週間情報通信ニュースインデックスno.1377 2023/5/6


1.JDLAが「生成AIの利用ガイドライン」を公開、企業の活用を促進(5.1 日経XTEC)
日本ディープラーニング協会(JDLA)は2023年5月1日、生成AI(人工知能)の活用を進める組織向けガイドラインである「生成AIの利用ガイドライン」を公開した。同ガイドラインは、JDLAの公式サイトから無料でダウンロードできる。JDLA理事長を務める松尾豊 東京大学大学院工学系研究科教授は「ガイドラインを定めて(生成AIを)使いやすくし、活用を促進していきたい」と説明する。

 JDLA有識者会員の柿沼太一 弁護士法人STORIA法律事務所代表パートナー弁護士は「最低限定めておいたほうがよいと思われる事項を基に作成した」と説明する。あくまで同ガイドラインはひな型であり、組織が活用目的などに合わせて必要な追加・修正を施すことで、生成AIをスムーズに導入できるようになるという。

2.NTT東西が通信障害の原因を発表、マルチキャストの内部処理に「未知」の不具合(4.28 日経XTEC)
NTT東日本とNTT西日本は2023年4月28日、4月3日に発生した通信障害の原因と対策に関する説明会を開催した。通信障害は4月3日午前7時10分ごろに発生し、東日本や西日本の一部エリアで光回線サービスやひかり電話などが利用できない、または利用しづらい状態となった。影響数は最大44.6万回線(NTT東が35.9万回線、NTT西が8.7万回線)。NTT東日本とNTT西日本は同日、総務省に対し重大な事故として報告した。

 障害が発生したのは、各都道府県のNTTビルに設置する「加入者収容装置」だ。同装置のうち、特定機種がソフトウエアの不具合を内在していた。具体的には、マルチキャストの内部処理に問題があり、一定の条件が重なった場合に二重構成としていたパケット転送部が再起動・切り替わりを繰り返すというものだ。サイバー攻撃によるものではないことも確認したという。

3.ChatGPTなどLLMがセキュリティー対策の味方に、ウイルス対策ソフトをしのぐ実力(4.28 日経XTEC)
ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)は、企業のセキュリティー対策にとって敵なのか、それとも味方なのだろうか。LLMの悪用に対する懸念が先行する一方で、セキュリティー対策の強化につながるLLMの活用方法も提案され始めている。

 LLMがセキュリティー対策に与える影響に関しては、悪用への懸念が先行しているのが実情だ。「LLMのコード生成能力が、マルウエア(悪意のあるプログラム)開発に悪用される恐れがある」「LLMの文章生成能力が、フィッシングメールの作成に悪用される恐れがある」といった指摘である。

 米OpenAI(オープンAI)によるChatGPTの運用ポリシーが、新たなセキュリティー上の懸念を生み出してもいる。オープンAIはChatGPTに対してユーザーが入力したプロンプトや出力結果を、次なる機械学習モデルのトレーニングに使用するとしている。

 設定を変更すればトレーニング対象から除外することも可能だが、それをせずにユーザーが企業秘密などをChatGPTに入力してしまうと、そのデータが何らかの形で漏れる恐れがある。入力したテキストそのものが流出する以外にも、AIが企業秘密の内容を理解し、他のユーザーからの質問に応じてそれを明かしてしまう、といった可能性も考えられるだろう。

 懸念を挙げればきりがないが、その一方で希望の光も見え始めた。米Google(グーグル)や米Microsoft(マイクロソフト)などが最近進める、セキュリティー対策製品へのLLMの搭載だ。

 例えばグーグルが運営するマルウエア検索WebサービスのVirusTotalに関しては、悪意のある行動をする恐れがあるスクリプトの内容をSec-PaLMが分析し、スクリプトの動きを自然言語で説明するとともに、そのスクリプトがマルウエアかどうかを判断する「VirusTotal Code Insight」という新機能が発表された。

4.コマツが子会社と建設機械向け遠隔操作システム、コックピットから操作可能に(4.27 日経XTEC)
コマツとその子会社のEARTHBRAIN(アースブレーン、東京・港)は建設機械向け遠隔操作システムを共同で開発し、2023年3月に提供開始した。建設機械に信号を送受信できるソフトウエアを組み込むことで、遠隔地にあるコックピット内で運転席の視点の映像を見ながら操作ができるという。2023年4月14日に発表した。

 コマツは遠隔操作信号を機械の操作用信号に変換し伝えるためのソフトウエアおよびコントローラーを開発し、無線操縦車に搭載した。アースブレーンは遠隔操作コックピットを開発し、建設機械から送られた映像を用いて前後左右や作業機を確認することで、実際の運転席同様に遠隔操作ができるようにした。建設現場と遠隔操作拠点間の接続には、高速かつ大容量の通信が可能な5G(第5世代移動通信システム)通信やクラウド基盤を活用した。

5.レッドハットが「エッジ」に注力、オムロンとの協業で生産現場をデジタル化(4.26 日経XTEC)
レッドハットは2023年4月25日、事業戦略説明会を開催し、力を注いでいく領域などを説明した。その1つに挙げたのが末端機器側の「エッジ」である。レッドハットの岡玄樹社長は「クラウドで開発してエッジでデプロイするとともに、継続的にアップデートできる。そんな仕組みを導入できるようにしていきたい」と語った。

 事業構想の推進へレッドハットが手を組んだのがオムロンだ。オムロンは生産現場の自動化に利用するIPC(産業用PC)などを開発・販売する。レッドハットの事業戦略説明会に担当者が登壇し、工場の生産性向上にさらなるデジタル化が求められることを訴えた。

 すでにオムロンはPoC(概念実証)に取り組んでいる。具体的にはレッドハットが提供するサービス「OpenShift」を利用し、モーションキャプチャーなどのエッジ向けアプリケーションをデプロイするもの。主にWebアプリケーションで利用するサービスをFA(ファクトリーオートメーション)機器に展開できるか、生産現場に直接向かわなくてもFA機器を管理できるようになるのかなどを確認した。

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