1.「Gmail」にメールを送れなくなる恐れ、グーグルによる迷惑メール対策強化の衝撃(12.8 日経XTEC)
米Google(グーグル)が2024年2月以降、迷惑メール(なりすましメール)対策を大幅に強化した「メール送信者のガイドライン(Email sender guidelines)」を適用すると発表し、メールに携わるIT業界関係者に衝撃が走った。
メールの送信者がこのガイドラインの要件を満たしていない場合、世界最大規模のメールサービス「Gmail」にメールを送れなくなる恐れがあるためだ。具体的には送信したメールが拒否されたり、受信者の迷惑メールフォルダーに配信されたりする可能性がある。
メール配信事業者や企業のメールサーバー管理者などは、2024年2月の適用開始までに対策を施す必要がある。なお通信事業者やISP(インターネットサービス事業者)のほとんどは対応済みなので、それらが割り当てたメールアドレスのユーザーは影響を受けない。
同社が2023年10月3日(米国時間、以下同)に発表したガイドラインによると、対象になる宛先アドレスは、個人向けのGmailアカウント。末尾が@gmail.comまたは@googlemail.comのメールアドレスである。
2.ネットワーク設定が「プライベート」で公衆Wi-Fiを使うと危険、必ず「パブリック」に(12.7 日経XTEC)
フリーWi-Fiにつないだらほかの人にファイルを盗み見された――。そんなトラブルも起こり得る。これは、利用者と提供者の双方のミスが重なった可能性が高い。
Windows 10で初めて接続するWi-Fiでは、「はい」と「いいえ」の2択が現れる。Windowsのネットワーク設定には「プライベート」と「パブリック」の2種類があるが、「はい」を選択すると「プライベート」で設定される。すると、ネットワークが家庭や社内用の設定になり、端末同士でファイルなどの共有を許可してしまう。必ず「いいえ」を選び「パブリック」で設定するのが鉄則。共有フォルダーへのアクセスには基本的にユーザー認証が必要になるが、パスワードなしで共有している場合は設定を間違えないように気を付けたい。
3.「2023年末の5G契約件数は16億件」エリクソン、1億件を上方修正(12.6 日経XTEC)
スウェーデンEricsson(エリクソン)は2023年11月30日(現地時間)、最新リポート「Ericsson Mobility Report November 2023」を発表した。一部市場で経済的な課題や地政学的に不安定な状況が続いている中でも、世界の5G(第5世代移動通信システム)契約件数は、2023年末までに16億件に達し、移動通信契約数全体の5分に1を占めるとしている。
リポートでは、2023年の5G新規契約数は6億1000万件で2022年から63%増、2023年末時点での世界の5G契約件数は16億件に達するとしている。2023年6月版では15億件としており、1億件を上乗せした形となる。
4.「オンプレのネットワーク構成をクラウドへまるっと移行」はお勧めできない(12.6 日経XTEC)
オンプレミスのシステムをクラウド上に移行するとき、移行トラブルを避けるためにオンプレミスのネットワーク構成や設定をそのまま持ち込みたくなるかもしれない。
だが、ときにそれは最適ではない。クラウド側の仕様に合わず、「期待したほど運用の手間やコストを減らせなかった」となりかねないからだ。米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)のサービスを例に、クラウドならではの仕様に潜む落とし穴を見ていこう。
まず注意したいのが、オンプレミスのネットワークにおいて、同じセグメントに本番環境や開発環境といった様々な環境のIT資産を混在させている場合だ。そのまま移すと当然、様々な環境のIT資産が同じ仮想ネットワークやサブネットに混在する。
本番環境と開発環境が混在したり、様々な役割のIT資源が同じサブネットに混在したりしているオンプレミスのネットワークをそのままクラウドの仮想ネットワークに移行すると、セキュリティーや保守の面で課題が生じる。仮想ネットワークの特徴を生かして細かく分割して利用するほうが、セキュリティーや保守性、耐障害性を高められる。
例えば本番環境と開発環境にそれぞれ仮想ネットワークをつくる。さらに外部と接続する必要性などに応じてIT資産を分類し、サブネットを分ける。そもそもクラウドでは仮想ネットワークなのでこうした構成を比較的容易に設定できる。
続いて、クラウドならではの仕様として、仮想サーバーに対するアクセス制御を説明しよう。AWSの仮想ネットワークでは2種類のファイアウオール機能を利用できる。1つはサブネット単位で制御する「ネットワークACL(Access Control List、以下NACL)」、もう1つは仮想サーバー単位で制御する「セキュリティグループ」である。
5.2024年の生成AIは「コスト削減」がテーマに、LLMならぬ小規模言語モデルに注目(12.8 日経XTEC)
少し気が早いが、今回はGAFAを中心とするビッグテックの2024年を占うことにしよう。2024年も生成AI(人工知能)が最大のトピックスになるのは間違いない。ただし2023年は生成AIの能力向上に力が注がれた1年だったのに対して、2024年は生成AIのコスト削減が最大の課題になるだろう。
実際に画像も扱えるGPT-4V(GPT-4 with vision)が、ChatGPTの有料版やGPT-4のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)から利用できるようになったのは、2023年9月のことである。
2023年12月6日(米国時間)には、米Google(グーグル)がGPT-4を上回る性能を有するとするマルチモーダルのGeminiを発表した。Geminiは様々な学問領域についての言語理解能力を測るMMLU(Massive Multitask Language Understanding)ベンチマークにおいて、GPT-4の成績を上回っただけでなく、人間の専門家の成績すら上回ったという。またGeminiはテキストや画像だけでなく、動画や音声の内容も同時に理解できるとする。
象徴的なのはグーグルのGeminiだ。Geminiには、GPT-4を性能で上回るとする
生成AI製品の料金が高いことも、ユーザーにとっては悩みの種だろう。前述のCopilot for Microsoft 365の料金は月額30ドルだが、利用するにはMicrosoft 365 E3またはE5の契約が必要だ。Microsoft 365 E3は月額36ドル、Microsoft 365 E5は月額57ドルなので、Copilot for Microsoft 365を使うためには最低でも月額66ドルが必要となる。
2024年、生成AIの社会実装を進めるためには、生成AIに必要となるコストの削減が鍵となる。ビッグテック各社はそのための努力を既に始めている。
最後にもう1つ。グーグルがGemini Ultraを搭載する対話型AIであるBard Advancedを、有償・無償のどちらで提供するのかも気になるところだ。グーグルが今から20年前、2000年代前半に生み出したイノベーションは、広告収入によってユーザーには無償でソフトウエアを提供するという新しいビジネスモデルだった。
果たしてグーグルは生成AIに関しては、有償モデルへと移行するのか。それとも広告ベースの無償提供を続けるのか。これも突き詰めればコストの問題に左右されるだろう。歴史的な転換点になり得る可能性があるだけに、注目したい。
ホームページへ