週間情報通信ニュースインデックスno.1392 2023/8/19


1.NTTデータGがマイクロソフトのグローバルSIパートナーに、クラウド領域で連携(8.18 日経XTEC)
NTTデータグループ(NTTデータG)は2023年8月17日、米Microsoft(マイクロソフト)のグローバルシステムインテグレーターパートナーに認定されたと発表した。クラウド領域を中心に協業し、金融やヘルスケア、自動車、小売業など業界特有の課題解決につなげる。

 NTTデータGの常務執行役員でグローバルイノベーション本部長を務めるMarv Mouchawar氏は「光栄に思う。マイクロソフトとの連携をさらに深め、共にインパクトのある変化を生み出したい」とコメントしている。

 マイクロソフトのグローバルシステムインテグレーターパートナーには米アクセンチュアや米IBMなどが名を連ねる。

2.ドコモの井伊社長が激怒した通信品質問題は収束へ、それでも残る不安の正体(8.18 日経XTEC)
NTTドコモが通信品質の改善に向け、急ピッチで対策を進めている。同社の通信品質を巡っては、都市部を中心に「つながりにくい」「遅い」などの不満が続出していたことは以前に紹介した通り。特に問題となっていた東京の新宿・渋谷・池袋・新橋については品質向上のチューニングを2023年7月に終えた。今後は顧客の利用状況をきめ細かく把握し、さらなる改善を図っていく構えだ。

 ドコモは2023年4月に開いた説明会で、通信速度が低下する主な要因として、(1)トラフィック増大、(2)5G基地局の展開の遅れ、(3)再開発などによるエリア変動、(4)特定周波数の逼迫、の4点を挙げていた。(1)と(2)は見積もりの甘さ、(3)と(4)はチューニング不足に尽きるのだが、なぜこのような事態に陥ったのか。

 同社によると、トラフィック増大はもちろん認識しており、シミュレーションを含め、容量対策もしっかり立てていたという。ただ、アフターコロナのタイミングで読み間違えてしまった。「コロナ禍が明けてもこれくらいの人流の戻りだから間に合うとの想定で対策していたが、思った以上に戻りが早く、データ通信の使われ方も変わっていた。

 このほか、基地局のアンテナの向きや角度、電波出力の変更によるトラフィックのバランス調整、800メガヘルツ帯への集中を緩和する分散制御なども実施した。混雑エリアではスループットよりも接続性を優先し、より多くのユーザーにリソースを分配する制御に見直した。大規模イベント時と同様な対策になるという。

 ただ気になったのは、ネットワークの容量拡大につながる技術「Massive MIMO」の導入状況である。2023年4月の説明会では歯切れの悪い回答だったが、導入状況を詳しく聞くと、「まだ入っていない。機能の効果は確認しており、今後どう導入していくか検討している」(佐々木担当部長)とのことだった。

 Massive MIMOを構成する技術のうち、特定端末に向けて電波の信号強度を高められる「ビームフォーミング」機能に対応したアンテナ・基地局はあるが、エリアはごく一部に限られるという。空間多重で容量を高められる「MU-MIMO(マルチユーザーMIMO)」機能とビームフォーミングの両方に対応した基地局はそもそも導入していないため、ファームウエアのバージョンアップで対応できるような話でもない。いまさら4Gに導入しても明らかに非効率なので検討対象は5Gになるが、オープン仕様に基づいて多様なベンダーの基地局製品を自由に組み合わせられる「Open RAN」対応を含め、検討と検証にはまだまだ時間がかかりそうな気配である。

 競合のソフトバンクはMassive MIMOを4Gから早期に取り入れ、ネットワークの容量拡大をアピールしていた。Massive MIMOの導入の有無がドコモの今回の通信品質問題にどれだけ響いたのかは定かでなく検証のしようもないが、不安を残した形だ。

