週間情報通信ニュースインデックスno.1374 2023/4/15


1.1カ月で10個以上の「OSS版ChatGPT」が登場、その学習手法が物議を醸す訳(4.14 日経XTEC)
最近、米OpenAI(オープンAI)のチャットボットAI(人工知能)ChatGPTに匹敵する性能があるとするオープンソースソフトウエア(OSS)が次々と登場している。ユーザーにとって好ましい状況が生まれつつある一方、その学習手法が物議を醸してもいる。

 オープンAIはChatGPTなどをAIサービスとして提供しているが、ソフトウエア本体や学習済みの機械学習モデルは公開していない。そのためChatGPTを自前の環境で稼働させることはできない。

 それに対してOSSのチャットボットAIは、数十ギガバイト(GB)のビデオメモリーを搭載したGPUさえ用意できれば、自前の環境で稼働させられる(ただし用途は、非商用・研究用に限られている)。

 米有力大が公開したOSSがいずれも動物の名前なのは、これらがすべて米Meta(メタ)が2023年2月24日(同)に研究者向けに公開した事前学習済み大規模言語モデル「LLaMA(ラマ)」をベースに開発されたことにちなむ。

 オープンAIのChatGPTは、大量の文章データを自己教師あり学習させた大規模言語モデルのGPT-3.5やGPT-4に対して、教師あり学習によるファインチューニング(supervised fine-tuning、SFT)と人間のフィードバックに基づく強化学習を加えることによって開発されている。

 ChatGPTのようなチャットボットAIを開発する上でまず課題となるのは、ベースとなる大規模言語モデルを構築するのに多額の費用を要することである。数百億パラメーターの機械学習モデルに、数兆単語(トークン)規模の文章データを学習させるには、数億円単位の費用がかかるとされる。

 AlpacaやVicuna、Koalaはいずれも、オープンAIが開発した既存の大規模言語モデルの出力データを、学習データに利用したわけだ。AI研究の分野では、既存モデルの出力データを使って新しいモデルを開発することを「知識蒸留(Knowledge Distillation)」と呼ぶ。

 つまりAlpacaの開発コストは、会話サンプルデータ作成が500ドル、計算コストが100ドルで合計600ドルだった。Vicunaに至っては、会話サンプルはタダだったので、計算コスト300ドルがかかっただけである。

 安価に開発できたOSS版のチャットボットAIだが、性能は悪くない。各研究チームはWebサイトでデモを公開しているが、わずか数百ドルのコストで開発されたAIとは思えないような文章が出力できている。

 果たして今後、知識蒸留によってつくられた「ChatGPTクローン」が世の中にあふれる未来がやって来るのだろうか。それとも知識蒸留は制限され、今回紹介したOSSのチャットボットAIも、非商用・研究用のまま姿を消すことになるのだろうか。AIの未来は分からないことだらけである。

2.NTT電話網24年1月IP化で企業の金融決済網に迫る移行期限、工事集中で遅れも(4.14 日経XTEC)
NTT東西地域会社が2024年1月以降、アナログ電話やISDNなど固定電話網(PSTN)を順次廃止してIP網に移行する。産業界が電話回線を使ったデータ通信をインターネット網などに切り替える中、金融業界で移行が遅れている業務がある。金融機関と企業が金融決済データを電話回線でやりとりする「全銀手順」である。

 背景には電話回線の移行先にインターネット網を使うか、インターネットと隔絶した専用回線を使うかで、金融機関の意思決定が遅れ気味だった事実がある。信用金庫・信用組合を含む銀行業界の大半は、全銀手順の後継サービスとして専用回線を使う方式だけを採用した。NTTデータが提供する「AnserDATAPORT」である。インターネット網を通じた接続サービスも提供する金融機関は現在、少数にとどまる。

 問題は、銀行業界でAnserDATAPORTの採用が2021年からようやく広がったため、金融機関と取引する利用企業の移行が「2022年後半から本格化した」(NTTデータ)ばかりということだ。移行期間が実質2年弱と短いうえに、現在は申し込みが集中しているため、AnserDATAPORTの申し込みから導入完了までには最大6カ月が必要だという。大半の企業が使っているISDN(INSネットのディジタル通信モード)は2024年1月初め?1月末に全国で順次終了が決まっている。企業は2023年6月ごろまでに手続きを完了しないと、ISDN終了に間に合わない恐れもある。

 銀行とEDI接続を利用する主な業種は、大量の口座振替依頼を扱うクレジットカードや保険、電力・ガス、地方自治体、収納代行企業、通信サービスなどだ。NTTデータの推計では国内で約1万社が存在する。

