1.作文はChatGPTにおまかせ、資料作りから面倒な始末書も代わりに書いてくれる(9.15 日経XTEC)
チャットAIは文書の作成、分析、要約で信じられないような力を発揮する。適切なプロンプト(質問)さえ与えれば、例えば数千字のリポートも奇抜な創作物語も、ほんの数秒考えただけですらすらと書き始める。また、ユーザー自身が書いた文章を提示すれば、自分では気付かないような視点から鋭い批評を展開したり、文章校正をしたりしてくれる。長文の資料を与えて要約もできる。ビジネスからプライベートまで、幅広い応用が可能だ。
まずは、文書作成の実例を見ていこう。最初に例に挙げるのは始末書の作成だ。始末書を書くことはめったになく、しかも気が進まない作業なので時間がかかりがちだ。そんな始末書も必要な情報さえ与えれば、あっという間にチャットAIが書き上げてくれる。
ChatGPTに「お客様との面談に遅刻」「お客様から抗議の電話」という情報を与えて始末書を書かせてみると、きちんとした書式の始末書がすぐに出力された。「時間管理の欠如および交通渋滞」という遅刻の理由はChatGPTの創作。それに合わせて今後の取り組みにも言及している。もし本当に遅刻の理由が交通渋滞なら、そのまま使えそうな出来栄えだ。
市場調査リポートにも挑戦してみた。長文のリポートを書かせる場合、まずは構成を提案させるのがよい。もし期待した内容でなければ、指示を与えて構成を修正する。構成が固まったところで実際にリポートの文面を書かせよう。ただし、文面が細部まですべて正しいとは限らない。構成案の作成だけChatGPTの手を借りるのも悪くない選択肢だ。
2.最新プロセッサー搭載は最上位モデルのみ、iPhone 15で見えたアップルの新戦略と苦悩(9.14 日経XTEC)
米Apple(アップル)は米国時間2023年9月12日、「Apple Watch」と「iPhone」の新製品を発表。iPhoneの新機種「iPhone 15」シリーズと「iPhone 15 Pro」シリーズが注目を集めた。これらの新機種からは、アップルの新たな戦略と苦悩が見て取れた。
毎年恒例となっている秋のアップル新製品発表イベントが今年も開催された。イベントでは、スタンダードモデルのiPhone 15シリーズと、最上位モデルのiPhone 15 Proシリーズが発表された。いずれも画面サイズが6.1インチ(iPhone 15/iPhone 15 Pro)と6.7インチ(iPhone 15 Plus/iPhone 15 Pro Max)の2モデル構成であるなど、全体的な構成は現行の「iPhone 14」シリーズと変わらないようだ。
まずはiPhone 15シリーズについてだが、こちらは正直なところ「iPhone 14 Pro+α」というべき内容だ。プロセッサーにはiPhone 14 Proシリーズで搭載されていた「A16 Bionic」を搭載。またiPhone 14 Proシリーズと同様に、カメラのパンチホール部分に通知などを表示する「Dynamic Island」を採用している。
その一方で、iPhone 14 Proシリーズから変更された点もある。その1つが、アップル独自のLightningコネクターからUSB Type-C(USB-C)コネクターへの変更だ。モバイル機器の充電端子をUSB Type-Cに統一することを欧州連合(EU)が義務化して以降、iPhoneのUSB Type-C採用は噂されていた。それがついに実現した。
3.GoogleとNECが海底ケーブル敷設、マルチコア光ファイバーの採用を決定(9.13 日経XTEC)
米Google(グーグル)は2023年9月13日(米国時間)、台湾とフィリピン、グアム、カリフォルニアを結ぶ海底ケーブルにマルチコアファイバー技術を採用すると発表した。海底ケーブルに同技術を採用するのは「業界初」(同社)だという。ケーブルはグーグルとNECが、台湾の中華電信とフィリピンのInnove Communications、米AT&Tと共同で構築する。グーグルは2023年5月11日に海底ケーブルの構築を発表、2025年に運用を開始する予定だ。
マルチコアファイバーとは、ケーブルの内側にある「コア」と呼ばれる光の通り道を複数備える光ファイバーのこと。グーグルはコアを1つ備えるシングルコアファイバーと比べてコア数を2倍に増やす。マルチコアファイバーを採用すると、海底ケーブル内のファイバーの数を増やさずに伝送容量を増やせる。ケーブルが細いと、ケーブルの製造やテスト、メンテナンスにかかる時間を削減できるとする。
4.一般企業従事者の約7割がAIを「導入した方がよい」、電通調査(9.13 日経XTEC)
電通は2023年9月13日、全国15〜69歳の生活者3000人を対象にした「AIに関する生活者意識調査」の結果を発表した。同調査は、国内電通グループ横断でAI(人工知能)に関するプロジェクトを推進する組織「AI MIRAI」が実施した。インターネット調査で、調査期間は2023年6月14〜21日。
調査では、回答者のうち一般企業従事者1080人を対象に「今後もビジネスシーンにおいてAIの利活用が進んでいくと想定した場合、どのくらいの時期に導入を考えますか」と尋ねた。「人手不足対策」「コスト対策」「ビジネスチャンス」としての導入のいずれの項目においても「導入した方がよいと思わない」という回答が約3割にとどまり、約7割の回答者は導入した方がよいと考えていることが分かった。中でも導入の意向が最も高かったのが「人手不足対策としての導入」だ。1080人の回答者のうち、半年以内の導入が計32.7%を占めた。
このほか、AIによる業務の代替が進む想定で「AIに任せてもよいと思う業務」「AIに任せず、人間がやった方がよいと思う業務」を全国15〜69歳の生活者3000人に尋ねた。
AIに任せてもよいと思う業務は翻訳(42.4%)やルーティンワーク・単純作業(37.7%)、組み立て作業(36.3%)が多くの支持を集めた。一方、人間がやった方がよいと思う業務は医療処置(40.7%)や医療診断(36.7%)、経営などの意思決定(30.6%)が上位となった。
5.NECとNXHDがフォークリフトの自律遠隔搬送を共同開発、物流の人手不足に対応(9.11 日経XTEC)
NECとNIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は、フォークリフトを使った倉庫内作業の効率性と安全性を向上させる自律遠隔搬送ソリューションを共同で開発した。既存のフォークリフトに後付けしたカメラやセンサーなどを通し、搬送ルートの自動設計やフォークリフトの自律遠隔搬送ができるとする。2023年8月28日に発表した。
搬送ルートの設計はこれまで人間が担っていたが、同ソリューションでは物流倉庫内の映像データを基にシミュレーションして自動設計する。自律制御の際はカメラやLiDAR(レーザーレーダー)などのセンサーで得た周囲の状況を基に、リアルタイムでルートを見直して環境変化に対応する。さらに、搬送ルート上の障害物や人などへの衝突リスクを把握し、状況に応じてフォークリフトの速度を制限速度内で自動調整し、安全性を確保しつつ生産性も改善する。
開発の背景には物流業界の労働力不足がある。少子高齢化による人口減少に加え、2024年にはトラックドライバーに対する時間外労働規制が強化されることが、労働力不足を加速させる。そのため障害者雇用の拡大や物流の効率化が喫緊の課題だという。両社は今後、倉庫内での実証実験から得たフィードバックを反映させ、早期の事業化を目指す。
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