.125G〜15.35GHz(可能なら10GHz未満)の追加が必要となる。より高い等価等方放射電力(Equivalent Isotropic Radiation Power、EIRP)制限を許容することで、この帯域での高い伝搬損失が補われ、事業者が既存の5G基地局を活用できるようになる。

 6Gで十分なカバレッジを提供し、新しいユースケースを実現するためには、少なくとも帯域幅2GHzを、可能な限りミッドバンドに近い場所に確保する必要がある。

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