週間情報通信ニュースインデックスno.1394 2023/9/2


1.通信と金融の融合プランを打ち出すKDDI、競争軸を「ポイ活」から「マネ活」へ(9.1 日経XTEC)
KDDIは2023年8月23日、新たな料金プラン「auマネ活プラン」を発表した。通信サービスと系列の金融サービスを組み合わせた料金プランである。通信料金の支払いで得しながら、資産形成のサポートを受けられるという。従来とは異なる発想の料金プランだ。KDDIの狙いはどこにあるのだろうか。

 KDDIはこれまで、通信サービスとコンテンツサービスをセットにしたプランの提供に力を入れてきた。一方、今回発表したauマネ活プランは、通信サービスと金融サービスをセットで提供する。

 通信サービスの内容と料金はauブランドで提供している「使い放題MAX」や、それをベースとした料金プランと同じだ。だが「au PAYカード」や「auじぶん銀行」といったauフィナンシャルグループ系列各社が提供する金融・決済サービスを契約し、そのいずれかで料金を支払うと毎月最大で800円相当が還元される。

 加えてクレジットカードを「au PAYゴールドカード」にし、auフィナンシャルグループ各社が提供する金融サービスとセットで利用すると、さらに5つの特典が受けられる。

2.生成AIの主導権争いは三つどもえの対決、人気先行で利用者の付き合い方が課題に(9.1 日経XTEC)
人間のリクエストに応えて文章や画像を自在に生み出す――。これが最近話題のAI(人工知能)を使った生成ネットサービス、いわゆる「生成AI」だ。AIの技術自体は新しいものではなく、すでにさまざまな分野で導入されてきた。爆発的なブームとなった背景には、一般ユーザーが無料で利用できる無料ウェブサービスの相次ぐ登場がある。必要な道具はウェブブラウザーだけ。処理はサーバー側で行われるのでパソコンにハイスペックは要求されず、誰でも手軽に利用できる。「ChatGPT」に代表される生成AIは、人間と自然な文章で対話できることから「チャットAI」「対話型AI」などと呼ばれる。これまでのネット検索からのパラダイムシフトをもたらす存在と期待されている。

 従来のネット検索サービスでは調べたい事柄をキーワードとして入力すると、関連性が高いウェブページを列挙した。検索結果は玉石混交なため、目的に合うページを探すのは結構な手間。対してチャットAIは質問を投げかけると、目的の情報そのものを即答してくれる。さらにプログラミング能力まで備える点がすごい。動作を文章で依頼すればそれに沿ったコード(プログラム)を生成してくれるのだ。

 現在、チャットAIの分野では激しい主導権争いが繰り広げられている。ブームの火付け役となったのは米OpenAIが開発したChatGPTだが、同社と提携するマイクロソフトが「新しいBing」で、またグーグルも「Bard」で猛追している。

 急速に普及した生成AIだが課題も多い。チャットAI最大の弱点とされるのが誤回答。教育機関などでは利用基準を設ける動きが広がっている。また、入力した内容は学習データとして利用される可能性があるので、個人情報などを入力すると外部に流出しかねない。AIが学習に使う膨大なデータは主にネットの情報だが、それらは許可なく収集されたものだと問題視する声も多い。

3.KDDIとスペースXが衛星とスマホの直接通信サービス、2024年内をめどに提供へ(8.30 日経XTEC)
 KDDIは2023年8月30日、米Space Exploration Technologies(スペースX)と新たな業務提携を結んだと発表した。スペースXの「Starlink」の衛星とauスマートフォンが直接通信できる新サービスを2024年内をめどに始める。auのスマホユーザーは、空が見える状況であれば圏外エリアでも通信できるようになる。KDDIの4G LTEは人口カバー率が99.9%を超えるものの、地理的条件で基地局の設置が困難な場所も多く、面積カバー率は約60%にとどまる。スペースXとの協業で「どこでもつながる」サービスの実現を目指す。

 新サービスはスマホから地上の基地局を介さずにStarlinkの衛星と直接通信し、地上局とauコアネットワークを経由してインターネットにつなげるというもの。使用する周波数帯はミッドバンドを想定する。まずはメッセージの送受信から始め、音声・データ通信にも順次対応予定だ。

4.企業向けAIチャット「Microsoft Bing Chat Enterprise」の実力(8.29 日経XTEC)
米Microsoft(マイクロソフト)が2023年7月、企業向けAIチャット「Microsoft Bing Chat Enterprise(以下、Bing Chat Enterprise)」を発表した。一般向けの「新しいBing」と比べて、情報が漏洩しないようにデータを保護する機能が備わっている。Microsoft 365の企業向けプランでは、2023年8月からデフォルト(既定)で有効化された。

 Bing Chat Enterpriseには、データを保護するための機能が備わっていて、組織内のユーザーや業務データが外部に漏洩しないようになっている。業務でチャットを使えば、機密情報をやりとりすることがあるだろう。Bing Chat Enterpriseでは、チャットでやりとりするデータは保存されることがなく、マイクロソフトがアクセスすることもできない。また、AIの基になるモデルの学習にも使用されない。

 Bing Chat Enterpriseは、「Bing」のチャット同様、Webでの検索結果を基に回答を生成する。「Bing」のチャットはチャットの履歴が残るが、Bing Chat Enterpriseはデータ保護の観点からチャットの履歴は残らない。

5.シトリックス製品の脆弱性はすぐアップデートしても対処不十分、JPCERT/CCが指摘(8.19 日経XTEC)
 JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)は2023年8月16日、2023年7月19日に公開したシトリックス・システムズのネットワーク機器に対する注意喚起に情報を追加した。

 対象となるネットワーク機器はNetScaler ADCとNetScaler Gateway。両製品に「CVE-2023-3519」の脆弱性が残っていると、認証を受けなくても第三者がリモートで任意のコードを実行できる可能性があるという。JPCERT/CCは7月19日に、シトリックスがこの脆弱性を悪用する攻撃を確認したとして、速やかに対応するよう呼びかけていた。脆弱性はシトリックスが提供するパッチを適用することで解消できる。

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