3.ガートナーが2023年の日本版ハイプ・サイクル発表、生成AIは過度な期待のピーク期(8.17 日経XTEC)
ガートナージャパンは2023年8月17日、先進技術の普及度合いを示す「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2023年」を発表した。2023年版で新たに追加された項目のうち、生成AI(人工知能)と分散型アイデンティティーが「過度な期待」のピーク期に位置付けられた。

 2022年版で「過度な期待」のピーク期にあったメタバースやWeb3、NFT、量子コンピューティングは、2023年版では幻滅期に入った。ガートナーのハイプ・サイクルは、テクノロジーを黎明(れいめい)期、「過度な期待」のピーク期、幻滅期、啓発期、生産性の安定期という5つのフェーズに分類する。イノベーションが過度にもてはやされる期間を経て幻滅期を迎え、最終的には市場や分野で重要性や役割が理解され進化する共通のパターンを描いている。

4.AWSの「知日家」幹部が力説するIoT戦略、日本企業をパートナーにしたい理由とは(8.18 日経XTEC)
IoT(インターネット・オブ・シングス)はデータの「収穫機」だ。トウモロコシとオリーブでは収穫方法が全く異なるように、IoTを成功させるためにはデータ発生源の特性に応じてやり方を変える必要がある――。

 そう語るのは、米Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス、AWS)でIoT部門を統括するYasser Alsaied(ヤッサー・アルセイド)バイスプレジデント(VP)だ。今回筆者は、来日したアルセイドVPにインタビューする機会を得たので、氏が語ったAWSのIoT戦略を紹介しよう。

 製造業であれば160種類近い異なる通信プロトコルが使用されているなど、業種や業界によってデータを集めるための方法が全く異なるからだ。「IoTソリューションを提供する企業の中には、プラットフォームを提供するだけで、何をするかはユーザー企業次第だとする会社が少なくない」(アルセイドVP)が、それでは成功は難しい。

 具体的にはAWSは、「AWS IoT Core」のようなIoTデバイスをAWSクラウドに接続するためのプラットフォーム的なサービスだけでなく、車両からのデータの収集・分析に特化した「AWS IoT FleetWise」や産業用機器からのデータの収集・分析に特化した「AWS IoT SiteWise」のような業種・業界に特化したソリューションを提供したうえで、「顧客に対する特別なトレーニングといった支援を提供する」(アルセイドVP)ことを方針としている。

5.小学生には使わせるな」、『言語の本質』の著者が懸念するChatGPT後の学校教育(8.18 日経XTEC)
ChatGPTとどう向き合うべきかで教育現場が揺れている。子どもの言語習得を専門とし、『言語の本質』の著者でもある慶応義塾大学環境情報学部の今井むつみ教授は、大学生の利用に関しては問題ないとの見解を示す一方、「小学生に使わせるのはやめたほうがいい」と語る。生成AI(人工知能)は、子どもの教育にどのような影響を及ぼすのか。ChatGPTがもたらす未来はどんなものになるのか。詳しく聞いた。

ChatGPTが教育に与える影響については様々な議論があります。学生が使うことに関してはどのようなスタンスを取られていますか。

 それこそ最初は学生に教えてもらいました。ChatGPTって面白いですよね。学生の利用については、私は止めないけどソースは明らかにするようにと言っている程度です。「高校生に英語を教える際、ChatGPTをどうやって使えばいいか」といった課題を出したりもしています。

 大学生が利用する分には、まずいと感じたことはありません。ただし、小学生に使わせるのはやめたほうがいいと考えています。熟練の先生が考え抜いて使わせるなら別ですが、気軽に使うとマイナスの効果が大きい。一番良くないのは、自分で考える代わりにChatGPTの答えを写してしまうことです。

 熟達者の直感は決して、いちかばちかのコイントスではありません。100%正しいわけではないけど、かなりの確率で瞬間的に正しい方向性が分かる。それが熟達者の証でもあります。どうやって身に付くかというと、長年にわたる訓練の蓄積。知識と行動が混然一体となっている状態です。

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