週間情報通信ニュースインデックスno.1378 2023/5/13


1.NTTデータが富士通を抜き国内最大のIT企業へ、収益性の向上が課題(5.12 日経XTEC)
NTTデータは2023年5月11日、2024年3月期の連結売上高(国際会計基準)が4兆1000億円になる見通しだと発表した。富士通の2024年3月期の業績予想では、売上高に当たる売上収益を3兆8600億円としている。NTTデータの計画通りに進めば、売り上げ規模で富士通を抜いて国内最大のIT企業になる。

 NTTデータが急激に売り上げ規模を拡大しているのは、NTTグループの海外事業を統括するNTT Limited(NTT Ltd.)を2022年10月に傘下へ収めたためだ。2023年3月期のNTT Ltd.による収益貢献は半年分だったが、2024年3月期以降は通期で収益に寄与する。統合前と比べて売上高を1兆円以上、押し上げる。

 NTTデータは自社製ハードウエアを持たず、ほぼSIサービスだけで事業を成り立たせていた。このため、富士通やNECが構造改革で苦労するのをよそにM&A(合併・買収)で事業を大きくしやすかった。

2.トヨタ、クラウド環境の誤設定で約215万人の情報が閲覧可能に(5.12 日経XTEC)
トヨタ自動車は2023年5月12日、子会社のトヨタコネクティッドに管理を委託するデータの一部が公開状態となっていたと発表した。原因はクラウド環境の誤設定だ。約215万人の顧客データなどが対象で、現在トヨタコネクティッドが管理する全てのクラウド環境を含めて調査中だ。

 外部から閲覧できる状態になっていたデータは、トヨタのコネクテッドサービスである「T-Connect」や「G-Link」を2012年1月2日から2023年4月17日の間に契約した約215万人の車載端末ID、車台番号、車両の位置情報、時刻など。2013年11月6日から2023年4月17日まで、外部からアクセスできる状態にあった。その他、トヨタコネクティッドが提供する法人向けサービスのドライブレコーダーの映像も、2016年11月14日から2023年4月4日まで外部からアクセスできる状態にあった。トヨタは外部から閲覧された可能性のあるデータについて、「外部からアクセスした場合であっても、これらのデータだけでは顧客が特定されるものではない」としている。

3.外国語の壁を取り払う翻訳AI、DeepLとGoogleレンズが重宝される理由(5.11 日経XTEC)
最近の生成AIの発達と同じく、AIによる翻訳も進歩を続けている。コンテンツを新しく生成するAIとは用途が異なるが、私たちの生活や仕事を変化させる可能性が高い。自然で高精度な翻訳が手軽に使えるならば、ビジネスで読む資料や、作成する書類などが外国語であっても苦労する必要がなくなるからだ。

 翻訳AIでは、ドイツのDeepLが2017年に提供を始めた「DeepL」が注目されている。同社のWebサイトにアクセスすれば、すぐに翻訳を利用できる。執筆時点で31言語に対応し、それらの言語間相互の翻訳が可能だ。

4.ドコモも通信障害時の副回線サービスを6月に開始、au回線利用で月429円から(5.10 日経XTEC)
NTTドコモは2023年5月9日、1台の端末で複数の回線が利用できる「副回線サービス」の提供を6月1日に始めると発表した。同社のスマートフォンを利用しているユーザーが、例えば災害時や通信障害発生時などにKDDIのau回線に切り替えることが可能になる。

 副回線サービスのプランは2種類あり、基本料は「個人・法人共通」が月429円(税込み、以下同じ)、「法人」が月550円。共通プランは0.5ギガバイト、法人プランは1ギガバイトのデータ通信量を含む。上りと下りの通信速度は共通プランが最大毎秒300キロビット、法人プランが同1メガビットとなり、上記データ通信量を超えた場合は同128キロビットに制限される。音声通話料は30秒当たり22円、SMS送信料は1通当たり3.3円(全角70文字まで、受信は無料)である。

5.「遅い」との不満が続出するドコモの異変、釈然としない言い訳で高まる不安(5.10 日経XTEC)
通信品質の高さで定評のあるNTTドコモに異変が生じている。個人で利用している分には気づきにくいかもしれないが、SNS(交流サイト)を調べると「遅い」との不満が大量に出てくる。「データ通信量を使い切ったのかと思った」「通信障害が発生している?」などと勘違いする人もいるほどだ。

 ドコモによると、通信速度の低下は都市部の主要駅や繁華街などで発生しており、ここ数カ月で事象が増えていたという。主な要因として、(1)トラフィック増大、(2)「瞬速5G」基地局設置場所の交渉、(3)再開発などによるエリア変動、(4)特定周波数の逼迫ーーなどを挙げた。

 トラフィックは5Gの普及で今後も拡大していく見通し。容量不足をカバーするためには瞬速5G基地局をとにかく増やしていくしかないのだが、どうしても時間がかかってしまう。そこで、対策としてカバーエリアの調整と周波数のさらなる分散を急ピッチで進め、2023年夏までにしっかり解決すると宣言した。

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