1.NTTがIOWNで挑む「データセンターエクスチェンジ」、都市部集中の解消目指す(12.26 日経XTEC)
「大量にデータを生み出す都市部にデータセンターを設置したくても土地が少なく運用に必要な電力が足りないため、設置を見合わせるケースが出てくる」(NTT未来ねっと研究所 フロンティアコミュニケーション研究部の高杉耕一部長)。AI(人工知能)などを中心としたデータの蓄積・利用が広がる中、データセンターの需要も大幅に増大している。一方で、冒頭の発言で挙げた課題が顕在化し始めている。この課題解決を目指し、NTTは新たなデータセンター間接続の技術開発を進めている。
現在のデータセンター間接続(DCI)はデータセンター同士が1対1で接続し、その接続関係が固定的になっている。しかも、一般的に約30km圏内にデータセンター同士が存在しなければ、通信遅延が大きくなって、分散したデータセンターの一体的な運用が難しくなる。このことから都市部への大規模なデータセンターの集中を招き、土地や電力などの問題につながっている。
そこでNTTは次世代ネットワーク構想「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)」で培っている技術を適用し、多数対多数のデータセンターが接続できる形式「データセンターエクスチェンジ(DCX)」に挑む。これによって都市部に集中していたデータセンターの分散化も進めていく。2024年度にPoC(実証実験)を実施し、2027年度前後での顧客提供を目指す計画だ。
2.スマホとトラブルが変わらぬ人気、NTT電話網の一大変化も注目(12.28 日経XTEC)
023年にネットワーク関連分野で注目されたのは、みんな大好きスマートフォンの動向とネットワークトラブルの記事だ。
ベスト10を見ると1、3、7位がスマホの業界動向を巡る記事である。1位の記事は日本製スマホ衰退を象徴する出来事を解説したものだ。かつて日本では多くの通信機器メーカーが携帯電話機を製造してしのぎを削っていた。だがiPhone登場に始まるスマホの時代になると、海外企業との競争に敗れて撤退企業が相次ぎ、ついにシャープとソニーの2社まで減ってしまった。
例年通りトラブル関連の記事も人気だ。ネットワークにつながらなくなるトラブルは身近でも発生し得る。それだけにトラブルは他人事ではなく、解決に至る道のりはエンジニアであれば共感できるからだろう。2022年のKDDIによる大規模通信障害のような派手なものはないが、2、4、9、10位と多くの記事がベスト10にランクインした。
NTTの電話網の一大変化を取り上げた記事もランクインした。2024年1月に回線交換式の電話網を、VoIP(Voice over IP)に基づくパケット交換式の網に変える。100年使われてきたインフラの大転換だが、VoIPにしてもそのベースとなるIP(Internet Protocol)にしてもすでに大規模に使われている技術なので、大きなトラブルは起こらないのではないだろうか。
3.総務省がソフトバンクに行政指導、2023年11月の2度にわたる固定電話障害で(12.27 日経XTEC)
総務省は2023年12月27日、ソフトバンクに対して文書による行政指導を実施した。指導の対象となったのは、11月18日から11月19日までの間、及び11月20日に、固定電話サービス「おとくライン」「おとく光電話」で発生した障害である。障害の影響総数は約21万4000件に上った。
ソフトバンクは12月18日、一連の障害に関する報告書を総務省へ提出していた。2度にわたる通信障害の原因は以下だ。
11月18日の通信障害は、東日本加入者データベースの故障で発生した。これを受けて西日本加入者データベースへ切り替えたが、十分な事前検証ができていなかったことに起因し、東日本加入者交換機のソフトウエアの不具合が生じて処理性能が低下した。この結果、固定電話サービスで発着信しづらい状況となった。
故障した東日本加入者データベースは11月18日に構成部品を交換したものの、監視アラートの設定不備により事故原因となった構成部品とは別の箇所の部品を交換していた。この結果、東日本加入者データベースの故障が11月20日に再発した。西日本加入者データベースへ切り替えたが、東日本加入者交換機のソフトウエアの不具合が再発し、同じく処理能力の低下を引き起こした。
ソフトバンクは再発防止策として事前動作検証のガイドラインを見直し、交換機にソフトウエアの不具合を修正するパッチを適用した。さらに東西間の冗長構成で運用していたシステムを、東西それぞれでさらに二重化。機器に故障の疑いがある場合、該当箇所は全て交換する手順変更も加えた。
4.生成AIが人間の仕事を変えた実態が話題に、広告業界で先行(12.27 日経XTEC)
AI(人工知能)と機械学習に関して2023年に最も読まれた記事は、デジタル広告大手のサイバーエージェントが広告のキャッチコピー作成にChatGPTを導入した効果を取り上げた「ChatGPTで広告会社の組織激変、サイバーでは30人以上いたディレクターがゼロに」だった。広告クリエーティブの出来栄えを判断するディレクター職はなくなり、営業職などに転向したという。
システム開発の世界も激変中だ。ランキングの2位には、ITサービス大手のNTTデータグループにおけるシステム開発への生成AI導入を報じた「NTTデータが生成AI使うシステム開発手法を全技術者に展開、人月型契約が見直しに」が入った。ランキング12位に入ったコラム「ChatGPTは人月商売のIT業界にとっての『死に神』、滅びのシナリオを示そう」は、生成AIの導入によってIT業界で長らく続いた「人月商売」が終焉(しゅうえん)に向かうと論じた。2024年以降、IT業界の構造そのものが大きく姿を変えそうだ。
5.文字起こしから要約まで、AIの利便性痛感したボイスレコーダー「PLAUD NOTE」(12.26 日経XTEC)
今回は、米Nicebuild(ナイスビルド)のボイスレコーダー「PLAUD NOTE」を取り上げる。クラウドファンディングサービス「Makuake」で2023年12月30日まで先行販売中で、発売前のサンプルを先行して提供していただいた。このため製品の外観やアプリの画面は正式発売時に変わる可能性があることをご理解いただきたい。
極薄のボイスレコーダーで、AI(人工知能)を利用して文字起こしなどに対応している点が売りだ。単なる文字起こしなら、例えば米Google(グーグル)のスマホ「Pixel」シリーズでもできる。ポイントはここからだ。米OpenAI(オープンAI)のサービスを2つ利用しており、「Whisper」を使って文字起こしをした後に、「ChatGPT」を使って要約などを作成してくれる。
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