週間情報通信ニュースインデックスno.1388 2023/7/22


1.生成AI搭載「Microsoft 365 Copilot」に強気の価格設定、月額30ドルに込めた意味(7.21 日経XTEC)
Officeソフトに生成AI(人工知能)が搭載されるMicrosoft 365 Copilot。その価格が月額30ドルになるというのにはさすがに驚いた。デスクトップ版Officeソフトの月額利用料金よりも高いからだ。

 米Microsoft(マイクロソフト)は2023年7月18日(米国時間)に開催したパートナー向けの年次イベント「Microsoft Inspire 2023」で、Microsoft 365 Copilotの価格のほか、企業向けのAIチャットサービスであるBing Chat Enterprise、米Meta(メタ)との大規模言語モデル(LLM)に関する提携などを発表した。

 Microsoft 365 Copilotは、大企業向けのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)であるMicrosoft 365 E5(月額57ドル/日本では税別7130円、以下同じ)とMicrosoft 365 E3(同36ドル/4500円)、従業員数300人までの中小企業向けであるMicrosoft 365 Business Premium(同22ドル/2750円)とMicrosoft 365 Business Standard(同12.5ドル/1560円)の「追加サービス」として別料金で提供される。

 Microsoft 365はOfficeソフトに加えて、電子メールや予定表などのグループウエア機能、クラウドストレージ、セキュリティー管理機能などを統合したSaaSである。単品売りのプランもあり、Word、Excel、PowerPoint、Accessというおなじみのデスクトップ版Officeソフトが使えるMicrosoft 365 Apps for enterpriseは月額12ドル/1500円、それにTeamsとグループウエア機能を加えたOffice 365 E3が同23ドル/2880円である。Microsoft 365 Copilotの価格は、デスクトップ版Officeソフトの2.5倍にも達するのだ。

 Microsoft 365 Copilotは、単なるテキスト生成AIではない。ドキュメント作成業務などを手助けする副操縦士(Copilot)がOfficeソフトやグループウエアに組み込まれて、ユーザーを様々な形で支援してくれる。

 マイクロソフトが2023年3月にMicrosoft 365 Copilotを発表した際の説明によれば、例えば商品提案書のWordファイルに「このファイルの内容に基づいて商品を提案するPowerPointスライドを作ってくだだい」とのプロンプト(指示)を添えてAIに作業を依頼すると、AIは数秒でスライドを作成してくれるのだという。スライドに画像が必要である場合は、米OpenAI(オープンAI)の画像生成AIであるDALL-Eを使って、内容に沿った画像を追加してくれる。

2.KDDIがStarlinkの海上利用を開始、性能とコストで「革新的なサービス」に(7.19 日経XTEC)
KDDIは2023年7月18日、米SpaceX(スペースX)の衛星ブロードバンドサービス「Starlink」を利用した海上通信の開通セレモニーを開催した。同社とスペースXの日本法人であるStarlink Japanは、総務省から海上利用向け通信の免許を取得したことを同月3日に発表済み。セレモニーでは、Starlinkのアンテナを搭載した漁船とクルーザーを披露した。

 利用イメージとして、気象庁の海洋気象情報、海上保安庁の航行警報、海岸の様子を映すライブカメラ映像を確認することなどを挙げている。現在、海上のユーザーは主に静止軌道衛星の衛星通信サービスを利用しているが、「通信速度が1M〜2Mビット/秒で、月10〜40万円のコストを負担している」(KDDI)という。Starlinkを利用することで、通信速度が50M〜140Mビット/秒まで向上し、コストを月10万円以下に抑制できるため、「革新的なサービス」(KDDI)だとする。

3.部材費高騰や円安が最後の一撃、撤退相次ぐ携帯電話メーカーの苦しい事情(7.19 日経XTEC)
2023年上半期の携帯電話業界を振り返ると、筆者が最も驚いたのは携帯電話メーカーの相次ぐ撤退だった。京セラが5月16日の中期経営計画説明会で個人向けスマホ事業からの撤退を表明すると、5月30日には「らくらくホン」などを手掛けてきたFCNTの経営破綻が明らかになった。規模が物を言う世界で想定できた結末とはいえ、国内メーカーの撤退は残念でならない。

