週間情報通信ニュースインデックスno.1379 2023/5/20


1.各業界で活用急拡大の「GPT-4」、GPT-3.5よりどう賢くなった?(5.19 日経XTEC)
 GPT-4とは米OpenAI(オープンAI)が開発した大規模言語モデルである。2023年3月に同社が発表した。テキストと画像の入力に対応するマルチモーダルの言語モデルだ。同社のチャットシステム「ChatGPT」の有償版などで使える。

 GPT-4で扱えるテキストの長さは2万5000語(3万2768トークン)と、従来版であるGPT-3.5の最大4097トークンに対し約8倍長い。これにより、従来よりもユーザーの意図をくみとった出力が可能になった。

 オープンAIが2023年3月15日(米国時間)に公開した「GPT-4 Technical Report」では、精度に関する複数の検証結果を示す。例えば、米国司法試験の模擬試験を解かせた際には、GPT-3.5では下位10%ほどの成績だったのが、GPT-4の成績は上位10%と大きく出力の精度を高めたことがわかった。

 GPT-4はメールや資料などの文書の自動生成ができるほか、データの分析や、コードの提案・生成などへの活用ができる。GPT-4を利用したサービスが続々と公開されている。例えば米Microsoft(マイクロソフト)は、「Microsoft 365 Copilot」や「GitHub Copilot X」、「Microsoft Security Copilot」など複数のサービスにGPT-4を実装。同社は2023年1月にオープンAIへの数十億ドルの追加投資を発表しており、今後も活用を加速する考えだ。

2ダークウェブの闇市場でもChatGPT祭り、怪しすぎる「生涯アカウント」まで販売.(5.17 日経XTEC)
ChatGPTをはじめとする生成AI(人工知能)に関するニュースが連日のように報じられ、世の中は「ChatGPT祭り」の様相を呈している。

 アンダーグラウンドも例外ではない。盗んだ個人情報や違法なツールなどを売買しているダークウェブの闇市場(アンダーグラウンドマーケット)では、ChatGPT関連商品が人気だという。

 セキュリティー企業の米Check Point Software Technologies(チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ)は2023年4月中旬、その模様を報告した。同社のリポートを基に、攻撃者たちのChatGPT祭りをのぞいてみよう。

 登場以来、ChatGPTはマルウエアの作成や詐欺メールの文面づくりといったサイバー攻撃への悪用が懸念されている。ChatGPTには、悪質なプロンプト(命令)には応じない対策(ガードレール)が施されているものの回避する手口が次々と出現し、いたちごっことなっているのが現状だ。攻撃者としては、ChatGPTの悪用を試してみたいところだろう。

 リポートを読む限りでは、特にパスワードの使い回しに気をつける必要がありそうだ。アカウントチェッカーがあなたのアカウントを狙っている。もちろんこれはChatGPTのアカウントに限った話ではない。

3.富士通がシステム品質の改善と情報セキュリティー対策を公表、相次ぐ不祥事を受け(5.19 日経XTEC)
富士通は2023年5月19日、2021年から断続的に発生している同社やグループ会社のシステムトラブルに対して、再発防止策を発表した。体制強化、情報セキュリティー対策強化、システム品質の改善・向上の3つの観点で対策を実施する。富士通の広報は「4月27日の決算会見で公表を約束したこともあり、このタイミングで発表した」と説明する。

 体制強化については、品質責任者としてCQO(最高品質責任者)を新たに任命する。現時点でCQOは決まっておらず、「しかるべきタイミングで発表する」(富士通広報)という。CQOの任命に加え、リスク・コンプライアンス委員会の体制や機能を拡充する。これまでリスク・コンプライアンス委員会は審議を中心に担ってきたが、今後は情報セキュリティーやシステム品質の具体策を決定し、実行する体制を構築。これによりリスク管理の徹底を目指す。

 システム品質の向上では、子会社である富士通Japanでのマイナンバー関連システムの不具合発生を受け、まず富士通Japanに対する品質統制の権限集中を実施する。既に富士通で実施済みのプロジェクトマネジメントの標準化、品質管理、リスクモニタリングによる予兆検知、現物確認などの取り組みを富士通Japanでも展開する。

4.54%が「生成AIを知らない」、PwCコンサルティングが調査(5.19 日経XTEC)
PwCコンサルティングは2023年5月19日、「生成AIに関する実態調査2023」を公表した。調査によると、回答者の過半数に当たる54%が生成AIを「知らない」と回答した。同社は「生成AIに関する動きが連日報じられ、生成AIに対する認知や関心は日本全体でも高まっていると感じられる。一方、今回の調査では、過半数が生成AIを全く認知していないと回答し、実態との乖離(かいり)が浮き彫りになった」と分析している。

 「生成AIを認識しているか」という問いに対し、「全く知らない」との回答が54%だった。これに対し、「聞いたことがある」は36%、「AIを使ったことがある」は7%、「業務で活用している」は3%だった。

 調査は2023年3月31日〜4月3日にWebを通じて実施。日本国内の企業・組織に所属する従業員を対象とし、1081人から回答があった。

5.ChatGPTのスマホアプリが登場、音声認識AIとも統合(5.19 日経XTEC)
米OpenAI(オープンAI)は2023年5月18日(現地時間)、対話型AI(人工知能)「ChatGPT」のスマートフォン向けアプリの提供を開始した。iOS向けを米国で提供を始め、今後数週間のうちに提供する国を増やしていく計画だ。Android向けは「間もなく提供予定」としている。

 ChatGPTのスマホアプリはOpenAIによる音声認識AI「Whisper」を統合しており、音声入力が可能になる。デバイス間の履歴の共有も可能だ。有料プランである「ChatGPT Plus」に加入している場合、2023年3月に同社が発表した大規模言語モデル「GPT-4」を利用でき、応答時間を速くできる。

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