週間情報通信ニュースインデックスno.1403 2023/11/4


1.生成AI向け高発熱GPUに解決策、KDDI・NTTコムが液冷データセンター実用化へ(11.1 日経XTEC)
高発熱のサーバーを液体の冷媒で冷やす液冷式のデータセンター施設が国内で相次ぎ本稼働する。KDDIが2024年3月までに、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が2024年度中に事業化を予定するほか、NTTデータが設備導入の検討を進めている。

 狙いは生成AI(人工知能)の学習に使われる高性能GPUなど高発熱のサーバー機器を効率よく運用できる体制を整備することにある。特に高性能GPUは新製品が出るたびに消費電力が著しく高まっており、「従来の空冷式は限界を迎えている」(NTTコム)。KDDIやNTTコムなどは、いま実用化できる打開策が液冷式だと見て、設備投資に踏み切る。

 液冷式データセンターの事業化は、NTTコムが2023年10月上旬に詳しい計画を発表した。液冷式の施設で顧客企業のサーバーを預かるコロケーションサービス「Green Nexcenter」を2024年度に提供する。2025年度には関西にもサービス提供体制を整える計画だ。

2.NTTドコモが「Starlink Business」を提供へ、KDDIとソフトバンクを追随(11.2 日経XTEC)
NTTドコモとNTTコミュニケーションズは2023年10月31日、法人向け衛星ブロードバンドインターネットサービス「Starlink Business(スターリンクビジネス)」の提供を2023年内に開始する計画だと発表した。Starlink Businessは、米SpaceX(スペースX)が提供する低軌道衛星通信のサービスだ。日本では2022年10月からKDDI、2023年9月からソフトバンクが提供している。

 NTTドコモとNTTコミュニケーションズ以外に、両社のサービス展開に参加するのがスカパーJSATである。Starlink Japanから再販事業者として認定を受けたスカパーJSATを通じ、NTTドコモがサービス提供主となり、NTTコミュニケーションズがユーザー企業への販売窓口を担当する。山間部での遠隔監視、海上での高速通信などでの利用を進める。

3.5G IoT「RedCap」のインド初試験にエリクソンが成功、低遅延で高効率のデータ通信(11.2 日経XTEC)
スウェーデンEricsson(エリクソン)は2023年10月19日(現地時間)、インド初とするRedCap(Reduced Capability)試験に成功したと発表した。RedCapは5G(第5世代移動通信システム)のIoT(Internet of Things)向け仕様である。インドの通信事業者Bharti Airtel(バーティ・エアテル)の5G TDDネットワークにて、米Qualcomm Technologies(クアルコムテクノロジーズ) の5G RedCap試験用モジュールとEricssonの商用前RedCapソフトウエアを使って実施した。

 RedCapは、LTE Cat.4と同等の速度を維持しながら、低遅延でエネルギー効率と周波数効率の高いデータ通信を提供する。5Gの複雑さを軽減し、デバイスの効率的な機能削減、小型化、低コスト化を支援する。

 EricssonのRedCapは、無線アクセスネットワーク(RAN)ソフトウエアの新ソリューションとして、スマートウオッチその他のウエアラブル製品や産業用センサー、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)デバイスなど、様々な5Gユースケースに対応する。Bharti Airtelでは、これを活用して、今後、一般消費者から産業、ビジネスまで、幅広い分野に向けたRedCapアプリケーション展開を進めていくとしている。

4.ZTEがマレーシアの5Gミリ波実証実験で28Gビット/秒達成、5G SAやFWA推進(11.2 日経XTEC)
中国ZTEは2023年10月18日(現地時間)、マレーシアでの5G(第5世代移動通信網)実証実験にて、世界最速とする28Gビット/秒を達成したと発表した。同社は、マレーシアの5Gインフラ整備を担う政府特別目的事業体Digital Nasional Berhad(DNB)、マレーシアの大手通信事業者TMとの戦略的提携を締結しており、今回の実証実験も3社が協力して行った。

 DNBのマレーシア国内への5G展開加速に向け、TMがネットワークインフラを提供し、ZTEは最新のミリ波対応アクティブアンテナユニットを活用したマレーシア初の5G SA(Standalone)基幹ネットワークを提供している。

5.通信速度と干渉対策を強化、策定が進む無線LANの通信規格「Wi-Fi 7」とは(11.1 日経XTEC)
Wi-Fi 7は現在IEEE(米電気電子学会)で策定が進められているIEEE 802.11beに基づく通信規格のニックネームです。IEEEによる規格策定は2024年以降になりますが、無線LANの普及促進団体である米Wi-Fi Allianceが接続性認定プログラムなどを開発しています。IEEEの規格策定に先行する形でWi-Fi 7の認証を始めると見られます。

 Wi-Fi 7は現行のWi-Fi 6を進化させたものです。Wi-Fi 6は多端末への対応や通信効率化に主眼が置かれました。Wi-Fi 7は通信速度の強化と干渉対策を重視しています。

 主な強化点は3つあります。まずMLO(Multi-Link Operation)です。これは複数帯域の電波を同時に使う技術です。例えば5GHz帯と6GHz帯を同時に使って通信速度を高めたり、電波状況などに応じて利用帯域を瞬時に切り替えたりできます。

 2つ目は利用可能な帯域幅の拡大です。Wi-Fi 6までの160MHzから320MHzに広がり、通信速度を倍にできます。日本では電波法の関係から現時点では320MHz幅の通信はできませんが、改正に向けて作業が進められています。

 3つ目が変調符号化方式です。4096QAM(Quadrature Amplitude Modulation)が使えるようになり、通信速度を1.2倍に高められます。

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