週間情報通信ニュースインデックスno.1385 2023/7/1


1.総務省が富士通に行政指導、FENICS不正侵入受け再発防止策など求める(6.30 日経XTEC)
総務省は2023年6月30日、富士通に対して文書による行政指導を実施した。富士通が手掛ける法人向けインターネット回線サービス「FENICS」で発生した、サービスを構成するネットワーク機器への不正侵入を受けたもの。総務省は「通信の秘密の保護およびサイバーセキュリティーの確保の徹底を図るとともに、再発防止策を含む対策等を早急に講じ、その実施結果を報告するよう指導した」とする。

 今回の指導対象は、2022年3月28日〜11月21日にFENICSを利用して通信した顧客の通信情報が、複数回にわたって外部に流出した事案である。富士通は同年12月に、同サービスを構成する一部のネットワーク機器で外部へ不正な通信が行われていたことを発表。再発防止策を施してきた。

2.「5Gの成長はインドがけん引」エリクソン、28年の契約件数見通しは下方修正(6.30 日経XTEC)
スウェーデンEricsson(エリクソン)は2023年6月21日(現地時間)、最新リポート「Ericsson Mobility Report June 2023」を発表した。地政学的の課題や一部地域で経済活動が減速する中、世界の通信事業者の5Gへの投資は続いており、5G契約件数も2023年末までには15億に到達するとしている。

 インドでは、2022年10月の5Gサービス開始以降、大規模なネットワーク展開が進んでいる。5G契約件数は、2022年末に約1000万件に到達し、2028年末には、同国の移動通信契約件数の約57%を占めるようになる。世界で最も急速に成長が進む5G市場となっている。

 5G契約件数は世界各地で増加しており、2023年末までには15億に達する。世界のモバイルネットワークによるデータ通信量も増え続け、スマートフォン1台当たりの月平均使用量は、2023年末には20Gバイトを超える。

 一方で、2028年の5G契約件数は46億として、2022年12月時点の50億から4億引き下げた格好だ。

3.ChatGPTに絶対にできないことは何か、AIの回答が示唆する人間固有の価値(6.30 日経XTEC)
ChatGPTと会話していると、「ChatGPTが進化すれば、できないことは何もないのではないか」という気がしてくる。最近では、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長がChatGPTに夢中になっているという報道があった。「毎日何度もChatGPTと会話をしながらブレーンストーミングをしている」(同氏)という。

 個人的には、すべての仕事の機能は、ChatGPTやその将来の発展形といったAI(人工知能)で置き換え可能だと考えている。識者の中には「AIには責任を取ることができないから、責任を取ることが人間に残される仕事になる」という人もいる。たしかに、今のAIは人間が利用するためのツールであり、AI自体が責任を取ることはない。

 では、ChatGPTには絶対にできないことは何だろうか。それを知るには、本人に尋ねてみるのが手っ取り早い。ChatGPTに質問したところ、5つの項目を挙げてきた。

 まず、「新しい情報の生成」だ。現在のChatGPTは2021年までの情報しか持っていないため、それより後の出来事や科学的発見について答えることはできない。ただ、有料版の「ChatGPT Plus」には、最新情報をWeb検索で取得して答える機能が搭載されている。将来のChatGPTは、Web検索機能がシームレスに統合され、どんな質問にも対応できるようになるはずだ。

 ChatGPTが次に挙げたのが「実世界での物理的行動」だ。ChatGPTはテキストベースのAIであり、物を動かしたり音を出したりといったことはできない。

 「個人データのアクセスまたは保存」もChatGPTにはできないのだという。これは、能力的な問題というよりも意図的にそうデザインされているという話だ。

 「ハルシネーション(AIがもっともらしい嘘を出力すること)」にも言及してきた。ChatGPTには「絶対的な信頼性」がないのだという。「人間のようには学習できないため、時には間違った情報を提供したり、誤解を生む回答をしたりすることがあります」とのことだ。間違うことを自ら認める機械というのは面白い。

 それが「感情や主観的な意識の経験」だ。ChatGPTによると「ChatGPTはAIであり、人間のような感情や主観的な意識を持っているわけではありません。その反応は訓練データに基づくもので、自己意識や自己認識はありません」とのことだ。

 先ほど、すべての仕事の機能は、ChatGPT(やその発展形のAI)で置き換え可能だと述べた。「仕事」ではなくあえて「仕事の機能」と書いたのは、AIで置き換え可能なのは、あくまで仕事の1つの側面だと考えているからだ。「人の役に立つ」「人を楽しませる」といった「他人のために行う」という側面である。

 個人的には、仕事にはもう1つの側面があると考えている。「自分のために行う」という側面だ。主体的にやりたいことである。ChatGPTには感情や主観的な意識はないので、仕事のこの側面を置き換えることはできない。

4.NTTデータが生成AIを推進する新組織、業種や企業に特化したモデルを開発(6.29 日経XTEC)
NTTデータは2023年6月29日、生成AI(人工知能)を活用したビジネスを推進する新組織「Global Generative AI LAB」を同日に発足させたと発表した。新組織を中心に顧客企業へのITサービス提供において生成AI活用を推し進めるほか、全社規模でシステム開発の工程に生成AIを取り入れて生産性向上を図る。

 顧客企業向けでは、米OpenAI(オープンAI)の「ChatGPT」など既存サービスを用いるほか、オープンソースソフトウエア(OSS)やNTTグループが開発を進める大規模言語モデル(LLM)を用いて、特定の業種や企業独自の知識を学習させた生成AIモデルを開発し、顧客企業に提供する。独自のLLM開発に先行して、ChatGPTなどの既存サービスを応用した企業向け生成AIサービス「LITRON Generative Assistant」の提供を6月29日に開始した。

5.アイコムから工場向けハイブリッド通話端末、IP電話とIP無線を頑丈ボディーに(6.27 日経XTEC)
アイコムは、工場や工事現場向けのハイブリッド通話端末「IP210H」を2023年6月30日に発売する予定だ。IP電話とIP無線の機能を併せ持ち、過酷な環境での使用を踏まえた性能やデザインとしている。

 同社のハイブリッド通話端末は、内線電話と外線電話に対応できるIP電話機、およびワンプッシュで複数端末に同時連絡できるIP無線機として使える。SIMを装着すれば、無線LAN(Wi-Fi)だけでなくLTE回線にも接続可能だ。一斉同報する機能は緊急時の連絡などで有効である。

 20年10月に発売したオフィスや店舗向けの姉妹機「IP200H」は22年度の販売台数が数千台と、前年度比およそ8倍になるなど好調な売れ行きだった。IP電話とIP無線双方の機能を持つ点が評価され、安全対策として学校での導入が相次いでいるという。22年度の学校向け販売台数は1700台を突破し、22年12月時点で70校以上が導入している。

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