1.IP化後のNTT東西の固定電話、他社IP網との「つながる仕組み」を詳解する(7.7 日経XTEC)
電話網をIP化すると他の通信事業者との接続方法も変わる。これまではNTT東日本とNTT西日本(NTT東西)が県単位で設置する相互接続交換機を介して他社と接続してきた。NTT東西の「ひかり電話」も、他社と接続する際は変換装置を介して公衆交換電話網に戻し、相互接続交換機を経由していた。
IP化後の「メタルIP電話」では、メタル収容装置から変換装置を経てNTT東西のIP網で伝送し、他の通信事業者とはIP網同士を直結するように変わる。
相互接続する場所として、NTT東西は「POI(Point Of Interface=相互接続点)ビル」と呼ばれる施設を東京都と大阪府に1カ所ずつ用意する。POIビル内での接続は大きく2つの形態がある。
1つは、通信事業者各社が網同士を直結する形態だ。具体的には、各社が自社の網端に設置した「相互接続ルーター」からPOIビルまで通信回線を引き込み、ケーブルを接続する中継器であるパッチパネルを介して他社の回線と接続する。
もう1つはレイヤー2(L2)スイッチを利用する形態。POIビルがある東京や大阪で電話サービスを提供していない通信事業者の利用を主に想定する。
こうした通信事業者にとっては、自社のIP網からPOIビルまで通信回線を引き込む距離が長くなる分、東京・大阪エリアでサービスを展開する通信事業者よりもコストの負担が大きい。
ただし、通信事業者のIP網同士を物理的に接続しただけでは電話はかけられない。発信者がかけた電話番号の着信先がどの通信事業者宛てで、その通信事業者のSIP(Session Initiation Protocol)サーバーがどこにあるかを把握する必要がある。そこで通信事業者をまたぐIP電話では、SIPに加えてENUM(E.164 NUmber Mapping)とDNS(Domain Name System)という2つの仕組みを利用する。
2.住友商事がグループ900社にDX推進基盤、インフラ選定の手間や人材不足を解消(7.5 日経XTEC)
住友商事は、グループ会社約900社が利用するIT資源をまとめた「SCデジタル基盤」を整備したことを2023年6月に明らかにした。業務ソフトやITインフラ、DX(デジタルトランスフォーメーション)を支援する人材といった各種のIT資源を、住友商事が選定してメニュー化。グループ各社にサービスとして提供する。900社という大規模な企業グループがこのような仕組みを整えたのは珍しい。
SCデジタル基盤を利用することで、グループ各社はDXに必要な業務ソフトやITインフラを検討する手間が省けるほか、DXを支援する人材を確保しやすくなるという。基盤に選定された業務ソフトを活用し、グループ全体では累計55万時間相当の業務を削減するなどの成果が早くも出始めている。
SCデジタル基盤は大きく3つの要素で構成する。業務のデジタル化に役立つソフト、セキュリティー主体のITインフラ、グループ各社のDXや業務効率化の施策を支援するデジタル人材の派遣である。
3.「IT Japan Award 2023」決まる、パナソニックHDのグループ挙げたDXに栄冠(6.19 日経XTEC)
優れたIT事例を表彰する日経コンピュータ主催「IT Japan Award 2023」。グランプリはグループを挙げてデジタル改革を加速するパナソニックホールディングス(HD)、準グランプリはトリドールホールディングス、特別賞はカゴメなど4事例が選ばれた。
グランプリを受賞したパナソニックHDはデジタル変革プロジェクト「PX(パナソニックトランスフォーメーション)」を推進している。継続中だが、SCM(サプライチェーン管理)にAI(人工知能)を使った予測などを取り入れ、その水準を向上。事業会社のパナソニック コネクトがSCMのDX(デジタル変革)支援を手掛け、モノ売りから継続的に収益を得るリカーリングモデルへと収益構造を見直すなどしている。
4.ファーウェイがMWC Shanghai 2023で5.5Gをアピール、24年に商用化(7.7 日経XTEC)
中国Huawei Technologies(ファーウェイ)は2023年6月29日、「MWC Shanghai 2023」(2023年6月28〜30日、上海)にて同社上級副社長兼キャリアビジネスグループ社長のLi Peng氏が行った基調講演の概要を公開した。「Creating New Value with 5G to Unleash Digital Dividends」と題した講演では、5G(第5世代移動通信システム)による新しい価値創造に向けてさらなる革新が必要として、同社が提唱する5Gと6Gをつなぐ「5.5G」では下り速度10Gビット/秒、上り速度1Gビット/秒、1000億個のIoT機器市場の開拓を目指すとしている。
Huaweiが5.5Gで進める4つの取り組みについて下記のように紹介した。
(1)人と人をつなぐ
世界の5Gユーザー数は12億を超え、革新的なコンテンツやアプリケーションの開発が進んでいる。裸眼で楽しめる3Dコンテンツでは、現在の2D動画に比べ、3〜10倍の通信を必要とし、これを実現するためには、6GHz帯やミリ波、サブ100GHz帯など、新しい周波数帯を活用する必要がある。
(2)家庭などへの5G FWA提供
(3)産業などに向けたプライベート5G
5Gを使ったプライベートネットワークは、既に世界中で17000件以上構築され、製造業や港湾、鉱山やエネルギー、医療など多くの業界でデジタル化が加速している。Huaweiはパートナー企業と協力して、業界初となる5.5G対応の生産ライン開発を支援し、遅延時間を4ミリ秒まで短縮した超高信頼性通信を提供している。
(4)自動車と周囲をつなぐ
5.5Gでは、自動車が周囲の環境をより正確にセンシングできるようになる。高度な交通信号システムや雨や霧の日のナビゲーション、見通し外でのセンシングなどが可能となる。レベル4の自動運転は2025年の商用化が期待されているが、これにも膨大な計算能力と強力なネットワークが必要となる。Huaweiは業界とのパートナーシップを深め、クラウド上での高度なリアルタイムコンピューティングを支援していく。
5.ZTEと中国移動がミリ波を使わず下り速度10Gビット/秒超、4.9GHz帯の100MHz幅(7.5 日経XTEC)
中国ZTEは2023年6月28日、中国China Mobile(中国移動)広東支社、広州支社と連携して広州市で行った5G(第5世代移動通信システム)商用試験の結果を公表した。4.9GHz帯の帯域幅100MHzのみを使いながら、10Gビット/秒を超える下り通信ピーク時スループットを確認した。業界最速値になるとしている。
ZTEの新世代アクティブアンテナユニット「128TR AAU」を活用することで、下り時の周波数利用効率を既存の5Gネットワークから2倍改善し、10.3Gビット/秒を達成した。上り時のピーク速度は2.8Gビット/秒で、こちらも現在の5Gネットワークから2.4倍の効率化を果たしたとしている。
4.9GHz帯は、現在China Mobileが5Gに使用している2.6GHz帯に比べて、伝搬損失や浸透損失が起きやすい。128TR AAUでは、アンテナ素子数を2倍にし、ビームフォーミング性能を強化することで、4.9GHz帯でのカバレッジを改善し、屋内での通信を強化した。具体的には、下りリンク空間分割で最大32ストリーム、上りリンク空間分割で最大24ストリームをサポートし、最大3dBのビームフォーミング利得を実現している。これにより、人口密度が高い都市部の高層ビルなど、垂直方向のカバレッジも確保できるようになったとしている。
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