週間情報通信ニュースインデックスno.1399 2023/10/07


1.シャープがローカル5Gシステムに進出、Sub6・SA対応基地局と端末を12月以降出荷(10.6 日経XTEC)
シャープは2023年10月6日、通信会社以外の企業や自治体が主体となって無線通信環境を構築できるローカル5G(第5世代移動通信)システムを開発したと発表した。受注活動は同日から実施し、製品の出荷は2023年12月以降となる見通し。基地局や端末だけでなく、設置や保守メンテナンスまでを提供することを想定する。シャープは同システムの提供により、ローカル5Gネットワーク関連事業に本格進出する。

 ローカル5Gシステムの基地局は無線部と制御部が独立した分離型基地局で、設置場所に応じてシステムを柔軟に構築できるとする。5G基地局単独で制御信号やデータといった通信を可能にする「SA(スタンドアロン)方式」を採用している。今回販売する基地局の対応周波数帯は「Sub6」と呼ばれる周波数帯のうち4.8G〜4.9GHzとなっている。

2.KDDIとサムスン電子、5G ネットワークスライシングの商用展開に向けて体制強化(10.6 日経XTEC)
KDDIと韓国Samsung Electronics(サムスン電子)は2023年9月27日、「5G Global Network Slicing Alliance」を設立する旨の覚書を締結したと発表した。5Gネットワークスライシングサービスの商用展開を加速するとともに、この技術を活用した新しいビジネスモデルの評価を連携して行っていく。

 ネットワークスライシングとは、単一の物理ネットワークインフラ上に構築した複数の仮想ネットワーク環境において、各スライスを特定のアプリケーションやサービスに向けた専用のネットワークとして使用できるようにする技術である。例えば、自動運転車用の低遅延スライス、スマートファクトリー用のIoT(Internet of Things)スライス、動画生配信用の高速大容量スライスに分割して使用することも可能になる。これにより、企業や一般顧客の要件に合わせた新しいサービスの提供を加速させる。

3.NTT法見直し議論の落とし所は? あまねく提供責務を巡る条件闘争が焦点(10.6 日経XTEC)
防衛費増額に伴う財源確保策として突如、浮上してきたNTT法の見直し議論。日経ビジネスの堀越功副編集長と日経クロステックの榊原康副編集長が対談形式で注目ポイントを上げ、今後の展開を占う。

日経ビジネス堀越功  第2回では、NTT法によってNTT東西に課せられた電話(固定電話、公衆電話、緊急通報)を全国あまねく提供する責務、いわゆるユニバーサルサービスの今後が大きなポイントになるという話になりました。

 NTTの狙いとして、ユニバーサルサービスの見直しによって、NTT東西に課せられた重荷をできるだけ軽くしたいのでしょうね。利用者の目線でも、契約数がどんどん減少するメタル設備を使った固定電話サービスを、ユニバーサルサービスとして未来永劫固執するのではなく、社会・経済インフラとして重要性を増す、ブロードバンドサービスを今後のユニバーサルサービスにしていく方向で見直しが進んでほしいですね。

堀越  ポイントとしては、ブロードバンドのユニバーサルサービスは、NTT法ではなく、電気通信事業法で規定されている点です。総務省の有識者会議の議論でも、固定電話中心からブロードバンドを軸にしたユニバーサルサービスへの見直しが必要だという意見で、おおむね方向性が一致しています。

 ただ現在、ブロードバンドのユニバーサルサービスの制度の枠組みは、全国津々浦々まで責任を持って通信インフラを整備・維持する「最終提供者(ラストリゾート)」を確保する仕組みがありません。そのため、「不採算地域までブロードバンドサービスが広がらないのではないか」「不採算地域でいきなりサービスを撤退されたら困る」といった意見が出ています。地方自治体などからは、ブロードバンドのユニバーサルサービスについても、NTT東西が最終提供者としての責務を負ってほしいという意見が多く出ていますね。

堀越  NTT法を廃止した場合、全国津々浦々まで責任を持って通信インフラを整備・維持する最終提供者の規定が、現在の制度上、どこにもなくなってしまいます。制度の空白が生じ、不採算地域において事業者が撤退自由となり、利用者の不利益につながる恐れがあります。ブロードバンドを今後のユニバーサルサービスの中心にするのであれば、NTT法の見直しと併せて、最終提供者の規定を何らかの形で用意する必要があります。

4.SBG孫氏「あらゆる分野で優れたAGIが10年以内に実現する」、AI規制には賛同(10.4 日経XTEC)
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は2023年10月4日に開催された「SoftBank World 2023」の基調講演に登壇し、「AGI(Artificial General Intelligence、汎用人工知能)が10年以内に実現する」との見方を示した。あらゆる分野で人間の英知の総和の10倍となるAI(人工知能)が実現するという。

 孫氏によると、AGIが実現したあかつきには様々なモビリティーが自動運転になり、工場などの現場では不良在庫が発生しない秒単位で規定されたジャストインタイム生産が可能になるなど、あらゆる産業を根底から変革するという。「20年以内には全人類の英知の1万倍となるASI(Artificial Super Intelligence、人工超知能)が訪れる」と断言した。一方で「AGIは見方によって核爆弾よりも危険」とし、AIも自動車と同じように便利だが法律で規制する考えには賛同の意を示した。

5.NTTデータが迎える勝負どころ、「銀行専用クラウド」の行方を左右(10.3 日経XTEC)
地方銀行の勘定系システムを巡って、NTTデータが勝負どころを迎えている。同社が支援し、横浜銀行が主導するシステム共同化の「MEJAR」が、2024年1月にオープン化するからだ。このプロジェクトの成否は、NTTデータが力を注ぐ「銀行専用クラウド」の行方も左右する。

 横浜のほか、七十七、北陸、北海道、東日本の地銀5行が参加するMEJARは、オープン化を間近に控え、詰めの作業を急いでいる。「2024年1月のシステム更改に向けて、順調に進んでいる」(横浜銀行)。

 MEJARは現状、動作プラットフォームに富士通製メインフレームを採用しているが、これをオープン基盤に全面的に切り替える。メインフレームの専用ミドルウエアが担っているオンライントランザクションやデータベースなどの制御機能は、NTTデータが新たに開発した「PITON」と呼ばれるミドルウエアが引き受ける仕組みを想定する。

 NTTデータは2022年11月、銀行専用クラウドといえる「統合バンキングクラウド」の提供に向けて検討を始めたと発表した。従来、MEJARなどNTTデータが手掛けるシステム共同化は、陣営ごとにシステム基盤がバラバラだが、PITONを活用してこれらをまとめるという構想である。

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