 日本市場もアップルの参入で一変してしまった。アップルだけで出荷台数シェアの約半分を占めるため、残り半分を巡って韓国サムスン電子を含めたAndroid陣営でしのぎを削ることになる。さらに調査会社のMM総研によると、かつて5000万台超あった国内出荷台数も10年前の2012年度が4181万台、2022年度が3193万台と縮小傾向にある。2022年度の出荷台数シェアでFCNTは3位(9.9%)、京セラは6位(4.7%)となっていたが、10%未満では厳しいものがある。

 この状況に追い打ちをかけたのが部材費の高騰と円安だ。携帯電話メーカーによると、5G(第5世代移動通信システム)でスマホの原価率が上昇して苦しくなっていたところに、部材費の高騰と円安が重なった。「商品によって部材の単価や仕様が異なるので相当なバラツキはあるが、おしなべて1.5倍程度のインパクトがあった」(携帯電話メーカー幹部)という。

4.中国の5G技術は建設の時代から応用の時代へ(7.18 日経XTEC)
先般上海市で開催された「上海世界移動通信大会」(Mobile World Congress Shanghai)では、個人消費分野の5G技術のほか、鉱山、港湾、工場などで利用可能な応用技術分野の集中的な展示が目を引いた。「中国の5G発展はすでに規模化の重要な時期に入り、今後適度な先行投資を行い、基盤インフラを強化することで、応用技術の規模を拡大する必要がある」と専門家は言う。

 今年5月末時点で累計285万か所の5Gステーションが建設され、地方級都市や県の主要地区は全て網羅されたという。また5G業界では1万6000個を超える「メタバースプライベートネットワーク」が構築され、垂直統合管理型企業のデータの個別化や自主管理などの需要に応えている。5G移動電話ユーザーは6億5100万人で移動電話ユーザーの38%を占めるまでになった。

 技術イノベーションの面では、5Gシステム、マイクロチップ、端末デバイス、計器など比較的完備された産業チェーンが構築された。5G技術では継続的なブレークスルーが進み、大容量アップロードバンド、ネットワークスライシング、エッジコンピューティングなどの能力が常にアップグレードされているという。  同大会の展示エリアでは、出展企業が生き生きとした3D方式で「5G技術が生活や生産をどのように変えるか」を来場者に体感させていた。

 最大のブース面積を占めた聯想(レノボ、Lenovo)は、5G技術の運営会社と協力して、垂直型企業のさまざまな企業管理の場面に対応するイノベーションと汎用ソリューション技術を、初めて総合的に展示した。スマート産業園、スマート工場に対応する5Gクラウド化基地局、5G軽量コアネットワーク、5G産業専用ネットワークなどが紹介された。

 中国移動の高同慶(Gao Tongqing)副総経理は「5Gの進化のため三つの目標を達成すべき」と分析する。第一に、より厳しい条件を満足できる工業用インターネットなどのネットワーク性能向上と5G技術の基礎固め、第二に、車載通信ネット利用の統合交通管理や全方位情報サービスなど5G能力の境界の拡張と新しい5Gアプリケーションの開拓、第三に、5GとAI技術の融合による産業コストの削減と効率の向上、これら三つが目標だという。

5.MVNOで売れ筋の最新モデル「OPPO Reno9 A」、デザインと操作感が向上(7.18 日経XTEC)
今回使ってみたSIMフリースマートフォンは、中国OPPO(オッポ)の「OPPO Reno9 A」だ。「Reno A」シリーズは、おサイフケータイと防水・防じんに対応した日本向けモデルで、Reno9 Aは5世代目だ。多くのMVNO(仮想移動体通信事業者)と楽天モバイル、ワイモバイルが取り扱う売れ筋モデルで、OPPO公式オンラインショップでの価格は4万6800円(税込み、以下同じ)。

筆者がOPPO Reno9 Aを使って気に入ったのは下記の5点だ。
操作しやすい大きさで、ボディーの質感も◎
“SNS映え” する写真が撮れる
使用感が心地よい
メモリーを最大16GBに拡張できる
デュアルSIMスロットを搭載し、eSIMも使える

 前モデルと同じく多彩な撮影モードを搭載。光の点を丸くぼかす “玉ボケ” にする「ネオンポートレート」や、背面・前面のカメラで同時に撮影する「アウト/イン同時撮影」などユニークな撮影も楽しめる。新たな撮影モードとして、背景をモノクロにして、自分だけをカラーで写す「AIカラーポートレート」も追加されている。自撮りを楽しみたい人も満足できるだろう。

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