週間情報通信ニュースインデックスno.1400 2023/10/14


1.「切り戻しよりリスクが低い」、全銀ネットが11日開催した説明会の一問一答(10.12 日経XTEC)
全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は2023年10月11日、銀行間送金を担う「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」で発生した不具合に関してオンライン説明会を開いた。

今回の更新作業は中継コンピューター(RC)のハードウエアとソフトウエアの両方を変えたのか? そのうち何が原因でトラブルが生じたのか?

 RCのハードウエアとソフトウエア両方のアップグレードを図った。そのうちソフトウエアに不具合が生じた。具体的には、内国為替制度運営費(旧銀行間手数料)の設定をチェックする機能にトラブルが生じた。

プログラム修正について、どのような改修を試みているのか? 

 電文の種類によらず内国為替制度運営費を算出しない簡素型プログラムを作成し、RCに適用する。

内国為替制度運営費を計算するプログラムは従来もあったはず。なぜRC23(新版)でエラーが起こったのか?

 臆測だがRC17(旧版)とRC23は一部「仮想化」する点が異なるため、この点が影響したのかもしれない。

プログラム修正の対応について、切り戻しの判断はなかったのか? 

 両方を検討した上でプログラム修正の選択に至った。切り戻しは選択肢の一つ。しかし、14の金融機関全てで切り戻し作業を行う必要があることを考慮するとリスクが高く、プログラム修正が良いと判断した。

2.日本とシンガポールで5000kmを越えた遠隔手術実験、メディカロイドのhinotoriで(10.12 日経XTEC)
藤田医科大学とシンガポール国立大学、手術支援ロボットを開発するメディカロイド、複数の大学間でインターネット研究を手掛けるWIDEプロジェクトは2023年10月11日、約5000kmの距離がある日本とシンガポールをつなぎ、遠隔手術の実証実験を実施した。日本・シンガポール間での遠隔手術は国内初のケースだ。実証実験は2023年10月9〜12日まで行われる。

 記者会見では、藤田医科大学とシンガポール国立大学に設置した手術支援ロボット「hinotoriサージカルロボットシステム」を披露。シンガポール側でコンソールを操作し、日本側の手術支援ロボットを動かした。遅延は100ミリ秒ほど。その内訳は通信遅延が70ミリ秒、映像に関する遅延が30ミリ秒だった。

3.新しい世界電気通信連合を設立へ、米国・英国・オーストラリア・カナダ・日本の省庁(10.20 日経XTEC)
英国政府のデジタルサービスサイトであるGOV.UKは2023年10月5日(現地時間)、将来の電気通信技術に関する多国間イニシアチブに向けた新しいコミュニティー「Global Coalition on Telecommunications(GCOT)」を設立すると発表した。英国の科学・イノベーション・技術省(Department for Science, Innovation and Technology)とオーストラリアのインフラ・運輸・地方開発・通信・芸術省(Department of Infrastructure, Transport, Regional Development, Communications and the Arts)、カナダのイノベーション・科学・経済開発省(Department of Innovation, Science and Economic Development)、米国商務省国家電気通信情報庁(National Telecommunications and Information Administration)、日本からは総務省が参加する。

 5G(第5世代移動通信システム)の次世代に当たる6Gなど将来の電気通信技術開発やサプライチェーンの多様化、安全で相互運用可能な標準化推進に向けて、次のような活動を行っていく。

(1)情報共有
 将来の電気通信に向けて、電気通信事業を供給する者の多様性、安全保障上の課題などを含め、政策アプローチに関する情報交換の場として活用する。
(2)共同研究開発
 各国が進めるプログラムに関する情報共有を行い、重複や相乗効果などの検討を通じて、研究開発の補完的かつ協力的なアプローチを進めていく。
(3)資金調達の優先順位
(4)ビジョン設定と標準化に向けたサポート
 標準化団体へのアプローチ調整を含め、必要に応じて電気通信に関するビジョン設定と標準化に向けたサポートを行う。
(5)国際活動への協調と連携

4.ドコモが基地局増設など通信品質改善に300億円投資、「早急に実施する」(10.11 日経XTEC)
NTTドコモは2023年10月10日、データトラフィック増加による通信品質低下の改善対策として300億円を先行投資すると発表した。最近、同社のユーザーからネットワーク品質に対する多くの不満の声が上がっていた。

 対策は、駅や繁華街、住宅街など全国2000カ所以上のエリアと乗降人員の多い鉄道動線で集中的に実施する。具体的には、複数の同時通信が可能な「MU-MIMO」に対応した小型・低消費電力のMassive MIMO装置の導入、5G上り品質の改善など。2023年12月までに、設備対応を含めた対策を全国2000カ所以上のエリアで90%以上完了させる。また全国の鉄道動線では既存基地局整備などで対応する。

5.携帯電話の経済圏競争は「お金」が焦点、ARPU底上げと解約率低減に躍起の3社(10.11 日経XTEC)
携帯大手による経済圏競争が一段と活発化してきた。KDDIがクレジットカードや銀行、証券などの金融特典を組み合わせた新料金「auマネ活プラン」を2023年9月に、ソフトバンクはPayPayとの連携を強化した新料金「ペイトク」を2023年10月に始めた。

 2023年10月4日にはNTTドコモがマネックスグループと資本業務提携を締結し、証券業に参入すると発表した。取引・残高や口座開設に応じたdポイントの還元、d払いを通じた入出金や積み立て、dカードによる積み立てなどを検討していくという。携帯大手による顧客の囲い込みがますます強まりそうである。

 auマネ活プランではグループの各種金融サービス、ペイトクでは6000万人の登録ID数を誇るPayPayとの連携を前面に押し出した。両プランに共通する狙いは、ARPU(契約当たり月間平均収入)の底上げと解約率の低減だ。ARPUの底上げを図るため、中容量・大容量プランへの誘導が露骨になってきた。

ホームページへ