週間情報通信ニュースインデックスno.1368 2023/3/4


1.ユーザーローカル、チャットボット構築サービスに「ChatGPT」活用機能を追加(3.3 日経XTEC)
ビッグデータ分析やチャットボットの開発、導入支援などを手掛けるユーザーローカルは2023年3月3日、企業向けに提供するチャットボットサービスに米国の新興AI(人工知能)企業、OpenAI(オープンAI)が開発した対話型AI「ChatGPT」の機能を組み込んだと発表した。同サービスの利用者がチャットボットの質問応答(Q&A)を作成する工数を減らせると見込む。

 社内外からの問い合わせに自動応答するチャットボットを構築できる「サポートチャットボット」の管理者画面に、ChatGPTが回答文を作成するボタンを設置した。管理者がChatGPTの回答文を加筆・修正することで、正確性を保ちつつQ&A作成にかかる期間を短縮できるとする。

2.準備進むデュアルSIMによる非常時バックアップ回線、残された課題とは(3.3 日経XTEC)
2022年のKDDIの通信障害で関心が高まった通信事業者のバックアップ回線。そうした中、KDDIとソフトバンクの2社はデュアルSIMの仕組みを活用し、他社回線を活用したサービスを提供すると発表した。NTTドコモも追随する姿勢を見せているが、今後に向けては課題も少なからずあるようだ。

 2022年7月2日からおよそ3日にわたって発生したKDDIの大規模通信障害。主として音声通話をつかさどる部分に障害が発生し、長時間緊急通報ができなくなるなど深刻な問題をもたらしたことは記憶に新しい。

 そしてこの通信障害を機として、通信障害や大規模災害などで特定の事業者の通信ができなくなったときに、別の事業者のネットワークを活用するなどして通信を維持する、バックアップ回線の確保に向けた機運が高まった。その結果として、非常時に他社回線に乗り入れる「非常時ローミング」の議論が総務省で進められている。ただ、非常時ローミングは障害が発生した事業者のコアネットワークが正常に動作していないと利用できず、万能ではない。

 1つは、このサービスが2つのSIMを用いたものになるということ。最近のスマートフォンは2つのSIMを同時に利用できる「デュアルSIM」に対応するものが多いことから、メインで使用しているSIMとは別に、バックアップ用として他社回線のSIMをもう1つ入れてもらうことにより、1台のスマートフォンでメイン回線とバックアップ回線の両方を利用可能にするという。

 そして今回の仕組みにはデメリットもある。早期にバックアップ回線を提供できるメリットがある一方、2枚のSIMが別々の電話番号を持つので、バックアップ回線でかけた電話がメイン回線の番号と違ってしまうからだ。バックアップ回線の番号をあらかじめ相手に伝えておかないと、電話をかけても「知らない人からの電話」と認識されて出てもらえない可能性がある。

3.SASEの中核技術「SWG」、サイバー攻撃を防ぐ仕組みを徹底図解(3.3 日経XTEC)
SASE(Secure Access Service Edge)を構成する多様な技術の中で、中核となるのは不審なWebサイトへの接続や危険なファイルのダウンロードを防ぐSWG(Secure Web Gateway)、クラウドサービスの利用状況を可視化するCASB(Cloud Access Security Broker)、利用者や端末の状態を都度確認し、アクセスを制御するZTNA(Zero Trust Network Access)だ。ここでは、SWGの役割と動作を見ていこう。

 SWGは、WebサイトやSaaS(Software as a Service)などと利用者の端末の間でやりとりするデータを検査し、安全を確認できたデータだけを中継する技術だ。クラウドサービス上のプロキシーサーバーとして動作する。

 主に3つの目的がある。1つは、フィッシング詐欺などに悪用されている危険なWebサイトへの接続の遮断だ。2つ目が、マルウエアなどの侵入防止。3番目がSaaSなどWebアプリケーションの利用の制限だ。SWGはクラウドサービスなので、社内・社外問わずどこからでも利用できる。

 SWGを利用するには、端末にエージェントを導入することが多い。ただし、利用企業のプロキシーサーバーと組み合わせるなどして、エージェントを導入せずに利用できるサービスもある。

4.半径1kmなら無線LAN通信が可能に、「IEEE802.11ah」とは(2.27 日経XTEC)
2022年9月の改正電波法で利用できるようになった新しい無線LAN規格。通信距離が半径約1kmと広いのが特徴。農園や工場など、IoT機器を使った広いエリアでの監視やデータの収集がしやすくなる。

 半径約1kmの長距離で通信できる無線LAN規格。2.4GHz帯および5GHz帯を利用する既存の無線LAN規格と異なり、920MHz帯の周波数帯を使用する。通信速度は最大で20Mbpsと、一般的な無線LANより遅いが、動画の送受信も可能だ。広範囲に設置したセンサーのデータや、監視カメラの映像を無線でやり取りする用途に適している。機器の設置や利用に免許は不要で、一般利用者でも手軽に導入できる。

 広い範囲で利用できる通信方式として、これまでも「LoRaWAN」や「Wi-SUN」などの通信規格が策定されている。いずれも主にセンサーが扱う少ないデータの送受信が主な用途だ。そのため最大通信速度は数10kbpsから1Mbps程度で、滑らかな映像を送信することは難しかった。

 IEEE802.11ahがこうした既存の規格に対して優れている点は、映像の送信が可能な程度の通信速度を確保していること。また、インターネットで使われる標準的なプロトコルを使用しており、市販のネット対応機器や通信ソフトなどを活用しやすい点もメリットだ。

 IEEE802.11ahは、次のような利用ケースが想定される。オフィスビル1棟全体のエネルギーマネージメント、工場向けの無線センサーネットワークのバックボーン、農業分野での作物監視や鳥獣害対策、災害時におけるドローンによる情報収集などだ。

5.持ち株会社の社名は「NTTデータグループ」に、国内事業会社は「NTTデータ」(2.22 日経XTEC)
NTTデータは2023年2月22日、持ち株会社体制への移行に伴い、持ち株会社と国内事業会社の社名をそれぞれ「NTTデータグループ」と「NTTデータ」に決めたと発表した。英語表記はそれぞれ「NTT DATA GROUP」と「NTT DATA JAPAN」になる。

 NTTデータは2023年7月に持ち株会社体制に移行し、傘下に国内事業会社と海外事業会社をぶら下げる予定だ。それに先立ち、2022年10月にNTTとの共同出資で海外事業会社を、同11月に国内事業分割準備会社を設立していた。

 ホームページへ