週間情報通信ニュースインデックスno.1409 2023/12/16


1.PwCコンサルティングが2023年DX意識調査、クラウドネーティブの活用率は82%(12.15 日経XTEC)
PwCコンサルティングは2023年12月14日、「2023年DX意識調査―ITモダナイゼーション編―」を発表した。アジャイル開発、パブリッククラウド、クラウドネーティブ技術の全てを活用するユーザー企業の比率が61%にまで増えるなど、ITのモダナイゼーション(近代化)が進んでいることが分かった。

 調査は2023年9月に、売り上げ500億円以上のITモダナイゼーションに関与している企業・組織の課長レベル以上500人に対して実施した。本調査はユーザー企業における「ITモダナイゼーション成熟度」を測るもの。アジャイル開発手法、パブリッククラウド、クラウドネーティブ技術について、3つすべてを全社的に活用中の企業をITモダナイゼーション成熟度において「先進」、3つすべてを一部ではあるが本番環境で活用中の企業を「準先進」、それ以外の企業を「その他」と定義する。

 2023年度の調査では2022年度に比べ、全体に占める先進の比率は7%から8%へと1ポイント増え、準先進の比率は29%から53%へと24ポイント増えた。先進と準先進を合計した比率が61%に達した結果について同社の中山裕之上席執行役員パートナーは「2023年は大きな潮目の年となった」と評価。特にアジャイル開発に関しては全面展開中または一部展開中と回答した企業が全体の72%を、クラウドネーティブ技術に関しては82%を占める結果になった。



2.3GPPが6Gの標準仕様化を宣言、米欧亜のパートナー7団体と共同で発表(12.15 日経XTEC)
移動通信の標準化団体3GPP(Third Generation Partnership Project)は、2023年12月4日、6G(第6世代移動通信システム)の標準化仕様計画に着手する旨の発表を行った。3GPPのパートナーである7団体と共に発表した。

 3GPPでは現在、リリース18の仕様標準化作業を進めており、それに続くリリース19の開発もまもなく開始する。どちらも5G-Advancedに関する仕様策定を行うものとなる。今回は、これらに加えて、次世代6Gの仕様標準化計画を開始する準備も整ったことを公式に発表した。

3.盤石のシスコに綻びの兆し、「ネットワーク機器利用実態調査2023」の結果を解剖(12.14 日経XTEC)
日経NETWORKは例年、企業ネットワークの利用状況を調べる「ネットワーク機器利用実態調査」をアンケート形式で実施している。2023年調査は、同年9月から10月にかけてインターネットで募った。対象は主にIT管理者で有効回答数は1160件に上った。

 調査では、回答者が携わる企業ネットワークにおいて主に使っているネットワーク機器のベンダーなどをスイッチ、無線LAN、ルーター/UTM(Unified Threat Management)の3部門に分けて尋ねた。今年は初めて、ネットワークの構築や運用の業務における生成AI(人工知能)の利用状況も調査している。

 本稿ではこの3部門のうち、企業の規模によらず基本的にほとんどの企業が利用しているであろうスイッチに焦点を当てる。2023年調査はパソコンを直接接続するアクセススイッチとアクセススイッチを束ねるフロアスイッチ、レイヤー3スイッチとも呼ばれるコアスイッチの3ジャンル全てでシスコシステムズがシェア1位を獲得した。同社は2020年調査から4年連続の3冠という結果になった。

 シスコシステムズを選んだ理由として最も多かったのは、「導入済みの製品と同じメーカー/ベンダーの製品だから」で17.3%だった。次いで「所望の機能を搭載している」(11.2%)、「機能が豊富」(10.0%)が続く。ユーザーが求める機能をカバーしている点が評価されていることが読み取れる。

 一方でバッファローとアライドテレシスは、どちらも「価格が安い(コストパフォーマンスが高い)」が最も多かった。バッファローは35.0%、アライドテレシスは18.6%を占める。特にバッファローユーザーにとって、安価に購入できることが選定理由として特出していることが明らかになった。

4.今後も続くサイバー攻撃者の生成AI活用、事例に見る「あなたもこうしてだまされる」(12.13 日経XTEC)
言うまでもなく、2023年は生成AI(人工知能)に沸いた1年だった。日本経済新聞社がまとめた「2023年ヒット商品番付」では生成AIが東の横綱、日経トレンディの「2023年ヒット商品」ではChatGPTが第1位に輝いた。

 生成AIはサイバーセキュリティーの分野でも注目された。悪用が容易そうだからだ。様々な悪用方法や対策が攻撃者や研究者に検討されてきた。この流れは2024年も続くだろう。サイバーセキュリティーでは攻撃側が圧倒的に有利だ。守る側は最新の悪用方法をキャッチアップし、対策を施す必要がある。

 サイバーセキュリティー分野における生成AIの悪用としては、以下の3つが挙げられることが多い。

・詐欺メールの作成
・マルウエアの作成
・偽画像/偽音声/偽動画の作成
 これらのうち、今後最も脅威になりそうなのは偽画像/偽音声/偽動画の作成、いわゆる「ディープフェイク」だろう。米国家安全保障局(NSA)と米連邦捜査局(FBI)及び米国土安全保障省サイバーセキュリティー・インフラ庁(CISA)は2023年9月、ディープフェイクの危険性を警告するリポート(サイバーセキュリティー情報シート)を連名で公表した。なかなかの顔ぶれだ。それだけ危機感があるということだろう。

 ディープフェイク自体は目新しいものではない。ただ以前は相応のスキルやツールが必要だった。生成AIの登場により、誰でも低コストで偽音声などをつくれるようになった。

 だが偽音声や偽動画を簡単につくれるようになると、この鉄則だけでは身を守れない。メールの文面だけではなく、音声や映像も安易に信用してはいけないのだ。恐ろしい時代がまさにこれから始まる。あなたにもいつ偽音声の電話がかかってくるか分からない。十分注意してほしい。

5.スマホの日用品化でますます強くなるのはiPhoneとPixelだ(12.12 日経XTEC)
スマホは日用品化(コモディティー化)して、どれもあまり変わらないといわれ始めて久しい。その状況がいよいよ極まってきたと僕は考えている。

 スマホの中核となる機能は、結局のところコミュニケーションだ。電話による通話やメール、チャットによる対話の利用時間が最も長く、利用頻度も高い。

 チャットはプライベートでは「LINE」、仕事では「Teams」を使う。どちらもiPhoneとAndroid搭載スマホのどちらで利用してもほとんど体験は変わらない。仕事とプライベートの両方で使うメールもそうだし、個人的にはあまり使っていないが、「Instagram」や「X(旧Twitter)」「Facebook」などのSNSも同様だ。

 ほとんど変わらないスマートフォンを、なぜ2台持ち歩くのか。予備という側面もあるのだが、仕事によって使い分けている部分も大きい。Pixel 8は取材や打ち合わせなど仕事の際に録音した内容をテキスト化するのに使うし、撮影した動画のノイズを除去するのにも大変役に立っている。Googleが提供するAI(人工知能)を応用した機能が素晴らしいからだ。

 スマホがコモディティー化した結果、一番重要なのは慣れだ。iOSとAndroidのどちらでも慣れた環境を長く使いたいと考える人は多いだろう。それを上回るほどの新機能を持つ機種は現在のところない。マニアックなユーザー以外は、ミドルレンジの機種を購入して長く使うことがさらに多くなると予想できる。

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