週間情報通信ニュースインデックスno.1373 2023/4/8


1.IPAが企業の内部不正防止体制を調査、優先度の高い経営課題と認識する企業は約4割(4.7 日経XTEC)
 情報処理推進機構(IPA)は2023年4月6日、企業の内部不正防止体制に関する実態調査の報告書を公表した。経営層が内部不正リスクを優先度の高い経営課題として認識していると回答した企業は約4割にとどまった。

 ほかにも個人情報以外の重要情報を特定する仕組みを持つ企業は半数に満たないことが分かった。IPAは重要な営業情報や利活用価値の高いデータなど「個人情報以外についても、情報を適切に区分し、管理する仕組みを構築することが重要」と指摘する。

 調査は2022年11月から2023年1月まで、アンケートやインタビューを通じて行われた。背景にはテレワークやクラウド利用、AI(人工知能) の応用など環境が激しく変化する一方、内部不正対策が追い付いていないことへの懸念がある。

2.AIで賢くなるAI、ChatGPTは人類を滅ぼす「スカイネット」に進化するか(4.7 日経XTEC)
人間の質問に対して、AI(人工知能)が回答を返してくれる「ChatGPT」の人気が止まらない。個人的には一過性のブームで終わるのではないかと思っていたが、ChatGPTを何らかの形で業務に取り込もうとする企業が増えている。さらに米OpenAIは2023年3月中旬に大規模言語モデル(LLM)の新版「GPT-4」を発表。ChatGPT有料版ではGPT-4の一部の機能を利用できるようになった。

 注目が高まるにつれて、ChatGPTに対する逆風も強まっている。企業の中にはChatGPTの利用を禁止するところも出てきた。ユーザーがChatGPTに入力した内容を通して社内情報が流出するおそれがあるためだ。

 こうした危惧が最悪の形で現実になった場合、何が起こるだろうか。それを端的に表すのが「スカイネット」だろう。スカイネットは、映画「ターミネーター」シリーズに敵役として登場するAIだ。

 スカイネットは自己進化の機能を備え、あるとき自我に目覚める。これを恐れた人類はスカイネットを停止させようとするが、それを自分への攻撃とみなしたスカイネットは、ロシアに核ミサイルを打ち込んで世界規模の核戦争を誘発。さらに無人兵器で構成した軍隊により人類を絶滅寸前に追い込む。

 スカイネットは本当に生まれるのだろうか。その鍵を握る概念が「シンギュラリティー」だ。日本語では「技術的特異点」と訳されることが多い。革新的な技術により状況が一変してしまう時点を指す。

 AIにおけるシンギュラリティーは、「AIが人間の知能を超える時点」を指すという解釈が一般的だ。これは間違いではないが、分野によってはAIの能力はすでに大多数の人間の能力を超えている。例えばAIによる画像認識は、人間による画像認識の精度を超えて久しい。多くの人はStable Diffusionが出力するような画像を描くことはできないし、ChatGPTが出力する文章よりも下手な文章しか書けない人もいる。

 シンギュラリティーをもう少し具体的に説明すると、「AIが自分よりも賢いAIを生み出せるようになる」ということだ。この再帰的な構造が実現すれば、AIは無限に賢くなり、全知全能の存在に近づく。これを人間側から見れば「AIが人間の知能を超える」ということになる。自己進化機能を持つスカイネットは、まさにシンギュラリティーが生み出した存在だといえる。

 ためしにシンギュラリティーがいつ起こるかをChatGPTに尋ねてみたところ、一般的には2030年代から2050年代にかけての期間に、シンギュラリティーが起こる可能性が高いと考えられているという。

 いったん進み始めたAIの開発を止めることはできないし、止められる人もいない。遅かれ早かれシンギュラリティーが達成されるのは間違いないだろう。その後のAIが危険な存在になるかどうかは、人がAIをどう利用するかにかかっている。AIが自然に安全になったり危険になったりすることはない。最後に決めるのは結局は人だ。

3.PwC Japanが「生成AI」活用のコンサルサービス、3テーマで顧客支援(4.6 日経XTEC)
PwC Japanグループは2023年4月6日、生成AIを活用したビジネス変革のコンサルティングサービスの提供開始を発表した。本サービスは「事業化支援」「導入支援」「リスク管理支援」の3つのテーマで構成する。

 サービス開始に伴い、生成AIの専門タスクフォースを組成した。生成AI専門タスクフォースは、PwCコンサルティング、PwCアドバイザリー、PwCあらた監査法人、PwC税理士法人、PwC弁護士法人のメンバーから成る。

 生成AIは、米オープンAIが「ChatGPT(チャットGPT)」を提供開始したことなどにより関心が高まる。PwC Japanグループは、生成AI市場への参入判断、生成AI利活用の導入、生成AIに関するリスク管理などに係る支援を通じて、生成AIが産業にもたらす大きな変革への企業対応を支援し、革新的な企業経営の実現に貢献するという。

4.「DXで何かしたい」案件はお断り、デロイト・PwC・KPMGのコンサル術(4.6 日経XTEC)
2023年3月23日、米Accenture(アクセンチュア)が約1万9000人の人員を削減する計画を発表した。好調に見えていたコンサルティング会社も曲がり角か――。こんな見方も広がっているが、海外に本部やネットワークを持つ海外勢の日本市場における業績は好調だ。DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業の増加が、コンサルティングサービスの需要の増加を後押ししている。

 コンサルティングサービスは、顧客が困っていることや悩んでいることに対し、専門知識を活用してサポートするサービスである。グローバルにネットワークを持つ海外勢は、各国の法人の持つノウハウや事例をグローバルで共有することで幅広い案件に対応できることが特徴だ。

 「AI(人工知能)を使って新しい顧客サービスをつくりたい」「IoT(インターネット・オブ・シングズ)を使って工場のデジタル化を推進したい」。ITなくしてコンサルティングサービスが成り立たない今、顧客企業の要望に応えるため、コンサルティング会社は業務や業界に精通したコンサルタントだけでなく、ITエンジニアやデザイナーなど様々な人員を増やしている。

 海外勢の中で国内事業の売上高や人員数が最も多いアクセンチュアは、「顧客の計画立案からシステム構築、保守運用や業務支援など、全てにおいて一番になる」ことを掲げ、採用だけでなく買収も通じて規模の拡大を目指す。

5.「日本の5Gは回線混雑時に4Gよりはるかに安定」、英Opensignal最新調査報告(4.5 日経XTEC)
独立系調査会社の英Opensignalは2023年3月30日、日本の5G(第5世代移動通信システム)を4Gと比較した最新分析結果を発表した。日本の5Gは特に回線混雑時に4Gよりはるかに安定した通信を提供すると報告している。

 日本でモバイルネットワークが最も快適に利用できる時間帯は午前3時から午前6時までとなる。4Gでは午後になると、ユーザーの平均下り速度が20%以上低下するが、5Gは午後になっても約6%、夕方6時以降も9.3%〜11.2%と、低下率が4Gより緩やかとなっている。

 すべての時間帯において5Gの通信速度は4Gを大きく上回る。5Gユーザーの平均下り速度は152.1M〜171.3Mビット/秒で、4Gの平均下り速度の3.2倍から3.8倍となっている。

 一方、日本の5Gネットワークは、3.6G〜4.6GHz帯などの新しい周波数帯を使うことで回線容量が大幅に増え、混雑時でもかなりの一貫性を保つことができるようになってきた。今回のOpensignalの分析は、高速だけではない5Gのさらなる利点を示している。

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