週間情報通信ニュースインデックスno.1404 2023/11/11


1.Amazonのドローン配送が米国外に“離陸”、新型機「MK30」は飛行距離2倍(11.9 日経XTEC)
 「1000回以上の配達を100%の確率で実現できた」。アマゾンでドローン配送「Prime Air(プライム・エア)」を担当するデイビッド・カーボン・バイスプレジデントは、発表会で自信ありげにこう語った。同社は2022年末から米国内でドローン配送を開始。ユーザーがサブスクリプションサービス「Prime(プライム)」の会員であれば、重さ5ポンド(約2.2kg)以内の日用品などを追加料金なしで配送する。

 米国ではプライム・エアの開始後、「暑さのためにドローン配送が一時停止された」「テスト中に墜落した」などの否定的な報道が散見されたが、これらをカーボン氏が払拭した格好だ。「顧客の財産の安全は保証されている」とカーボン氏は胸を張った。同社は2032年までに年間で5億個の荷物を空輸する目標を掲げており、地域を限定した1年目としては上々の滑り出しと言えるだろう。

 アマゾンは説明会で、プライム・エアのサービス拡大を発表した。米カリフォルニア州ロックフォードとテキサス州カレッジステーションの一部地域のみに対象地域を限定していたが、2024年後半までに英国とイタリアの一部地域でもサービスを始める。2024年末には米国内で3カ所目となるエリアも加わるという。

2.フトバンクが富士通の次世代光伝送装置を採用、消費電力を最大90%削減(11.10 日経XTEC)
ソフトバンクは2023年11月10日、富士通製の次世代光伝送装置「1FINITY Ultra Optical System T900」などを用いた通信ネットワーク「All optical network」を同年10月26日までに構築したと発表した。ソフトバンクは今回の光伝送システムを活用し、今後のデータ通信の需要増に応えるネットワークの構築とカーボンニュートラルの双方を目指すとしている。

 ソフトバンクのIPルーターに、富士通がソフトバンクの要件に合わせて新規開発した「1FINITY L211」を接続し、光伝送システム内で光電変換を実施せずに通信できる。これにより、従来比で最大90%の消費電力を削減できたという。

3.MicrosoftがOracleクラウドの顧客に、生成AIに使うGPU不足はここまで深刻(11.10 日経XTEC)
生成AI(人工知能)に使うGPU(画像処理半導体)の不足もここに極まれり、といったところだろう。クラウド大手である米Microsoft(マイクロソフト)が、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の「顧客」になったのだ。マイクロソフトの検索サービスBingのAI推論にOCIを使用する。

 驚きのニュースは米Oracle(オラクル)が2023年11月7日(米国時間)に発表した。マイクロソフトはOCIの利用に関する複数年の契約を締結し、Bingの対話型検索サービスに必要なAIモデルの推論処理に、OCIの大規模GPUクラスターを使用する。

 マイクロソフトは2023年に、米OpenAI(オープンAI)が開発した大規模言語モデル(LLM)であるGPT-4のカスタム版をBingに組み込むことで、Bingに対話型AIの機能を統合した。このAI推論の処理に、Microsoft Azureに加えてOCIも使用するというのが今回の発表内容である。

 つまりマイクロソフトは社外にAIインフラストラクチャーを提供する一方、自社で使用するAIインフラには外部のリソースを活用しているわけだ。そうせざるを得ないのは、マイクロソフト社内でAIに使うGPUサーバーが足りなくなっているからだろう。

 GPUサーバー不足は世界的な問題であり、LLMを開発する日本のスタートアップからも、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureといった大手のパブリッククラウドでは、GPUサーバーが全く利用できないとの悲鳴の声があがっている。

4.ITエンジニア不足は過去最悪水準に、SIerを取り巻く危機の構図(11.10 日経XTEC)
SIer(システムインテグレーター)を中心に人材不足が深刻化している。ここ1年間ほど過去最悪の状態が続いている状況だ。 最大の理由は新型コロナウイルス禍で顕在化したDX(デジタル変革)需要がいまだ旺盛なため。コロナの5類移行とともに大型システムの更改プロジェクトなども再開し、どのSIerも人材が足りない状態になっている。

 しかも、IT業界の就業者数が急増することはなさそうだ。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によれば、IT関連産業の従業者数は2018年の103万人から2030年には113万人へ拡大すると予測するが、DX需要の伸びに比べると追いついていない。

 実際、転職市場で提示されるITエンジニアの給与は年々上昇しているという。dodaの加々美編集長は「感覚的にはここ2?3年の間で、同水準のスキルを持つITエンジニアに対して求人企業が提示する年収が、100万?200万円程度増えている」という。そこまでしてもなかなか人材が集まらないのである。

5.ファーウェイが5G・AI・ドローンを活用した森林火災検知システム、キプロスに導入(11.8 日経XTEC)
中国Huawei Technologies(ファーウェイ)は2023年10月24日(現地時間)、ギリシャのスタートアップPROBOTEKと協力して、キプロスの首都Nicosia(ニコシア)に早期火災検知ソリューションを導入したと発表した。HuaweiのSmart & Green Villageプログラムの一環として、Athalassa Park内に設置した。運用開始に当たっては、キプロスの政府関係者や学術機関、NGO団体などの代表者を招待したイベントも開催した。

 地中海に面するキプロスは、夏は非常に暑く乾燥し、山火事の発生件数も増加する。今回のソリューションでは5G(第5世代移動通信システム)やAI(人工知能)で操作するドローンを使って森林火災をいち早く発見する。被害の軽減、早期の人命救助を可能にする。

 HuaweiのSmart &&Green Villageプログラムは、キプロスにおける広域な接続性の実現、農村地域へのスマートな教育提供も目的としている

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