週間情報通信ニュースインデックスno.1398 2023/9/30


1.所沢市航空管制部でシステム障害、管制システムに便名・高度表示されず118機遅延(9.29 日経XTEC)
国土交通省の東京航空交通管制部(埼玉県所沢市)で2023年9月29日、システム障害が発生した。

 障害が発生したのは航空管制を担う一連のシステムのうち「航空路管制処理システム(TEPS)」だ。同システムは東日本一帯の航空機を管制官が把握するため、航空機の位置情報や便名、高度を表示する。航空機の位置はレーダー画面に表示しているものの、便名や高度といったテキスト情報が午前11時39分以降に表示されなくなった。

 システムは午後0時11分に復旧し、午後0時22分に出発制限の処置を解除した。「原因については調査中」(国交省の担当者)とした。

2.AWSの生成AI基盤「Amazon Bedrock」が一般利用開始、Metaの「Llama 2」を追加(9.29 日経XTEC)
米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)は米国時間2023年9月28日、大規模言語モデル(LLM)をAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で利用できる生成AIサービス「Amazon Bedrock」と、AWSの独自LLM「Amazon Titan Embeddings」の一般利用を開始した。

 Amazon BedrockではAWSのLLMに加えて、API経由でサードパーティーのLLMも利用できる。モデルラインアップに、新たに米Meta(メタ)のLLM「Llama 2」が加わる。数週間以内に利用可能になる。AWSで高速に動作するよう最適化されているという。Llama 2のAmazon Bedrockでの利用開始については、メタが前日の9月27日に発表していた。

 ユーザーはAmazon Bedrockを使って、自社保有のデータなどでこれらのLLMをカスタマイズし、自社サービスに特化した生成AIを構築できる。AWSのクラウドストレージである「Amazon S3」に格納したラベル付きデータをBedrockと連携すれば、特定のタスクに特化したモデルに調整可能だ。

3.NTT Comら、遠隔制御ロボによるデータセンターの24時間保守・監視実証へ(9.29 日経XTEC)
 データセンターで異常を検知した。しかし休日の深夜。保守作業員も常駐しておらず、保守作業員が駆け付けるにしても時間がかかる。クライアントからは30分以内に状況を確認してほしいとの要請が――。

 こんな時、従来の保守作業員の駆け付けに代わって、遠隔制御ロボットが保守作業を行う実証実験を、NTTコミュニケーションズら4社が2023年10月から開始する。2023年9月26日には開発試験機「Tolon-DC」を用いたデモンストレーションを報道陣に公開した。

 Tolon-DCは、東京ロボティクス(東京・文京)の移動式マニピュレーター「Tolon」をデータセンター向けに改良したもの。同日のデモでは、Tolon-DCがサーバーラック前面の格子扉から、腕に搭載したLED照明でラック内部を照らし、2Kの高解像度カメラで撮影する様子と併せて、遠隔制御する際の操作画面のデモも披露した。

4.NTTドコモの通信品質は改善されたのか、都内6カ所でキャリア4社を測定してみた(9.29 日経XTEC)
今春、NTTドコモの通信品質が低下していると話題になった。特につながりにくくなる、いわゆる“パケ詰まり”が発生しやすいと指摘されていたのが都内の繁華街だ。NTTドコモは2023年4月、「2023年夏までに解消を目指す」と発表。同年7月28日には東京都内4エリア(新宿、渋谷、池袋、新橋)で品質改善の対策を講じたと発表した。

 具体的な対策は「基地局ごとのカバーエリアの調整(電波照射の角度調整・指向調整・出力調整)」「周波数間の偏りをなくす分散制御(基地局設備の設定値変更)」「基地局設備の増設(5G設備増設、4G設備増設)」などである。

 筆者が測定した場所は、新宿駅東口周辺と渋谷駅東口周辺、渋谷駅西口周辺、池袋駅東口周辺である。いずれもNTTドコモが通信品質の改善を進めているエリアだ。測定は人出が多いと思われる日曜日の午後に実施した。さらに新橋駅烏森口周辺と東京駅の丸の内側(丸の内北口、同中央口、同南口)周辺で、通勤帰りの人で混み合う平日の夕方に測定した。東京駅丸の内側周辺は通信速度が問題視されているエリアではないが、スムーズに通信できるかどうかを確認するため測定エリアに加えた。

 通信速度の測定には「Googleスピードテスト」を使った。  NTTドコモは渋谷駅西口周辺で通信速度(ダウンロードの最低速度)が著しく遅くなることはあったが、おおむね快適に利用できる速度だった。最もダウンロード速度が高速だったのはソフトバンクだ。3つのエリア(新宿駅東口周辺、渋谷駅西口周辺、池袋駅東口周辺)で平均100Mbps超を記録している。アップロード速度はauが優位性を示した。楽天モバイルは池袋でNTTドコモを上回ったものの、ダウンロード速度では他の事業者に及ばない結果となった。

 最後に2023年9月11日、月曜日に新橋駅烏森口周辺と東京駅丸の内側周辺のエリアを測定した結果を示す。両エリアは17時30分〜18時30分の時間帯に測定し、人手は8月と同じぐらいという印象だ。

 新橋駅烏森口周辺では、8月の測定結果と同様にソフトバンクがトップ。200Mbpsを超えるダウンロード速度を記録した。auと楽天モバイルも不便なく使える速度を確認できた。一方、NTTドコモの最高速度は25.0Mbpsにとどまった。やや低速という印象を受けた。

 東京駅丸の内側周辺では、auとソフトバンクが高速な通信速度を記録した。またNTTドコモの速度向上も確認できた。8月に東京駅丸の内側周辺でNTTドコモの通信速度を計測した際は、ダウンロード速度が平均すると14.5Mbpsにとどまっていた。しかし9月の測定では135.7Mbpsとなり、満足できる速度に向上している。

 パケ詰まりは、多くの人の利用による混雑だけでなく、5Gと4Gの切り替えなどネットワーク制御にも起因するといわれている。原因は定かではないが、auとソフトバンクはスムーズに利用できていたので、ドコモの通信品質にはまだ改善の余地があるように感じた。

5.NEC通信システムや竹中工務店ら、ドローン制御に向けた位置測位技術を検証(9.27 日経XTEC)
NEC通信システム(東京・港)と竹中工務店、ロボティクス技術を手掛けるセンシンロボティクス(東京・品川)は、ドローンの自律制御を実現する一環として、3次元屋内外位置測位(MBS)を利用したリアルタイム位置測位の技術実証を実施し、屋内外でシームレスな位置測位が実現できることを確認した。MBSは地上基地局の信号や気圧データなどから位置情報を推定する技術。実証実験は2023年8月に実施し、同年9月13日に発表した。

 建設現場でドローンの自律制御を実現するには、機体の位置情報を把握することが重要だ。しかしGPSなどの衛星測位だと、屋外で詳細な位置情報を取得できるものの、屋内では位置情報の取得が難しいケースがある。一方、映像などによる自己位置推定を利用すると、建設現場の特徴点が少なかったり、似た構造の現場があったりした場合、位置の把握に失敗しやすい。そこで、MBSを利用し、屋内外でのシームレスな位置測位がリアルタイムで可能かどうかを検証した。

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