 しかし銀行業界ではインターネットの採用が広がらなかった。現時点で同方式でインターネットによるEDI接続を提供するのはGMOあおぞらネット銀行や、信用金庫26社が参画する九州しんきん情報サービスなどにとどまる。

3.KDDIも5Gの本命「SA方式」の個人向けサービスを開始、浸透への高いハードル(4.13 日経XTEC)
KDDI(au)は2023年4月11日、5G(第5世代移動通信システム)の本命とされるSA(スタンドアロン)方式について、これまでの法人向けに加え、個人向けにも提供を始めると発表した。4Gの交換機(EPC)に4Gと5Gの基地局がぶら下がる現行のNSA(ノンスタンドアロン)方式に対し、SA方式は5Gの交換機(5GC)と5Gの基地局だけで動作する。5Gの性能をフルに発揮できることから注目を集めている。

 もっとも、現時点では対応スマートフォンも提供エリアも限られ、ほとんどの消費者は様子見となりそうだ。KDDIも「(5G SAサービスの)利用体感は現状(NSA方式)とほぼ同じ」と話す。SA方式ではインフラを仮想的に分割する「ネットワークスライシング」により、低遅延など顧客の品質要件に応じたサービスを提供しやすくなる。収益拡大への期待は大きいが、浸透までのハードルは高く、当面は生みの苦しみが続きそうである。

4.ChatGPT対応に温度差、メガバンクなど大手金融7社が明かすAIへの取り組み(4.11 日経XTEC)
対話型AI(人工知能)「ChatGPT」の勢いが止まらない。英国が自国版LLM(大規模言語モデル)の開発に乗り出す一方、イタリアでは利用を一時的に禁止するなど、国家レベルでも対応に追われている。もちろん金融機関も例外ではない。大手金融  「DX(デジタルトランスフォーメーション)人材を自認するなら、ChatGPTを触っていないと話にならない」。損害保険ジャパンの石川隼輔DX推進部開発推進グループリーダーは、ChatGPTに関するDX推進部での勉強会でこう語った。開発推進グループがChatGPTを使い始めたのは2023年1月。コードを書く際の参考にしたり、テストデータのパターンを自動生成したりと、グループのほぼ全員が利用している。

 緊急取材に応じた7社の中で、すでに生成AIを使ったシステム開発を進めているのが損害保険ジャパンだ。コールセンターでの問い合わせや保険支払い請求といった顧客対応の際に、通話内容の要約やシステムへの反映をAIで自動化する。「要約の負荷軽減や、長時間の通話で前の内容を忘れるといったミスの防止に役立つ」(原田拓也DX推進部パーソナルライングループ課長代理)と期待を寄せる。

 GMOあおぞらネット銀行は、ChatGPTの業務活用の可能性を2023年度上期に探る方針だ。利用可能な案件があれば、同年度下期以降に使い始める構想を描く。金子邦彦テクノロジー&ソリューショングループ長は、「業務経営計画におけるキーワードの1つとして、ChatGPTを取り上げる方向で議論している」と説明する。

5.法人向けの5Gマネージドサービス「プライベート5G」を提供開始(3.29 ソフトバンク)
ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、法人向けの5G(第5世代移動通信システム)マネージドサービス「プライベート5G」の提供を、2023年3月29日に開始しました。「プライベート5G」は、企業や自治体など(以下「お客さま」)のさまざまなニーズに合わせて、個別にカスタマイズした5Gネットワークを提供するサービスです。まず、パブリック5Gの設備や電波を利用する「共有型」(以下「プライベート5G(共有型)」)のサービスを提供します。

「プライベート5G(共有型)」は、5G SAの特長であるネットワークスライシングを活用し、お客さまの用途に応じて最適なネットワークのリソースを割り振るとともに、ソフトバンクが提供する閉域接続サービスと連携することで、高品質かつ安全な通信を実現します。これにより、お客さま側でネットワークの構築・運用の手間や時間をかけずに、製造業における工場全体の無線化や、遠隔操縦や危険察知ソリューションなどに求められる、アクセス集中時の影響を抑えた通信などが可能になります。

ソフトバンクは、「プライベート5G(共有型)」の提供を通して、工場やプラント、ビルなどの設備を制御するOT(Operational Technology:運用技術)領域を高度化するとともに、これまで分断されていたIT(情報技術)とOTのシステムを連携させ、一つのネットワークに集約させることで、産業全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していきます。

なお、お客さまの敷地内に専用の基地局や設備を設置して、高度なプライベートネットワーク環境を提供する「プライベート5G(専有型)」は、2023年度中に提供開始予定です。

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